マルチソリューションで今後の環境規制や温暖化抑制に取り組む方針を示しているマツダですが、今回は今後の内燃機関戦略に関する話が出てきています。
今回取り上げるのは「日経xTECH」に掲載されている記事。
(前編)
(後編)
マツダは先月27日に開催した株主総会での承認を経て"最高技術責任者(CTO)"という役職を新設しましたが、これまで主にエンジン開発などを統括されてきた専務執行役員の廣瀬一郎さんが初代CTOに就任。
日経xTECH(日経Automobile)はCTO就任に合わせてインタビューを実施していますが、本日公開された後編の中で内燃機関の今後について廣瀬さんがいくつか明言されています。
①:内燃機関の戦略について。
・当面の間利益を生み出すのは内燃機関なのでマツダとしては最後まで拘る方針だが、エンジンの機種数は少し絞り込んでリソースを新しい領域へ移していく時とも捉えている。
・機種数を絞る必要がある理由1つ目はこれまで行ってきたフレキシブル生産(変種変量生産)の維持が難しくなってきた事。
平常時は問題ないが新型コロナウイルス禍ではエンジンバリエーションの多さが理由で生産に影響が出た。
・もう一つの理由は法規の認可・認証の要件が劇的に増えてきたことで、ハードウエアをいくら効率的に造り分ける技術があっても、最後の認可・認証プロセスで失速してしまう。
最近はサイバーセキュリティーやソフトウエア更新などの法規対応も追加されて、従来部品を継続使用(キャリーオーバー)しても仕様を一つ変えるだけペーパーワークが増えてしまう。
・マツダだけで「内燃機関搭載車を造り続けます」と宣言しても、現状ではサプライヤーの負担も増えてしまるので、機種数を絞って同じ部品を使えるように量をまとめていかないと維持できない。
引き続き内燃機関も重要視していく方針に変わりは無いものの、エンジンの機種数は絞っていく必要があるとの事。
これは新型コロナウィルス禍による影響を受けた教訓に加えて、販売車両の認可・認証を取得するための要件が劇的に増えてきた事が理由のようです。
そして次に気になるのは今後のエンジンラインアップについて・・・。
②:今後のエンジンラインアップはどうなる?
・まだ具体的には言えないが、幹となるエンジンを決めてそこに集約していく。
・ラージ商品群向けの直6エンジンとスモール群向けのエンジンに最新技術を入れて、一つの幹になるシリーズにしている。
・新しい幹は今後10年近く使えると思っているのでこれを生かす。
もちろん改良は行うが大きな投資をかける事はしない。
金輪際コストをかけないわけではなく、非常に効果的な投資できちんと性能を維持向上していく
モデルベース開発(MBD)によってエンジン筒内の燃焼もモデル化されたので、直6 3.3リッターエンジンで採用した最新技術によって直4 2.2リッターを進化させる事も可能。
どれだけ機種数が絞られるのかはまだ明言できないようですが、幹となるのはラージ商品群向けに開発された直6エンジンとスモール群向けとなる最新技術を入れたエンジンとの事。
直6エンジンはまだ登場して間もないので納得ですが、スモール群向けに関しては既存のエンジンに最新技術を採用した改良版が今のところ有力でしょうか・・・?
無くなるエンジンの機種に関しては導入地域に限りがあるものが候補になりそうですが、マイルドハイブリッドや気筒休止システムの有無をグローバルで統一する手法も考えられますね・・・。
これらの内容から考えると今後さらに電動化へ軸足を移していく事が有力ですが、一方でマツダは「第3世代のSKYACTIVエンジン」や「新開発のハイブリッド(ストロングHV)」を2025年頃に投入させる方針をこれまで示しています。
今回取り上げた記事の有料部分ではこれらの内容に関しても明言されているようですが、記事のタイトルが「究極のエンジン"はっきり見えてきた"」となっている事から第3世代SKYACTIVエンジンの登場時期は着実に近づいてるのが有力そうです。
マツダはSKYACTIVテクノロジー発表時から内燃機関を3つのステップで究極にする方針を示していたので、ほぼ予定通りと言えそうですね・・・。
今後各車種に用意されるパワートレインの種類は徐々に整理されていきそうな予感がしますが、一方で新しいハイブリッドシステムや究極系となったSKYACTIVエンジンの登場も楽しみです。