つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

CX-60に搭載される「直6 SKYACTIV-D 3.3」のピストン素材やトルク数値の理由について取材されてる記事、既存のSKYACTIV-Dに関係する内容も。

(画像 MAZDA)

マツダのラージ商品群第一弾SUV「CX-60」で大きな注目ポイントとなっているのが新開発された直6ディーゼルエンジン"SKYACTIV-D 3.3"ですが、このエンジンに採用されるピストンの素材やトルク数値について取り上げられてる記事がありました。

 

今回取り上げるのは日経ビジネスに掲載されている「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」から。

これまでにもマツダ車に関する特集が多かったのでご存知の方も多い連載だと思いますが、先月からCX-60の特集が開始(毎週月曜日更新)

今日7月4日は直6 SKYACTIV-Dの開発を担当された志茂大輔さんへインタビューを行った内容となっていますが、その中でいくつか気になったポイントがあるので紹介したいと思います。

 

〇直6 SKYACTIV-D 3.3のトルク数値が「500~550N・m」になっている理由。

(画像 MAZDA)

CX-60に搭載される直6ディーゼルエンジン"SKYACTIV-D 3.3"に関してはスペックが発表された時に「CX-5等に搭載されているSKYACTIV-D 2.2比で見るとトルクや馬力が思ったより控えめな数値」という声も聞かれました。

「左:SKYACTIV-D 2.2、右:SKYACTIV-D 3.3(画像 MAZDA)」

排気量UPは燃費向上や排ガス浄化が理由というのはすでに複数のメディアで紹介されていますが、今回の記事では志茂大輔さんがさらに詳しく回答されています。

・既存のSKYACTIV-D 2.2と同じ設計のまま排気量を1.5倍にするとトルクも1.5倍になるが、今回は24%アップにとどめている。

さらにトルクを出そうとすれば単純計算で660N・m程度は出せるが、そこまでやるとNOx(窒素酸化物)が増えてしまう。

・新しいエンジン(直6 SKYACTIV-D 3.3)は550N・mのフルトルクを出しても排気はクリーンな状態。

・もちろん前のモデル(おそらく既存の直4 SKYACTIV-Dの意味)も排気規制に適合はしているのですが、これから出る「RDE(Real Driving Emission:路上走行試験)規制」には適合させられない。

やはりトルクをさらに上げる事自体は可能なものの、排ガス浄化との兼ね合いから現在のスペックに落ち着いたとの事ですが、これはRDE(Real Driving Emission)規制」も関係しているようです。

RDE(Real Driving Emission)規制」は2015年に米国で発覚したディーゼル不正問題をきっかけに導入が進んでいる排ガス試験で、従来の台上試験ではなく日常的に使用する全ての運転条件を実際に走行して試験が行われるようになっています。

欧州では2017年から導入開始されており、調べた限りだと日本もディーゼルエンジン搭載の新型車を対象に2022年10月から導入する予定(継続生産車は2024年10月から対象)

CX-60はこの規制にいち早く対応した車種と言えそうですが、一方で既存の直4 SKYACTIV-Dは今のままだとRDE試験に適合出来ないとの事なので、継続生産車も試験対象となる2024年10月までにエンジン自体の大幅改良やフルモデルチェンジという可能性も考えられますね・・・。

〇現在日本で直4 SKYACTIV-Dが設定されているモデル

・SKYACTIV-D 1.5・・・・MAZDA2

・SKYACTIV-D 1.8・・・・MAZDA3・CX-3・CX-30

・SKYACTIV-D 2.2・・・・MAZDA6(190ps仕様)、CX-5CX-8(200ps仕様)

 

〇直6 SKYACTIV-D 3.3に採用されたピストンの素材

(画像 MAZDA)

今回取り上げた連載記事の中では直6 SKYACTIV-D 3.3に採用されたピストンの実物写真も掲載されていますが、現在マツダ車に採用されてるアルミ製ではなく「鉄製」との事。

志茂大輔さんは2つの理由を挙げています。

①材料が強いのでピストンのスカートをちょっと小さくできて摩擦の面積が減らせる。

②ピストンを鉄にするとアルミ製のシリンダーブロックとの線膨張係数の違いでエンジンが暖まったときにクリアランスが広がり摩擦による損失は少なくなる。

かなり専門的な内容ですが、調べてみるとピストンはアルミ製が大半のようですが、高い燃焼圧力となるディーゼルエンジンでは鉄を採用する事例もあるようです。

今回取り上げた記事ではピストンの実物画像だけでなく他にも様々な話題が出てきているので気になる方は是非チェックしてみてください。

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