このブログではおなじみとなってきたアルミ製スペースフレームに関するマツダの特許関連情報ですが、2021年9月に出願公開されていた関連特許が今週無事に登録されました。
〇特許情報プラットフォーム
今回登録されたのは2021年9月に出願公開されていた「車両の側部車体構造」という題名の特許。
☆特許登録番号:7264091
〇資料に記載されている特許の目的
車両には、排気装置を構成する排気系部材の少なくとも一部を、フロア下の車幅方向中央ではなくフロアよりも車幅方向外側(すなわち車両の車幅方向外側下部)に設けた構造が知られている。このような構成を採用する狙いとして"車体レイアウト性を確保するケース"と"車体の運動性能を重視するケース"とに大別される。前者は、ハイブリット車やレンジエクステンダー車のように内燃機関とモータを併用するシステムを採用した車両において、フロア下に配設したバッテリを避けるために排気系部材をフロア下のバッテリよりも車幅方向外側に設けるケース。後者は、スポーツカーのように車体の中心寄りに重量物を配置するために、車両の車幅方向外側下部に比較的軽量な排気系部材を配置するケース。本発明は車体の剛性および衝撃吸収性能の確保と、車体の拡幅の抑制と、排気系部材において排気をスムーズに流すことを両立することができる車両の側部車体構造の提供を目的とする。
(2021年9月に取り上げたブログ記事)
今回の特許は「アルミ製スペースフレームを採用したスポーツカーの排気構造」に関する特許ですが、何より注目なのは排気経路が一般的な車体中央では無く車体の外側を通す事を視野に入れている事。
これは車両の重量物や乗員を出来る限り車体中央に配置する事で運動性能の向上を目的をしていますが、車体中央の出っ張りを極力無くすことでマツダが重要視している適切なドライビングポジションの実現にも繋がりそうですね。
そして、特許の目的を見るとスポーツカーだけでなくフロア下にバッテリーを搭載するハイブリッド車や発電用エンジン搭載車(レンジエクステンダー)への採用も視野に入れているのも大きなポイントです。
ちなみに、昨年末から国内外で公開されている「EV専用アーキテクチャー」と思われるマツダの特許出願はアルミ製スペースフレームにかなり似ている構造となっている事に加えて、車体中央のセンタートンネルが無いにも関わらず内燃機関を搭載する可能性も示唆しています。
さらにマツダはMX-30 R-EVでロータリーエンジンを発電用として復活させましたが、電動化が叫ばれているこのタイミングでロータリーエンジンを新規開発したという事は「次世代ロータリースポーツ」と「EV専用アーキテクチャー」等にも搭載する事を検討しているのかもしれません。
(EV専用アーキテクチャーは2025~2027年に投入予定)
これまでアルミ製スペースフレームは次世代スポーツカーとの繋がりにフォーカスしてきましたが、今後は次世代EVモデルとの関連性にも注目したほうが良さそうです。
これからさらに関連特許が出願されるはずなので引き続き注目ですね。