つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

今週公開されたマツダの特許出願(2020.6.4前編 ”駆動用ロータリーエンジン関連”)

今週新たに公開されたマツダの特許出願は40件。

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(画像 ipforce.jp)

久しぶりに件数が多い事に加えてロータリーエンジンに関する内容が出てきたので前編・後編に分けて取り上げます。

 

 

前編で取り上げるのは3件の「ロータリーピストンエンジン」という題名の内容。

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-84931

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-84932

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-84933

 

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(画像 ipforce.jp)

掲載されている資料図は3件とも共通。

こちらのロータリーエンジンは発電用では無く、多くの人が待ち望んでいる”駆動用ロータリーエンジンに関する内容です。

資料に書かれている主な構成は・・・

・2ローターロータリーエンジン

ツインスクロールターボ搭載(図内 No.60)

・EGR装置(No.70)

・吸気ポートが2カ所(第1はNo.11a・11b、第2はNo.12a・12b)

・排気ポートも2カ所(第1はNo.13a・13b、第2はNo.14a・14b)

・第2排気ポートの先に排気開閉弁が装備(No.55a・55b)

・ミラーサイクル採用を目指している記載もあり。

主にこのような記載があります。

 

資料ごとに書かれている特許の目的は・・・

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-84931

ロータハウジングのペリフェラル排気ポート開口部付近に供給するエアフローメータで計測しない2次エアの供給通路から分岐して副吸気ポートにエアが供給されるため、エアポンプから作動室に対してこの2次エアが供給された場合にエアフローメータによって検出された燃焼用の検出吸入空気量と実際に吸気作動室内に存在する実吸入空気量との間にずれが生じるため、空燃比が所期の値から大幅にずれて失火し易くなる。
そして、失火が発生した場合、正常燃焼時に比べて排気圧力が低くなり、吸気作動室に持ち込まれる2次エア持込量が増加するため、燃焼性が更に低下するという悪循環が懸念される。

また、機械式過給機を用いて燃焼用の1次エアを供給することも考えられる。
しかし、吸気弁(吸気ポート)と排気弁(排気ポート)とのオーバーラップ構造が前提構成になるため、1次エアによって掃気される排気ガスが排気ポートから持ち込まれる排気ガスと相殺されることが予想され、十分な掃気効果を期待することができない。
それ故、ロータリーエンジンにおいて低回転運転領域の燃焼安定性の確保は容易ではない。

本発明の目的は、低回転運転領域の燃焼安定性を向上可能なロータリピストンエンジンを提供することである。

 

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-84932

ダイリューションガスの一部を構成する吹抜排気ガスを対策するために排気ポートを第1,第2吸気ポートが形成された一方のサイドハウジングとは異なる反対側のサイドハウジングに形成することも考えられる。
しかし、上記構成を採用した場合サイドシールとオイルシールの間の隙間を介して吸気作動室に流入する吹抜排気ガスを低減することは可能であるものの、作動室の構造上、ロータハウジングの内周面とロータのフランク面との間のデッドボリュームに滞留する残留排気ガスが依然として吸気作動室に持ち込まれるため、ダイリューションガスが吸気作動室のリーディング側領域に偏在する現象は避けることが難しく、車両始動時の着火性や火炎伝播性を阻害する虞がある。
それ故、吸気遅閉じ機構を備えたロータリエンジンにおいて、燃焼安定性の確保は容易ではない。

本発明の目的は、低回転運転領域の燃焼安定性を向上可能なロータリピストンエンジンを提供することである。

 

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-84933

第1吸気ポートのリーディング側領域に形成されて閉口時期が遅い第2吸気ポートを備えた吸気遅閉じ機構は、十分な作動室内圧を確保できないため、第2吸気ポートを第1吸気ポートから過剰にリーディング側へ離隔させることは燃焼性の観点から困難である。
それ故、吸気遅閉じ機構を装備したロータリエンジンでは、第1吸気ポートと第2吸気ポートとの間に形成される空間が狭く、デリバリパイプの組付作業性が悪い上にインジェクタの配置スペースを確保することが難しい。

第1吸気ポート用第1インジェクタを第1吸気ポートのトレーリング側領域に配置し、第2吸気ポート用第2インジェクタを第2吸気ポートのリーディング側領域に配置することで、各インジェクタの配置スペースを確保することも可能である。
しかし、第1吸気ポートのトレーリング側領域には、通常、排気ポートが形成されている。

それ故、第1インジェクタを第1吸気ポートのトレーリング側領域に配置した場合、第1インジェクタやデリバリパイプが排気ポートの熱に晒されることから、第1インジェクタ内に気相燃料が発生し、ベーパロックにより再始動性等が低下するおそれがある。
即ち、加速応答性とインジェクタの配置スペース確保とを両立することは容易ではない。

本発明の目的は、燃費改善を図りつつ加速応答性とインジェクタの配置スペース確保とを両立可能なロータリピストンエンジンを提供することである。

かなり長文で内容も難しいですね(汗)

 

今回のロータリーエンジンに関する特許出願は従来型で苦手領域だった低回転域の燃焼や燃費の改善が主目的になっています。

 

レンジエクステンダー車向けの発電用ロータリーエンジンはもうすぐ出る予定ですが、やはり多くの人が期待しているのは"RX"の冠名がついた新しいロータリースポーツの誕生だと思いますが、特許出願とはいえこのように開発が進んでいそうな資料が出てくるとやはりワクワクします(笑)

 

水面下で開発が進んでいる事を期待したいですね♪

 

今週新たに公開されたロータリーエンジン関連以外の特許出願は後編で・・・。

(後編も公開しました)