つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

「2023年 マツダ技報」が公開されたので気になる部分を取り上げてみました。

(画像 MAZDA)

その年に発表された新型車や研究開発の成果についてまとめられている「マツダ技報」の2023年版が公開されたので気になる内容をいくつか取り上げてみました。

 

 

マツダ公式HP・マツダ技報紹介ページ

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今年は北米を中心に導入されたラージ商品群第2弾「CX-90」と11年ぶりのロータリーエンジン搭載車として欧州と日本に導入された「MX-30 Rotary-EV」を中心に特集。

その中から特に気になる内容を順番に紹介していきたいと思います。

 

 

ポイント①:CX-90のデザイン手法。

CX-90は日本で販売されないマツダ車なので開発の方向性やストーリーが国内で紹介される機会があまりありませんが、マツダ技報ではデザイン手法に関する内容も掲載。

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CX-90はこれまで北米を中心に販売されてきた「CX-9」の後継車種でもありますが、CX-9に関してはスポーティなデザインが高く評価された一方で、キャビンがコンパクトに見える事がマイナス要素に捉えらえる事もあったとの事。

日本以上に体格が大きい人が多そうな北米などでは想像以上に"デカく見える"事が重要視されるのかもしれませんね・・・。

そこでCX-90はキャビンが大きい(広い)事自体が美しく見える事を意識してデザインされたようですが、マツダミュージアムで見た実車はスタイリッシュさも十分備えてるように感じました。

これに関してはFR駆動のラージ群アーキテクチャーベースになった事も非常に効いてるとの事。

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ポイント②:直6ガソリンターボとディーゼルの共通点と相違点

左:e-SKYACTIV G 3.3T、右:SKYACTIV-D 3.3 (画像 MAZDA)

CX-90と同時に発表されたのが直6ガソリンターボエンジン「e-SKYACTIV G 3.3T」ですが、先に登場した直6ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 3.3」との共通点と相違点が紹介されています。

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資料に記載されてる限りでもかなり多くの要素や構造がディーゼルと共通化されている事が分かりますが、その一方でシリンダーヘッド周辺は別構造。

これは仕様燃料の違いだけでなくスパークプラグの有無も大きく関係してるでしょうね・・・。

シリンダーヘッドの高さが異なる事が書かれていますが、技報によるとエンジンヘッドカバーやエンジンカプセル化のカバーは共通で、ここに関しては特に苦労した事が伺えます。

ちなみに、直6ガソリンターボエンジンに関してはエンジンサウンド開発に関する紹介もされていますが、資料の最後に「読者の皆様にもぜひ CX-90 を運転いただき,6気筒ガソリンターボエンジンのサウンドに共感していただけると,開発陣としてこの上ない喜びである。」と書かれています。

このようなメッセージを見ると日本国内にも直6ガソリンターボエンジン搭載モデルを導入して欲しいところ・・・・(笑)

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ポイント③:ロータリーエンジンの開発ロードマップも存在していた。

マツダレシプロエンジンのロードマップ (画像 MAZDA)

マツダはSKYACTIVテクノロジー発表時から内燃機関を3つのステップで進化させる方針のロードマップを公開していますが、これらはレシプロエンジンの事例でした。

ただ、今回の技報にはロータリーエンジンの開発ロードマップも掲載されています。

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RX-7/RX-8等に搭載されていた13B型ロータリーエンジンは基本設計がかなり古いのでロードマップ上ではほとんどの領域が理想とは遠い状態(Far)と示されていますが、MX-30 Rotary-EVに搭載された8C型は新規開発という事もあってかなり改善されています。

特に「Combustion Period(燃焼時間)」と「Combustion Timing(燃焼タイミング)」はほぼ理想(Close)を達成しているようですが、これは点火時期の遅角化や直噴エンジン化が効いてるようですね・・・。

ただ、他の領域はまだまだ理想とは差がある事に加えて、ロードマップ上には"GOAL"が示されているので、復活したロータリーエンジンはまだまだ進化していくと思われます。

 

 

ポイント④:MX-30 Rotary-EVは車速の上昇にあわせて発電出力を増加させる制御を採用。

MX-30 Rotary-EVに搭載されているロータリーエンジンは発電用なので基本的には一定回転数で動くイメージがありますが、マツダ技報を見ると・・・。

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今回ロータリーエンジンが発電用として採用されたのは元々高回転・高負荷領域の効率が優れている事が理由の一つで、この特性を活かす事で発電時間(作動時間)を短くする事が可能。

さらに発電用という事からエンジン回転数はほぼ一定のイメージを持たれますが、実際は車速に合わせて発電出力を増加させる制御も採用しています。

先日試乗した際もノーマルモードだとほとんどエンジンサウンドに違和感を感じる事がありませんでしたが、このような制御も効いてそうですね・・・。

 

 

ポイント⑤:2023年の資料に何故か"初代アテンザ"が登場・・・。

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今年のマツダ技報にはCX-90・MX-30 Rotary-EV以外の内容も多く掲載されていますが、その中の「空力性能の向上を支援する低圧旋回渦同定手法の開発」という内容の資料を見ると・・・。

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こちらは空気抵抗低減とデザインの両立させる手法で特定の車種にフォーカスした内容ではありませんが、資料に登場する車種は全て初代アテンザです。

2023年の技報なので現行車種で説明するイメージが強いのですが、20年前の車種で説明されてるのがちょっと不思議に思いました(笑)

もしかして担当された開発者さんが初代アテンザに思い入れがあったりするのでしょうか・・・?

 

 

他にも気になる内容は多くありますが、現時点で特に気になった部分は以上となります。

CX-90に関する内容は今後登場するCX-70/CX-80にも採用される可能性が高いですが、発電用ロータリーエンジンに関しては今後の更なる進化と合わせてMX-30に次ぐ搭載車種がいつ出てくるのか気になるところ・・・。

個人的にはロードスター大幅商品改良モデルに関する内容を早く見たいのですが、これに関しては来年のマツダ技報を期待ですね。

また他にも気になる内容が新たに出てきたら改めてブログで紹介したいと思います。