今年も将来のパワートレインに関する発表を行ったマツダですが、毛籠社長が特に注目度の高い2つのパワートレインについてコメントしています。
今回紹介するのは米国の自動車業界専門メディア「Automotive News」の記事。
マツダは北米市場で過去最高レベルの売り上げ・販売台数を記録していますが、Automotive Newsは今後の動向や電動化について毛籠社長へインタビューを実施。
Automotive Newsの記事は会員限定公開ですが、他のメディアが中身を一部引用しているので紹介したいと思います。
◎Motor1.com
◎CARBUZZ
両方の記事によると毛籠社長はAutomotive Newsのインタビューで「2ローターのRotary-EV」や「SKYACTIV-Z」についてコメントしたようです。
「2ローターのRotary-EV」
スバル・トヨタ・マツダが電動化に適合する新エンジン開発を宣言、マツダは「ROTARY-EV SYSTEM CONCEPT(1ローター/2ローター)」を公開。 - つらつらとMAZDA
昨年マツダは1ローターの発電用ロータリーエンジンを採用したシリーズ式プラグインハイブリッド「MX-30 Rotary-EV」を発売しましたが、今年5月にスバル・トヨタと共同で開催したワークショップで「2ローターのRotary-EVコンセプト」を公開。
ドライサンプ方式の2ローターエンジンを縦置きで展示していた事から、昨年発表されたコンセプトカー「ICONIC SP」の量産化を強く意識してそうなコンセプトでしたが、毛籠社長はRotary-EVの開発状況についてコメントしています。
(CARBUZZ)
In an interview with Automotive News, Moro bared the latest update on its rotary engine development, claiming that they are close to completing the challenge of complying with stringent emission regulations.
However, in relation to the US market, Mazda's head honcho noted that a single-rotor power plant wouldn't be capable enough, so a twin-rotor is in the pipeline.
Automotive Newsのインタビューで毛籠社長はロータリーエンジン開発の最新情報を明らかにしており、厳しい排出ガス規制に準拠するという課題は解決に近づいていると主張しました。
しかし、毛籠社長は米国市場向けに1ローターエンジンは能力が不十分であるため、2ローターエンジンの開発が進行中とも述べました。
"I want a rotary engine that complies with very stringent emission regulations. That is going to be a significant challenge.
We are very close. If we are thinking about the US market, one rotor is not enough. Two rotors are needed to generate more power."
「私は非常に厳しい排出ガス規制に適合するロータリーエンジンを望んでおり、これは大きな挑戦になるでしょう。
私たちは(排ガス規制適合に)非常に近づいています。しかし米国市場を考えるとローターが1つだけでは不十分です。より多くのパワーを生み出すには、ローターが2つ必要です。」
Moro added that Mazda has already tested a single-rotor engine and is now moving on to the next phase that will involve two, which will be spinning in separate chambers with one shaft.
毛籠社長によると、マツダはすでに1ローターエンジンのテストを終えて2ローターエンジンの段階に進んでおり、1つのシャフトで別々のチャンバー内で回転すると付け加えた。
マツダは今年2月にロータリーエンジン開発グループを再始動させましたが、最初の課題として挙げられていた米国のより厳しくなる排ガス規制対応は1ローター仕様でほぼ解決の目途が立った模様。
ただ、米国市場の需要を考えると1ローターでは出力(発電量)が足りない事から2ローターの開発テストも始めてるようですね・・・。
記事の文面を見るとICONIC SP以外の車種も検討してそうな雰囲気も感じますが、開発陣によると「MX-30 Rotary-EVと同じシステム構成でCX-5やCX-60クラスの車種を動かすには最低でも3ローターが必要」との事なので、最大でもICONIC SPやCセグメントあたりまででしょうか?
それでも一歩ずつでも量産化へ進んでるのは間違いなさそうですね!
「SKYACTIV-Z」
マツダが「2025年3月期 第2四半期決算」を発表、新しいガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」開発を中心に今後の計画も多く発表(追記あり) - つらつらとMAZDA
マツダはSKYACTIV系エンジンはこれまで「ガソリン(SKYACTIV-G)」「ディーゼル(SKYACTIV-D)」「SPCCI燃焼式ガソリン(SKYACTIV-X)」が開発されてきましたが、先月の2025年3月期 第2四半期決算で新しい4気筒ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」の開発を初公表。
ラムダワン燃焼によって低回転~高回転までスーパーリーンバーン(超希薄燃焼)を実現して6気筒にも燃焼技術を移植する事が公表されたものの、これ以外はまだまだ謎のまま・・・。
毛籠社長はこのエンジンに関してもインタビューで触れていました。
(Motor1.com)
Moro also discussed the recently announced Skyactiv-Z engine, hinting it will skip turbocharging.
Debuting on production cars in 2027, the new gas engine is the "ultimate" ICE for Mazda, an all-new powertrain designed to meet even the stricter regulations planned for the next decade.
毛籠氏は最近発表されたSKYACTIV-Zエンジンについても話し、ターボチャージャーを省略することを示唆した。
2027年に量産車へ搭載されるこの新しいガソリンエンジンは、マツダにとって「究極の」内燃機関であり、今後10年間に予定されているより厳しい規制にも適合するように設計されたまったく新しいパワートレインである。
Normally aspirated engines would have to decrease output by 30 percent to comply with such stringent standards.
But this engine [Skyactiv-Z] defies that usual theory and keeps output while delivering outstanding environmental capability."
「このような厳しい基準(欧州Euro7や米国LEV4・Tier4)に適合するには、自然吸気エンジンだと出力を30%下げなければなりません。
しかし、このエンジン"SKYACTIV-Z"は、その常識を覆し出力を維持しながら優れた環境性能を発揮します。」
元々SKYACTIVのガソリンエンジンはゆとりある排気量のNAエンジンを低回転で走らせるコンセプト(アップサイジング/ダウンスピーディング)が基本でしたが、毛籠社長によるとSKYACTIV-Zエンジンでもターボチャージャーは採用せずに既存のNAエンジン同等の出力と優れた環境性能を両立させるとの事。
北米市場の需要を考えるとSKYACTIV-Zの燃焼技術を移植したガソリンターボもありそうな予感がしますが、基本は今まで通りNAエンジンが軸になりそうですね。
ただ、SKYACTIV-Xには希薄燃焼時に大量の空気を送り込むための高応答エア供給機(スーパーチャージャー)が採用されていましたが、これも一応"過給機"に該当するので超希薄燃焼を実現するSKYACTIV-Zで採用されるのか気になるところ。
高応答エア供給機は一般的な「過給機⇒出力/トルクUP」とは異なるので判断が難しい・・・。
ただ、今年の株主総会に参加した知人によると専務執行役員の廣瀬一郎さんから「SKYACTIV-Xに続く第3世代エンジンはもう少しシンプルな構成で進化させていく事も検討」という回答もあったらしいので、これがエンジンの構造を意味してるとすればSKYACTIV-Xより補器類は少なくなるかもしれませんね・・・。
2ローターのRotary-EV・SKYACTIV-Zどちらも今すぐに登場するパワートレインでは無さそうですが、着々と開発が進んでいるのは間違いなさそうです。
特に2ローターのRotary-EV搭載の有力候補に挙げられる「ICONIC SP」は当初から量産化をかなり意識している事が関係者から明言されていたので、このまま順調に開発が進む事を祈るばかり・・・。
SKYACTIV-Zも含めて今後プロトタイプが先行披露される可能性も考えられるので、続報に注目ですね。
令和6年能登半島地震災害・9月21日豪雨被害の義援金受付関連。
◎石川県公式HP
・地震災害用リンク(令和6年12月27日まで受付)
令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について | 石川県
・豪雨被害用リンク(令和7年3月31日まで受付)
・富山県公式HP(令和6年12月27日まで受付予定)
・新潟県公式HP(令和6年12月27日まで受付予定)