今年に入ってから件数が少ない状況が続いている国内におけるマツダの特許情報ですが、今週は少し気になる特許出願が公開されています。
〇特許情報プラットフォーム
今週取り上げるのは「多気筒エンジンの側部構造」という題名の内容を4件。
①:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-131297
〇資料に記載されている特許の目的
本発明は、車両前突時においてもエンジンに取り付けられた燃料ポンプの破損を抑制することができる多気筒エンジンの側部構造を提供することを目的とする。
②:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-131298
〇資料に記載されている特許の目的
本発明は、車両前突時においても補機による燃料ポンプ等への衝突を抑制し、当該燃料ポンプ等の破損を抑制することができる多気筒エンジンの側部構造を提供することを目的とする。
③:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-131299
〇資料に記載されている特許の目的
本発明は、多気筒エンジンに対して吸気マニホールドを確実に固定しつつ、車両前突時において燃料ポンプ等の破損を抑制することができる多気筒エンジンの側部構造を提供することを目的とする。
④:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-131300
〇資料に記載されている特許の目的
本発明は、車両前突時に吸気マニホールドがエンジンルームの後方へと移動した場合にも、吸気マニホールドの後方に配設された燃料ポンプの破損を抑制することができる多気筒エンジンの側部構造を提供することを目的とする。
いずれの内容も衝突時に燃料ポンプなどの破損を防ぐ事を目的とした特許出願ですが、エンジンは縦置き搭載(=FRベース)で2つ目の内容では吸気通路が"6本"と書かれているので資料に書かれている多気筒とは6気筒エンジンの意味と思われます。
過給機の有無や使用燃料は明記されていませんが、今回取り上げた特許出願で注目なのは「縦置きエンジンでB-ISG採用を視野に入れている事」
ここ最近電動化技術採用モデルが増えているマツダですが、現在登場しているFRベースのハイブリッド車はCX-60/CX-90の「48Vマイルドハイブリッド」「プラグインハイブリッド」で、どちらもエンジンとトランスミッションの間にモーター(ISG)を挟み込む構造。
それに対して今回公開された特許出願はエンジン本体横にベルト駆動式のモーター(B-ISG)を取り付ける比較的簡素なハイブリッドとなっており、これはFFベースのMAZDA3やCX-30に搭載されている24Vマイルドハイブリッドと同じシステム。
つまり今回公開されたのはまだマツダの量産車に存在しない構成という事になります。
元々ラージ商品群がFRベースになったのは、直6エンジンを搭載する事に加えてエンジンとトランスミッションの間にモーターを挟み込むスペースを確保する事が目的と伝えられていたので、ここにきてスモール群と同じシステムを採用した特許が出てくるのはちょっと驚きですね・・・。
マツダからB-ISG採用のFRベースモデルは発表されていませんが、一つ可能性として考えられるのはCX-60欧州仕様に追加予定と公表されている「直6のe-SKYACTIV X」
MAZDA3・CX-30に搭載されている直4Ver.のe-SKYACTIV Xはスーパーチャージャー(高応答エア供給機)が搭載されていますが、欧州マツダのニュースリリースによると直6Ver.は過給機を搭載しないシンプルな構造になるとの事。
この事からハイブリッドシステムもより簡素なB-ISG式になる可能性があるかもしれません
ただ、既存の直6エンジンと同様に48Vマイルドハイブリッド採用を匂わせる記述もあるので予想が間違ってる可能性も十分ありますが・・・。
あと、6気筒エンジン以外では「CX-60 SKYACTIV-G 2.5搭載車」や「ロードスター」にB-ISG式マイルドハイブリッドを採用する事を意識した特許の可能性も考えられます。
特に「ロードスター」はまだ当分現行モデルが販売継続される可能性がかなり高いので、2025年頃から欧州で施行される排ガス規制"ユーロ7"に合わせてマイルドハイブリッドが搭載されるかもしれませんね・・・。
いつも通り"あくまで特許"ではありますが、今回取り上げた内容と同じ構成のハイブリッドシステムがFR車に搭載される事があるのか気になりますね。
今週気になった特許出願は以上となりますが、来週以降も気になった内容を随時取り上げていきたいと思います。