今週新たに公開されたマツダが出願中の特許は14件。
その中から気になった内容を取り上げます。
〇特許情報プラットフォーム
今週取り上げるのは「車両の前部車体構造」という題名の内容を2件。
〇No.2022-179004
〇資料に記載されている特許の目的
ボディサイズが大きく、車高が比較的高いSUV等の車両では、地面からボンネット上面までの高さが高くなり、衝突時、歩行者の大腿部は、車両に対して前方からほぼ水平方向に衝突する。また、子供の歩行者の衝突を想定した場合、歩行者の頭部は、車両前方かつ斜め上方からボンネット前方のアッパーパネルに衝突する。
特に、本発明者らは、歩行者保護の観点から、特に大腿部および頭部の車両への衝突部位において、複数方向の入力荷重に対するエネルギ吸収可能な構造に関して鋭意検討を行った。
そして、大腿部および頭部の衝突では前後方向の荷重ベクトルが共通しているので、衝撃吸収部材は、上下方向の荷重ベクトルに加え、特に前後方向の荷重ベクトルに対して変形可能な構造とする必要があることを見出した。
他方、ボンネットを開けてエンジンルーム内の整備を行う場合に、作業者がアッパーパネルに車両上方から体重を預けることが想定されるので、上下方向の静的な荷重の荷重ベクトルに対しては一定以上の剛性を確保する必要があることにも着目した。しかしながら、衝撃吸収部材に、単純に剛性の高い材料を用いてしまうと、前後方向の変形を阻害する恐れがある。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、歩行者衝突時、車両前方からの衝突荷重および車両前方かつ斜め上方からの衝突荷重に対して変形により衝突エネルギを吸収することができると共に、車両上方からの静的な入力荷重に対して剛性を高める事ができる車両の前部車体構造を提供する事が目的である。
〇No.2022-179005
〇資料に記載されている特許の目的
車高が比較的高いSUV等のボディサイズの大きい車両では、地面からボンネット上面までの高さが高くなり、前方衝突時、歩行者の大腿部は車両に対して前方からほぼ水平方向に衝突する。すなわち、フロントバンパーフェイシアに対して垂直方向に衝突する。
ここで、ヘッドランプユニットは、車両上方からの入力荷重に対しては、その取付け部が変形等して荷重を分散させることができる場合がある。しかしながら、ヘッドランプユニットは、通常、前後方向の取付け強度が高く、歩行者の大腿部が前方から水平方向に衝突するような入力荷重に対しては十分なエネルギ吸収を行なえず、高い衝撃荷重が歩行者に加わってしまう恐れがあった。
これに対し、ヘッドランプユニットが歩行者に加える衝撃荷重を低減させるために、たとえば、ヘッドランプユニット自体を単に車両後方側にレイアウトすればよい。しかしながら、そのような場合、車両前部のデザイン要求を満たすよう新たな問題が生じる。
以上のような問題に対し、本発明者らは、車格に応じた衝突形態を考慮した上で、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立するための車両前部構造を検討した。そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、デザイン要求を満足すると共に歩行者保護性能を両立することができる車両の前部車体構造を提供することを目的とする。
説明図ですぐに分かりますがこれは「CX-60」の車体前部構造に関する特許でほぼ間違いないと思われます。
おそらくCX-60以外のラージ商品群にも同じ内容が採用されてそうですね・・・。
今回の特許出願はどちらも歩行者保護とデザインの自由度や整備性の両立が目的となっていますが、車高が高いSUVを意識した内容となっているのも特徴です。
ちなみにCX-60のフロントグリルは全グレードでブロックメッシュが採用されていますが、説明図の車体はハニカムメッシュとなっているのも気になるところ・・・。
参考までに来年1月にワールドプレミア予定の「CX-90」と思われるテスト車両もブロックメッシュでした。
マツダのラージ商品群SUV「CX-90」と思われるテスト車両を間近で撮影した"動画"が出てきました。 - つらつらとMAZDA
ハニカムメッシュはあくまで説明図だけの話かもしれませんが、ラージ商品群SUVはさらにCX-70・CX-80も登場予定となっているのでフロントグリルの意匠もどうなるのか注目でしょうか⁉
今週気になった特許出願は以上となりますが、今後も気になる内容を随時取り上げていきたいと思います。