すでにチェックしてる方もいるかもしれませんが、先日「2019年マツダ技報」が公開されてました。
その中で気になった内容を取り上げてみたいと思います♪
2019年マツダ技報はこちら。
ちょうど日本でも正式発表されたからなのかSKYACTIV-Xに関する内容が多いですね♪
SKYACTIV-Xに関して気になる内容もありますが、今回は今後のマツダ車のデザインにとって意外と重要かも?と思う部分に関係する内容を取り上げます。
その内容は新型MAZDA3から採用された「リヤホイールアーチヘムの高精度シーリングと品質保証システム」
https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2019/files/2019_no030.pdf
分かりやすく言うと「フェンダーのツメ折り処理」に関する内容です。
これまでのほとんどの車はマツダに限らずフェンダーの接合部分は「L字型(90°折り曲げ)」に処理されてました。
それに対して新型MAZDA3では180°折り曲げ(ヘミング構造)処理が採用されています。
この処理は欧州車ではある程度見かけますが、日本車ではあまり実施例がありません。
この処理を行った理由は・・・
「タイヤを極限まで車両の外側に出し、ボディーとタイヤの一体感,強い踏ん張り感を実現するため」
チューニング・カスタムで「ツライチにするためにフェンダーをツメ折り加工する」という言葉をよく聞くと思いますが、それを純正でも実施する事でさらにスタイルを向上させようという狙いです。
ここでMAZDA3(アクセラ)の新旧写真を並べてみます。
よ~く見ると新型MAZDA3の方が「ツライチ」により近づいてるのが分かると思います。
ただ、実施車種が少ないだけあって実現までの課題もあります。
ヘミング構造にするために今まで以上に工数が増えるのはもちろんですが、最大の課題は「防水のためのシーリングの品質保証」
図の説明文には・・・
「ホイールアーチは,サイドフレームアウターとリヤピラーインナーの 2 枚のパネルで構成されているが,同部位はタイヤが泥水を巻き上げ厳しい環境にあり,この 2 枚のパネルの合わせ部に水が浸入しないよう,確実にシールしなければならない」
と書かれています。
そのための課題は・・・
・シーリングの厚みをヘミング構造以内にしないといけない。
・目視での検査が困難。
これらの課題が出てきます。
そのための解決策を全て取り上げるとかなり長く・難しいのである程度自分なりに要約すると・・・
〇シーリング塗布
・ロボットシーリング塗布システムを新たに開発。
・シーリングの厚みを保証するために塗料の吐出量は定量ポンプを用いて制御。
・温度が高くなると柔らかくなり,温度が低くなると固くなるというシーリング材の特性を生かして比較的高い温度域で高精度に塗料温度を制御することで,吐出量の変動を最小限に抑えるようにした。
〇シーリングの品質確認。
・シーリング部は目視困難であるため,上述した位置補正システムのセンサーを利用して塗布と同じロボットで品質検査を行う。
・ホイールアーチ全ての部位の寸法をセンサーで一とおり計測してデータを蓄積し,
塗布前にまとめてデータ処理及び判定を行うことで計測時間を短縮し,なおかつ高分解能での検査を可能にし,最終的には 0.5mm 間隔で計測を行う。
かなり専門的で難しい内容です・・・😅
2つの要素共に新たにシステムやロボットを開発してるのでかなりコストや手間が掛かってる事は間違いなさそうです。
以前、MAZDA3チーフデザイナーの土田さんと話をさせていただいた時もこのフェンダー処理は実現まで大変だったことを話されてました。
ちなみにこのシステムはMAZDA3に導入されてる内容なので、日本だけでなくメキシコ・タイ・中国の工場にも導入済みとの事。
今後出てくる新型車にも採用されると思われますね。
マツダは今後ラージ群モデルも登場予定。
大幅な価格上昇はさせないという事ですが、これまで以上に上級車種と比較される場面が増えてくるのは新型MAZDA3を見てもある程度想像が付きます。
その時にこのような細かい拘りがいざというときの評価にいい影響を与えるのでは?と思います。
フェンダー部分のタイヤ・ホイールのマッチングってその車のスタイルの印象に与える影響大きいですから・・・。
今後も本質を磨いていって中身の濃いクルマを生み出して欲しいと思います♪