今週新たに公開されたマツダが出願中の特許は24件。
一足先に発電用ロータリーエンジンに関する内容を取り上げましたが、それ以外にも気になる内容があるので紹介します。
今週は一足先に「発電用ロータリーエンジン」に関する特許出願を木曜日に紹介。
これ以外にも気になる内容が公開されたので紹介したいと思います。
〇特許情報プラットフォーム
今回は今月5日に米国と欧州で公開されていた「EV専用アーキテクチャー」に関係すると思われる特許出願が日本でも公開されたので改めてチェックしたいと思います。
(今月5日に取り上げたブログ記事はこちら)
日本では「車体構造」という題名で8件公開(説明図は共通)
(1件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184584)
(2件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184587)
(3件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184589)
(4件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184592)
(5件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184593)
(6件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184594)
(7件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184595)
(8件目:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2022-184597)











〇資料に記載されている特許の目的
(1件目)
車両前後方向の衝突荷重をバッテリケースに分散して伝達することで、車体を構成している各部材の強度を最適化して車両全体の軽量化を実現すること。
(2件目)
車両前後方向の衝突荷重を車体及びバッテリケースに分散して伝達することで、車体を構成している各部材の強度を最適化して車両全体の軽量化を実現すること。
(3件目)
前面衝突時の衝突荷重を車体及びバッテリケースに分散して伝達することで、車体を構成している各部材の強度を最適化して車両全体の軽量化を実現すること。
(4件目)
バッテリケースの前部の強度を高めて前面衝突時のキャビン及びバッテリケースの変形を抑制しながら、バッテリの搭載容量を多く確保するとともに乗員の居住性を良好にすること。
(5件目)
フロアパネルの下方に設けられているバッテリケースを活用することで、フロアパネルの高い部分の剛性を効率的に向上させること。
(6件目)
車両の側突時に入力される衝突荷重を車体及びバッテリケースに分散して伝達することで、車体の軽量化とバッテリの保護を両立させることにある。
(7件目)
車両の側突時に入力される衝突荷重を車体及びバッテリケースに分散して伝達することで、バッテリの保護性能を高めることにある。
(8件目)
車両前後方向の衝突荷重をバッテリケースの前部に対して直線的に入力させて分散、吸収可能にすることにある。
基本的には米国と欧州で公開されていた時に取り上げた内容通りですが、日本語表記で改めてチェックするとやはり分かりやすいですね・・・(笑)
前回も触れましたが、これらの特許出願はマツダが2020年代後半から導入を予定している「EV専用スケーラブルアーキテクチャー」に関係している可能性が高いです。


ボルトやネジを使った締結方法を採用する事で「バッテリーケースやサスペンションがある"車体下部"(シャシー)」と「キャビンや荷室がある"車体上部"(ボディ)」を上下分離可能になっているのが大きな特徴ですが、似たような構造となっている「ラダーフレーム」との違いについても説明が書かれています。
ラダーフレームは衝突箇所によって荷重を受け止める部材が異なるのに対して、今回出願された車体構造はどのような場合でも車体上部・下部両方で受け止める構造になっているのが違いと説明されています。
次に説明図に登場している車両のボディタイプがセダンという事も注目ですが、説明文では「2シーター」や「3列シート」も視野に入っているので、マツダの説明通り様々なボディタイプやサイズに対応する事が検討されているようです。
ただ、今回の内容ではヒップポイントと着座位置を下げる事も考慮されているので、車高が低いセダンやスポーツカーをより重要視している可能性はあるかもしれませんね。
マツダが公開したEV専用スケーラブルアーキテクチャーの採用例でも、VISION COUPEを思わせる4ドアクーペのような車も含まれていたので・・・・。
さらに、モーターの取り付け位置によって駆動方式を自由に構成できるのも特徴ですが、特にモーターをリアのみに搭載した後輪駆動車の場合はフロントをラゲッジルーム等に活用する事が考慮されているのはEVならではと言えるかもしれませんね。
EV専用スケーラブルアーキテクチャーを採用した車種はまだまだ不明ですが、欧州マツダの副社長は「実用車だけでなくスポーツカーも視野に入れる事が可能なくらいに拡張性のあるアーキテクチャー」と証言しているので、やはりビジョンスタディモデルのようなスポーツカーも登場して欲しいところ・・・。
これからEV専用スケーラブルアーキテクチャーに関係してると思われる特許出願も増えてくると思うので引き続きチェックしておきたいと思います。