つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

マツダのパワートレイン開発担当役員が直6エンジンの環境性能や今後のエンジン開発に向けたキーポイントについて証言。

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(画像 MAZDA)

日本仕様やプロトタイプ車が初公開されてからより詳細な情報が続々と出てきているマツダのラージ商品群第一弾モデル「CX-60」ですが、今回は搭載される直6エンジンの環境性能や今後の開発に向けたキーポイントについて取り上げたいと思います。

 

今回取り上げるのはマツダ執行役員でパワートレイン・統合制御システム開発を担当されている中井英二さんが複数の自動車メディアの取材で証言されている内容。

(こちらは昨年MAZDA3/CX-30用SKYACTIV-Xのソフトウェアアップデートが発表された時に中井さんがインタビューに答えてる動画)

CX-60日本仕様とプロトタイプ車が初公開されたのに合わせて、今回も各メディアから取材を受けているのでその中から気になった内容を取り上げたいと思います。

 

まずは「日経クロステック」に掲載された記事から。

こちらの記事では新開発された直6エンジンの環境性能を中心に回答されています。

Q1:直6エンジンは現在のところ3種類(SKYACTIV-D 3.3、SKYACTIV-X 3.0、北米向けのガソリンターボ(種類は未公表)が公表されているが、マイルドハイブリッド無しの仕様もあるのか?

3種類のエンジンとも電動化していないモデルも存在する。

いずれも8速ATと組み合わせて、国や地域の需要と環境規制などによって使い分ける方針

マイルドハイブリッド無しの直6エンジンはすでにCX-60日本仕様の「SKYACTIV-D 3.3」が発表されていますが、それ以外の直6エンジンでもマイルドハイブリッド無しのバージョンがあるとの事。

主に北米市場へ導入予定の「CX-70」「CX-90」に搭載予定のガソリンターボ(種類は未公表)もマイルドハイブリッド無しになりそうですが、直4仕様でマイルドハイブリッド有りしか用意されていないSKYACTIV-Xも含まれるのは興味深いところですね・・・。

 

Q2:欧州で発表されたCX-60 PHEV仕様のCO2排出量は33g/kmだったが、マイルドハイブリッド仕様の数値はどうなる?

マイルドハイブリッドを採用した直6エンジン「SKYACTIV-G」「SKYACTIV-D」「SKYACTIV-X」はいずれも、欧州で定められた企業平均「95g/km以下」というCO2排出量の規制値をクリアする水準を達成している。

先日解禁されたプロトタイプ車両の試乗レポートによると「マイルドハイブリッド無しの直6 SKYACTIV-D 3.3で燃費は"約19.0km/L(WLTC)"、マイルドハイブリッド有りだと20.0km/L台も視野に入る」と報じられていました。

この情報からマツダの直6エンジンはかなり優れた環境性能を達成している事を程度想像出来ましたが、欧州で重要視されるCO2排出量も95g/km以下をクリアする水準を達成しているとの事。

ちなみに、直6のSKYACTIV-Gというのはおそらく北米向けの「CX-70」「CX-90」に搭載されるターボエンジンを指していると思われますが、現時点でマツダから正式に種類が公表されて無いので続報が気になるところですね・・・。

 

Q3:直6 SKYACTIV-D 3.3の対応燃料や熱効率に関する情報

カーボンニュートラル燃料やバイオ燃料を将来的に使用することを想定して開発、燃料消費の抑制という観点で、内燃機関の進化は今後も重要になる。

・新エンジンは、広い動作範囲で熱効率40%以上を達成している。

マツダバイオディーゼル仕様の直4 SKYACTIV-Dを搭載したマシンでスーパー耐久へ参戦開始するなど合成燃料の活用に向けて積極的な動きを見せていますが、今回登場した直6エンジンも開発時から将来的に使用する事を想定しているようです。

さらに、熱効率は"広い動作範囲"で40%以上との事なので、カタログ燃費以上にあらゆる使用環境で優れた実燃費を達成することを重要視していると思われます。

 

続いては「Motor-fan」に掲載された記事から。

こちらでも直6エンジンに関する事を中心に中井さんへインタビューした内容が掲載されていますが、記事の後半で今後のエンジン開発に向けたキーポイントに関する内容があります。

Q1:マツダはSKYACTIVテクノロジー導入時から3つのステップで理想の燃焼を目指す方針を示していて、ガソリンでは「SKYACTIV-X」、ディーゼルでは今回発表された直6 SKYACTIV-D 3.3が2つ目のステップですが、次のステップに向けたキーは?

次は「遮熱」です。

いい燃焼をすると圧力が上がったり発熱がたってくるので熱が逃げやすくなるが、それをしっかりと遮熱することで出力も出せるので、これからは壁面の熱をしっかりやってそういった制御をやっていく。

そうするとまた同じくらい性能が伸びると思う。

燃焼室はちょっと変わるかもしれませんが、骨格はそんなにいじらないでさらに理想に近づくことが出来ると思っています。

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(画像 MAZDA)

マツダはSKYACTIVテクノロジー導入時から理想の燃焼達成に向けたロードマップを公開しており、今回発表された直6 SKYACTIV-D 3.3はディーゼルエンジンにおける2ndステップになります。

こちらのロードマップでも3rdステップ実現に向けた課題は「断熱」と表記されているので、中井さんの回答を見るとSKYACTIVのエンジン開発は計画通りに進んでいると言えますね。

 

ラージ商品群に搭載される直6エンジンの性能や走りはもちろんですが、3rdステップとなるマツダの次世代エンジンもどうなるのか引き続き注目したいところです。