つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

「2021年マツダ技報」が公開されたので気になる内容を取り上げてみました。

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(画像 MAZDA)

 

マツダにおける研究開発の成果が毎年取り上げられている「マツダ技報」の2021年版が公開されたので気になる内容をいくつか取り上げてみました。

 

〇「2021年マツダ技報」

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(画像 MAZDA)

2021年版はMX-30を中心に特集が組まれた内容となっていますが、その中から個人的に気になった内容・ポイントを順番に紹介したいと思います。

 

 

ポイント①:MX-30は第7世代スモール群の"集大成"?

まず最初に気になったのは常務執行役員の小島兵二さんによる巻頭言の最後にあった一文・・・。

〇巻頭言へのリンク(PDF形式)

https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2021/files/2021_no000.pdf

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(画像 MAZDA)

第7世代スモール群ベースの車種はMAZDA3・CX-30の順番で登場してきましたが、MX-30が集大成という事は第7世代スモール群をベースにした車種の開発は全て完了したという事でしょうか・・・?

そうなると次期MAZDA2・CX-3の行方が気になるところですが、MX-30の後に発表された北米向け新型SUV「CX-50」もスモール群ベースと公表されてるのでまだまだスモール群ベースの次期型が出る可能性は残されてるかもしれません。

 

ポイント②:MX-30にフリースタイルドアが採用されたきっかけについて。

MX-30の大きな特徴と言えるフリースタイルドアですが、デザインに関するページで採用されたきっかけについて触れられています。

〇「MX-30のデザイン」(PDF形式)

https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2021/files/2021_no001.pdf

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(画像 MAZDA)

フリースタイルドアが採用されるきっかけは下肢の不自由なRX-8オーナーさんの動画が開発チーム内で共有されたメールに貼られていた事のようです。

MX-30は登場時から車椅子による乗り降りにも触れられていて、昨年末には手動運転装置付き仕様車「MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(通称:MX-30 SeDV)」も発表されましたが、やはり実際に使用されてるオーナーさんの存在や感想が特に大きく貢献するのでしょうね。

 

ポイント③:MX-30の試作車両は外観がCX-30だった?

「MX-30 EV MODELの外部充電システム開発」という項目では試作車両の画像が・・・。

〇「MX-30 EV MODELの外部充電システム開発」(PDF形式)

https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2021/files/2021_no009.pdf

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(画像 MAZDA)

「Verification of Conformity with Charging Standards(充電規格の適合性検証)」という題名の画像にMX-30の試作車両が写ってますが、エクステリアは完全にCX-30です。

正式発表される前にMX-30のテスト車両の目撃談は出てきませんでしたが、外観がCX-30だとさすがに分からないですよね(笑)

逆に考えるとCX-30 EVバージョンを実現させる事も比較的容易と言えるのかもしれませんが・・・。

ちなみに、中国で昨年発売開始された「CX-30 EV」は合弁先の長安汽車製EVユニットを採用しているので中身は全く異なります。

 

ポイント④:MX-30のボディサイドパネルはマイルドハイブリッドモデル・EVモデル共に同じ金型で生産されている。

MX-30は現在マイルドハイブリッドとEVの2種類が発売されていて、それぞれ給油口・充電口の位置が異なりますが、これらのボディサイドパネルは同じ金型で生産されているとの事。

〇「マルチパワーソース車における外観品質の造り込み」(PDF形式)

https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2021/files/2021_no013.pdf

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(画像 MAZDA)

他メーカーでも同じ方法で生産されてるのかもしれませんが、素人考えでは仕様毎に金型を用意してる印象が強かったので中々の驚きでした。

従来の方法では「開口部の形状にあらかじめプレスしてから穴を開ける方法」だったのに対して、MX-30では「開口部無しの状態にプレスしてから穴を開ける方法」なので加工部のひずみ防止や剛性確保に苦労されたとの事。

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「左:従来の加工法、右:MX-30で採用された加工法 (画像 MAZDA)」

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「開口部に違いがあっても光の反射具合は同じ (画像 MAZDA)」

今後はラージ商品群やロータリーマルチxEVで給油口と充電口両方を備えるプラグインハイブリッド車も登場するのでこのような生産手法は重要性が高まっていくでしょうね。

 

ポイント⑤:自動運転技術を活用した駐車支援機能「自動バレーパーキングシステム」を開発中。

MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(通称:MX-30 SeDV)のページの最後に「自動運転技術を活用した駐車支援機能"自動バレーパーキングシステム"を開発中」と紹介されています。

〇「Self-empowerment Driving Vehicle の開発」(PDF形式)

https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2021/files/2021_no015.pdf

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自動バレーパーキングシステムを構成する4つの技術がこちら。

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(画像 MAZDA)

今回の資料ではMX-30 Self-empowerment Driving Vehicleを対象にした技術開発として紹介されていますが、駐車支援システムは他メーカーでも導入車種が増えてきてるので他のマツダ車への展開も視野に入ってるかもしれませんね。

 

ポイント⑥:高圧縮版SKYACTIV-G 1.5の上部にあるシルバーの物体は「刷新されたクールド EGR システム」だった。

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(画像 MAZDA)

昨年6月に発表されたMAZDA2 2021年商品改良モデルで新たに搭載された「高圧縮版SKYACTIV-G 1.5」の上部に追加されたシルバーの謎の物体(画像の矢印部分)ですが、今回のマツダ技報で「刷新されたクールド EGR システム」と紹介されています。

〇「新型 1.5L ガソリンエンジンの紹介」(PDF形式)

https://www.mazda.com/globalassets/ja/assets/innovation/technology/gihou/2021/files/2021_no016.pdf

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(画像 MAZDA)

ちなみに高圧縮版SKYACTIV-G 1.5は日本(圧縮比14)と欧州向け(圧縮比15)のMAZDA2に搭載されていますが、日本仕様はエンジンヘッドカバーが無いのに対して欧州向けは装着されているのが特徴となっています。

 

2021年マツダ技報で気になった内容は以上となります。

かなり専門的な内容や説明も多いのでまだまだ理解出来てない部分も多いですが、細かな研究開発の積み重ねによって現在のマツダ車が形作られてる事を毎年時間出来るので技報を見るのは楽しみだったりします。

来年以降はラージ商品群の直6エンジンや発電用ロータリーエンジンに関する内容も紹介されると思うので2022年版も楽しみにしておきたいと思います。