つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

欧州マツダ副社長が「MAZDA6の今後」や「発電用ロータリーエンジン」を中心にマツダの現況や今後について証言。

(画像 MAZDA UK)

ドイツと北欧でまもなくCX-60の販売がスタートするマツダですが、欧州マツダの副社長が現況や今後の展開について詳しく証言されています。

 

今回取り上げるのはポーランドの自動車メディア「dziennik.pl」が掲載したこちらの記事。

欧州マツダの副社長であるWojciech Halarewicz氏へ取材を行った記事ですが、かなり広範囲にわたってマツダの現況や今後について証言されているのでその中から特に気になった部分を順番に紹介したいと思います。

 

Q1:コロナ禍や半導体・部品不足の影響や対処について。

もっと多くの販売・生産台数を達成できるはずでしたが、コロナ禍や半導体・部品不足の影響で販売店における新車在庫台数や納期に影響が出ている。

欧州マツダは2021年度に前年比8%プラスとなる16万台弱の販売台数を達成したが、これは当初設定した目標(20万台)に達していない。

コロナ禍や半導体・部品不足の影響によって私たちは意思決定のプロセスを変更せざるを得なくなった。

 

Q2:意思決定プロセスの変更の一例。

最新モデルの「CX-60」は防府第2工場で「MAZDA6」と同じ生産ラインで製造されているが、この2つのモデルの部品サプライヤーは全く別になっている。

その結果片方のモデルの部品が不足した場合もう一方のモデルの生産を早めて増産する事も可能で、これは週単位で調整している。

さらに、ロシアでノックダウン生産する予定だった約300台分の部品をポーランド向けの車両用に振り分ける事も出来た。

 

Q3:ウクライナ問題の影響は?

マツダウクライナやロシアのサプライヤーから部品を入手して無いので車両生産における影響は受けていない。

車両生産では中国のロックダウンによる影響を受けており、一例としてはCX-5の電動テールゲートに関する部品が不足している。

欧州市場では電動テールゲートを除いた仕様をお客様に提案する方針で動いていますが、幸いにも非常にポジティブな反応をいただき6,000台以上の再注文を獲得する事ができました。

 

Q4:CX-60の販売状況や納期は?

すでに予約注文を受付開始しており、9月には欧州全土で販売開始予定。

今から注文しても確実に2022年末までの納車が出来ないくらいに予約が増加している。

欧州では3月の予約開始から3週間で3,000件の注文を獲得し、5月中旬には6,000台を突破している。

当初想定してした先行予約台数の目標は1,500~2,000台。

 

Q5:電動化と内燃機関の将来について。

マツダは以前から"マルチソリューション"が重要で現在の混乱に関係なくEVやハイブリッド車も導入する方針を示してきた。

混乱が起きやすい過渡期だからこそ冷静でクールなアプローチを行わなければならない。

内燃機関に未来はあると信じており、課題はエンジン自体ではなく燃料だと考えてバイオディーゼルやe-fuelなどの合成燃料の研究を行っている。

幅広い解決策・技術に加えて車の使われ方も多岐にわたる事を考えると2050年頃でもEVだけの世界にはなってないと考えています。

 

Q6:2025年から2030年頃までにマツダ車はどうなっている?

マツダの車種は全て何らかの電動化技術が採用される。

ハイブリッドに加えてプラグインハイブリッドやEVも提供する事で選択肢は間違いなく増えるが、これは自動車市場全体の動きとも言える。

これまでプレミアムブランドの特徴であった高性能・高出力車は少数派になる。

 

Q7:マツダの電動化戦略についてより詳しく。

新たなソリューションとして2025年以降に導入する「EV専用スケーラブルアーキテクチャー」があり、すでに"広島での開発"は始まっている。

このアーキテクチャーは車両の「全長・全幅・全高」だけでなく「セグメント・性能・航続距離」に対しても柔軟性があるので、実用車からスポーツカーまで視野に入れる事が出来る。

さらに新しいロータリーエンジンを搭載した「MX-30 R-EV」も今年から生産開始予定。

「MX-30 R-EV」に搭載されるロータリーエンジンは発電用で、電動化車両の種類としてはプラグインハイブリッド車になる。

「MX-30 R-EV」の反響次第では他のモデルへの搭載も検討している。

ロータリーエンジンは様々な燃料に対応できる特徴があるので、過渡的な技術ではなく将来的に駆動用としても採用される可能性がある。

 

Q8:CX-60に設定される直6エンジンについて。

内燃機関の未来はよりエキサイティングになり、CX-60では2つの直6エンジン「3.3Lディーゼルターボ(e-SKYACTIV-D)」「3.0L ガソリンNA(e-SKYACTIV-X)」を導入する。

ディーゼルエンジンは現在もCX-60のようなサイズのSUVを中心に搭載されており、山間部にお住いや多くの荷物を積んで長距離移動されるユーザーさんはもちろんの事、トレーラーなどを牽引する場合にも非常に有効。

さらに、フランスでは一部の都市でディーゼルエンジン搭載車の乗り入れ規制が導入されている点から当初はディーゼルエンジン搭載車の導入は予定して無かったが、国内の販売状況を詳しくチェックすると規制があるにも関わらずユーザーはディーゼルを購入している事が分かりました。

欧州向けの直6ディーゼルターボ"e-SKYACTIV-D 3.3"は2種類のスペックを設定して2022年末に生産開始予定、PHEVモデルとは違ってAWDだけでなく2WD(FR)も設定される。

マツダ独自の燃焼方式を採用した直6ガソリンNAエンジン"e-SKYACTIV-X 3.0"は2023年に発売予定。

欧州におけるCX-60の販売はPHEVが中心で、2つの直6エンジン搭載モデルはそれぞれ10~15%程度のシェアになると予測している。

 

Q9:MAZDA6の今後について。

欧州でDセグメント乗用車市場は縮小を続けていますが、MAZDA6は2022年モデルと2023年モデルを発売する予定。

2025年~2030年頃の間にMAZDA6の"直接的な次期モデル"を出す計画はありません。

ただし、MAZDA6オーナー等を対象に今後もマツダ車を選んでいただける"新たな提案"を行います。

さらにCX-5の今後についても不透明になっているが、このモデルの後継車は現在MAZDA6だけでなくCX-5をお使いになっているユーザーに向けた提案になると考えている。

私たちはMAZDA6のお客様をよく理解しており、誰もが納得できる選択肢を残せるようにしたいと考えています。

 

かなり広範囲にわたってマツダの現況や今後について証言されていますが、その中で気になるのはやはり「MAZDA6の今後」に関する項目。

すでにこのブログでは「ラージ群アーキテクチャーをベースにした次期MAZDA6が今のところ計画されてない」という証言が欧州だけでなくオーストラリアでも出ている事を取り上げました。

今回の記事ではさらに"新たな提案"を計画してるという証言が出てきているのはかなり興味深いですね・・・。

さらに、新たな提案という後継車はCX-5ユーザーも対象となる可能性にも触れられていますが、これはCX-5も次期型の存在が不透明になってきてるという事のようです。

取材の行ったメディアは「2023年に登場が有力視されるラージ群SUV"CX-80"が新たな提案に当たるのでは?」と推測したようですが、このモデルは3列シートSUVなのでMAZDA6やCX-5ユーザーに向けた提案とは少し違う気も・・・。

個人的には現行MAZDA6に替わる全く新しい4ドアクーペやシューティングブレークが新たな提案として登場して欲しいところですが(笑)

 

なかなか先が読みにくいMAZDA6の今後ですが欧州では次のモデルイヤーとなる2023年モデルを発売予定で、オーストラリアでもいくつかのアップデートが予定されているという情報も出ています。

次期型・後継モデルの存在はもちろんですが、現行モデルのアップデートもどのような内容になるのか気になるところですね・・・。