2024年4月25日、長安マツダが新型BEV/PHEVモデル「MAZDA EZ-6」を正式発表しました。
まずは改めてここまでの流れをおさらい・・・。
現在マツダの中国事業は長安汽車との合弁による"長安マツダ"によって進められていますが、長安マツダは昨年4月に発表した事業戦略の中で「長安汽車とマツダが共同開発する新型BEV/PHEVを2025年末までに2車種投入」と公表。
その後の情報から共同開発モデル第1弾(通称:J90A)は長安汽車が販売している「深藍SL03」をベースにしたセダンモデルの可能性が高くなり、今年初めには北京モーターショーで正式発表する事が長安マツダから予告されていました。
今月10日からはティザー広告も開始されていましたが、本日開幕の北京モーターショーで正式発表されています。
MAZDA EZ-6の商品コンセプトは「Neo-Proud Coupe」
クルマが好きで、人生に憧れを持ち、どんなシーンでも自信を持ってスタイリッシュに走りを楽しみたい人に向けて作られた(長安マツダ公式ニュースリリースより)
「エクステリア」
デザインテーマは「Authentic Modern」で、自動車デザイン専門誌CARSTYLINGによるとEZ-6のチーフデザイナーはCX-30やNDロードスターにも携われた岩内義人さん。
北京モーターショー取材です。マツダEZ-6のチーフデザイナーの岩内義人さんにカースタイリング難波編集長がインタビューしました。詳しくはカースタイリングwebで。楽しみにしていてください。#北京モーターショー#マツダ #mazda #EZ6 pic.twitter.com/B00VFexLon
— CARSTYLING (@CARSTYLINGjapan) 2024年4月25日
☆Melting Copper Metallic(中国語では"流光金")
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(デザインスケッチ)
☆レッド系(ソウルレッドクリスタルメタリック?)
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☆エアログレーメタリック(中国語では"朗月灰")
(デザインスケッチ)
これまでの公式ティザーや昨日のスクープ画像である程度エクステリアは明らかになっていましたが、セダンボディというよりは5ドアハッチやクーペに近いフォルム。
マツダの公式リリースでも「シンプルで伸びやかなクーペフォルム」というフレーズが含まれています。
ボデイタイプに関してはベース車と噂されている深藍SL03のフォルムに近い一方で、フロントフェイスや灯火類などを中心にマツダ独自デザインになっているのが特徴。
個人的には初代/2代目アテンザ(MAZDA6)に用意されていた5ドアスポーツの現代版に感じますね。
そして今回の発表で初めて明かされたのが「可動式リアウイング(正式名称:インテリジェント電動リアウイング)」の採用で、これは深藍SL03に採用されてない装備なので走りにかなり拘ってる証しかもしれません。
(可動式リアウイングが動いてる場面が映ってる動画)
一方、シグネチャーウイングの周囲がブラックアウトされてるのは個人的に少し派手な印象もあるのですが、これに関してはヘッドライト下部に備わっているセンサー(ライト?)を目立たなくする狙いがあるのかもしれませんね・・・。
そしてボディカラーに関しては3色披露されていますが、ブラウン系のボディカラーに関しては長安マツダのニュースリリースで"高温で溶けた銅の色"と説明されているので、CX-70/CX-80に設定された「Melting Copper Metallic」で間違いないと思われます。
そして北京モーターショーではエアログレーメタリックの車両も展示されていますが、この色はこれまでMAZDA2・CX-3・ロードスターに設定されてきたので、サイズが大きい車種に設定されるのは今回が初。
加えてマツダで外せないソウルレッドクリスタルメタリックの車両も披露されていますが、これ以外はどのようなラインナップになるのか気になるところ・・・。
「車体サイズ」
エクステリアと関連して気になるのが車体サイズですが、こちらもニュースリリースで発表されているので既存のマツダ製セダンとベース車と見られている深藍SL03と比較・・・・。
クーペフォルムの効果もあってなのか写真を見る限りだとそれほど大きい印象を感じないEZ-6ですが、実際は現行MAZDA6セダンより大きいだけでなく全長は深藍SL03より長くなっています。
変な表現かもしれませんが、寸法だけ見ると先日発表されたCX-80を少し短くして車高を下げた感じですね(笑)
このサイズのクーペフォルムなら実物はかなりカッコよさそう・・・。
「インテリア」
・タン内装
(デザインスケッチ)
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☆ホワイト内装
これまでのティザー広告でインテリアは触れられてなかったので今回が初披露になりますが、ダッシュボード中央に装備されている大型タッチスクリーン(14.6インチLCD)と2本スポークのステアリングが大きな特徴。
一見すると深藍SL03と似ている部分もありますが、詳しく見るとシート形状やドアパネルなどは独自デザインになっているのでエクステリアと同様に差別化は予想以上に行われてますね。
個人的にはマツダ車初のソニー製サウンドシステムが採用されているのが中々面白く感じましたが、これも深藍SL03に採用されている事が関係してそうです。
内装色に関しては現時点で2色公開されていますが、タンカラーと思われる内装は色味や使用されてる表皮がCX-60とかなり似ているように感じました。
【深蓝SL03】深蓝汽车_深蓝SL03报价_深蓝SL03图片_汽车之家
「ラゲッジルーム」
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テールゲートはリアウィンドウまで開く形状になっているのでやはりセダンというよりハッチバックや4ドアクーペに近いキャラクター
ラゲッジスペースは左右の凹みが無いスクエア形状なので容量はそこそこかもしれませんが、スタイルなどを考えると十分以上でしょうか?
右側にはウーファーも備わっていますが、これはソニー製サウンドシステム専用の可能性も考えられます。
これをベースにワゴンやシューティングブレークも期待したくなるのは悪いクセでしょうか(笑)
「パワートレイン/シャシー関連」
EZ-6に関しては当初から「パワートレインやボディ/シャシー=長安汽車製」「デザインや走りのチューニング=マツダ」という役割分担にする方針が予告されていましたが、こちらもBEVモデルとPHEVモデルの2種類を用意。
現地メディアのデータベースでは両モデルの違いが少し明らかになっています。
これまで公開されていたティザー画像だとフロントグリル開口部が塞がっている可能性が出ていましたが、実際は発電用エンジンを搭載するPHEVモデルのみ"本物のグリルメッシュ"になるようです。
ボンネットにも荷物スペースが生まれるのはBEVモデルならではですね(笑)
今のところパワートレインやシャシーに関する情報は限られていますが、サスペンションは「フロント:ストラット」「リア:マルチリンク」、駆動方式はRWD(後輪駆動)で前後重量配分も50:50と発表。
さらに展示車を見る限りだと純正装着タイヤは「ミシュラン PILOT SPORT 4」になりそうなので、かなりスポーティな走りを楽しめそうですね。
ちなみにベース車の可能性が高い深藍SL03は、長安汽車が開発した電動車専用プラットフォーム「EPA1」を採用しており、PHEVモデルに搭載されている発電用エンジンは1.5L。
プラットフォームや発電用エンジンなどはおそらく共通だと思われます。
EZ-6に関する主な情報をだいたいおさらいしてみましたが、さらにマツダは北京モーターショーで新しいコンセプトカーをサプライズ発表したのでこちらも紹介・・・・。
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- デザインテーマは"SOULFUL + FUTURISTIC x MODERN"
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新エネルギー車による新しい生活様式をイメージさせるような未来的でモダンな造形を、マツダデザインが追い求める"動くことへの感動"や、魂動デザイン特有の生命感を融合させながら具現化。
サイドビューは、分厚いドア断面と4つのタイヤにしっかりとトラクションがかかる立体構成とし、魂動デザインらしい力強いダイナミックな造形を表現。また、2つのウイングが重なった"クロスウイング"のリアコンビランプ採用により、新しいマツダブランドを訴求。
ボンネット先端部、フロントバンパー両端、Dピラー内側などに空気の通り道を設定。空力特性の向上とともに、近未来的なスタイリングを提案。
- 今回コンセプトカーを発表する予告や噂は一切出てなかったのでかなり驚きでしたが、こちらはEZ-6に続く長安汽車との共同開発BEV/PHEVモデル第2弾を意識したコンセプトとの事。
- 長安マツダは今年初めに2026年頃までの商品計画を公表しており、今回発表されたEZ-6は通称”J90A”で、2025年登場予定の第2弾モデルは"J90K"と公表。
- つまり「MAZDA創ARATA」を基にしたSUVはJ90Kでほぼ間違いなさそうですね。
ちなみに、長安汽車には深藍SL03と同じブランドでEPA1プラットフォームを使用したSUV「深蓝S7」が存在しているので、EZ-6の内容を見る限りだと「MAZDA創ARATA」を基にしたSUVもこの車種と兄弟車になる可能性が有力でしょうか・・・?
そして車名に関しては今回発表されたEZ-6と一緒に「EZ-60」という商標が今年3月に出願されていたので、これが「MAZDA創ARATA」を基にしたSUVの正式な車名になる可能性がかなり高そうですね。
今回の北京モーターショーでマツダから発表された主な内容は以上となりますが、EZ-6に関しては長安汽車製のシャシーなどを採用する制約がある中で、ベース車と見られる深藍SL03と上手く差別化してマツダらしさをある程度実現できてるように思いました。
エクステリアの項目で初代/2代目アテンザスポーツに近い雰囲気を感じると書きましたが、中国では"初代アテンザ"が特に高い人気を集めていた歴史があるので、現行モデルには無い5ドアスポーツ復活も意識したのでは?という妄想も・・・。
(中国では現行MAZDA6登場後も初代/2代目を併売した時期があります)
何より久しぶりにSUV以外の新車が登場した事が嬉しいですが、今のところ日本導入の可能性が無いのは寂しいところ・・・。
発表直後もネットやSNSでかなり大きな話題になってる印象なので、何らかの形で5ドアハッチや4ドアクーペみたいなモデルをグローバル展開して欲しいですね。
オーソドックスなセダンが厳しいのは重々承知してるので・・・。
EZ-6は今年後半に中国で販売開始予定ですが、共同開発第2弾のコンセプトカー「MAZDA創ARATA」も発表された事に加えて、プレスカンファレンスでは毛籠社長から第3弾・第4弾の投入も正式に公表された事から今後長安汽車との共同開発や電動化対応はますます進んでいく事になります。
中国におけるマツダ車の販売は長らく苦戦していますが、EZ-6投入をきっかけにどれだけ巻き返せるのか注目すると共に、グローバルの商品計画もそろそろ発表される事に期待ですね。
最後にマツダ・長安マツダの関係者の皆様、EZ-6誕生おめでとうございます!
・石川県公式HP(令和6年1月4日から受付開始)
・富山県公式HP(令和6年1月5日から受付開始)
※:新潟県は現時点で義援金受け付けを行っていないようなので、日本赤十字を通じた義援金やふるさと納税で貢献するのがいいかもしれません