2022年に入ってから公開件数が少ない状況が続いているマツダの特許関連情報ですが、今週は久しぶりに複数(12件)公開されているのでその中から気になった内容を取り上げたいと思います。
まずは「車両の前部車体構造」という題名の内容。
特開2022-52162 | 知財ポータル「IP Force」








〇資料に記載されている特許の目的。
サイドシルがヒンジピラーの前面よりも前方に位置するFR(前部機関後輪駆動)方式の車両でサイドシルの前端をガセットで補強する構造を採用すると、オフセット衝突時に前輪のホイールがサイドシル前端で受止められ車両の前進が抑制されるが、車両の重心はサイドシルよりも上方に位置しているため、車両前方が下方に沈み込む挙動が発現する。
これにより、乗員と車体との相対位置が変化し車両前方が下方に沈み込んで、これに対して乗員が相対的に上方に位置する状態となり、乗員に対してエアバッグの展開位置が所期の位置からずれるという問題があった。
この問題点を解決するためには、ヒンジピラーの前面をサイドシルの前端位置まで延長することが考えられるが、この場合には車体重量が増加するという新たな問題点が発生する。そこで、この発明は、車両のオフセット衝突時に、車両前方が下方に沈み込む挙動を抑制することができる車両の前部車体構造の提供を目的とする。
こちらはFR車の車体構造に関する内容ですが、車高やボンネットの高さからCX-60を中心とするラージ商品群に関係する可能性がかなり高そうです。
既存のマツダ車は安全機能が国内外で高い評価を得ているので、ラージ商品群も期待が高まりますね。
続いては「車両のスピーカ配設構造」という題名の内容を3件。
(1件目)特開2022-52159 | 知財ポータル「IP Force」
(2件目)特開2022-52160 | 知財ポータル「IP Force」
(3件目)特開2022-52161 | 知財ポータル「IP Force」













〇資料に記載されている特許の目的
(1件目)
この発明は、キャビンを圧迫することなく、スピーカボックスの容量確保と、ヒンジピラー車室内側下方の車両部品のレイアウト成立と、スピーカボックス内の空気の流動抵抗低減による低音再生効率の向上と、を達成することができる車両のスピーカ配設構造の提供を目的とする。
(2件目)
この発明は、ポート開口部から再生される音(ポート再生音)をキャビンに伝達でき、また、ポート開口部に泥や水が被ることを抑制でき、さらに、ポート開口部から出る空気の流動による風切り音の発生を抑制することができる車両のスピーカ配設構造の提供を目的とする。
(3件目)
この発明は、スピーカボックスの容量を確保しつつ、スピーカ再生音の車外への音漏れによる車室内の音圧低下を抑制することができる車両のスピーカ配設構造の提供を目的とする。
こちらは「ヒンジピラーのサイドシル近辺にスピーカーが装備される車体構造」に関する内容です。
この構造自体は第7世代スモール群モデルから採用されている構造ですが、プレミアムレングスが先に紹介した特許説明図とほぼ同じなのでこちらもラージ商品群を視野に入れた内容の可能性が高そうです。
ちなみに、欧州で発表されたCX-60のプレスリリースにも「左右のフロント足元にエンクロージャー化したウーファー装備」と書かれているので特許説明図と似た構造になっていると思われます。
最後は「鋳造装置」という題名の内容。
特開2022-52285 | 知財ポータル「IP Force」








〇資料に記載されている特許の目的
ダイキャスト鋳造にて、対向する鋳抜きピンの先端部を適切な突合せ力にて、確実に突合せ、鋳抜きピンの熱膨張による座屈に伴う曲げ変形を抑制出来る。
こちらは題名通り「鋳造装置」に関する内容ですが、鋳造によって製造されるとして直6エンジンのシリンダーブロックが一例として挙げられています。
ラージ商品群第一弾モデル「CX-60」に搭載される2つの直6エンジンにもこれらの技術が投入される可能性が高そうですね。
今回気になった内容は以上となります。
ここ最近公開件数が少ない状況が続いていますが、今後も気になる内容が出てきたら随時取り上げていきたいと思います。