今週新たに公開されたマツダが出願中の特許は4件。
その中から気になった内容を取り上げます。
今週取り上げるのは3件の「車両の前部車体構造」という題名の内容。
〇1件目
特開2020-157950 | 知財ポータル「IP Force」
資料に記載されている特許の目的は・・・・
前輪は一般的にサスペンションリンクを介して支持されており、スモールオーバーラップ衝突時には、前輪がサスペンションリンクの車体への支持点を中心として或いはサスペンションリンクの折れに伴い車体の車幅方向内側へ旋回しながら後退する。
特に、エンジンが縦置きされるような後輪駆動車等の車両においては横置きされるような車両と比してホイールハウスがヒンジピラーに対して前方により離間して配置されることが多い。このようにパワートレインのレイアウトや車両のデザインによってはヒンジピラーとホイールハウスの間隔が長くなる場合があり、その場合にはスモールオーバーラップ衝突時に車室内だけでなくエンジンルームやダッシュパネル等の車体前部の車幅方向内側へホイールハウス等が侵入する懸念があるため、適切なグランスオフを行うための対策を講じる必要があった。
そこで、この発明はヒンジピラーに対して車両前方に離間して設けられたホイールハウスを備えた車両においてスモールオーバーラップ衝突時に後退する前輪を確実にグランスオフさせることにより、前輪の後退を抑制することができる車両の前部車体構造の提供を目的とする。
〇2件目・3件目(内容はほぼ同じなので纏めます)
特開2020-157951 | 知財ポータル「IP Force」
特開2020-157952 | 知財ポータル「IP Force」
資料に記載されている特許の目的は・・・・。
エンジンが縦置きされるような後輪駆動車等の車両においては、横置きされるような車両と比して前輪がヒンジピラーに対して前方に、より離間して配置されることが多い。
このため、このようなパワートレインのレイアウトや車両のデザインを採用した場合においては、ヒンジピラーと前輪との間隔が長くなることに起因してスモールオーバーラップ衝突時にヒンジピラーの前方から後退する前輪が車幅方向内側へ侵入し易くなることが顕在化することが懸念される。
そこで、補強部材をヒンジピラーよりも前方に配置することで、スモールオーバーラップ衝突時に後退する前輪の車室内への侵入をより未然に防ぐことができる事を想定した特許も申請されている。
しかしその一方で、補強部材がヒンジピラー内部に設けられている構成とは異なり、補強部材をヒンジピラーよりも前方に設けた場合には、補強部材によって後退する前輪を受け止めて車幅方向外側に変位させる際に該補強部材自体が前輪から受ける荷重のうち車幅方向内側成分によって車幅方向内側に変位することが懸念される。
そこで、この発明はスモールオーバーラップ衝突時にガセット(補強部材)の車幅方向内側への変位を抑制しつつ、該ガセットによって後退する前輪を確実にグランスオフさせることができる車両の前部車体構造の提供を目的とする。
赤字で表した部分で分かりますがこの3件は「縦置きエンジンでFRベース車両のスモールオーバーラップ衝突時の対策」に関する内容です。
縦置きFRと言えば次世代ラージ群モデルとロードスターが頭に浮かびますが、2件目・3件目の資料にヒントがありました。
左の図は右の赤丸部分を室内側から見た状態ですが、図の中に”No.111s”で示された窪んだスペースが。
このスペースに関して資料ではこのように記載されています。
節部材111は、インナ本体部110からヒンジピラー1の閉断面空間1sの側(車幅方向外側)へ凹むとともに車幅方向内側に向けて開口した内部空間111sを有して形成されている。
この内部空間111sには、車載用の補機(機能部品)として例えばオーディオスピーカー(図示省略)が格納される。
つまり、MAZDA3やCX-30と同様にスピーカーをドアパネルでは無くカウルサイドに装着することが想定されています。
(下画像は現行MAZDA3と先代アクセラのスピーカー位置の違い)
ロードスターはまだしばらく現行モデルが継続されるのが有力そうなので、今回の3つの特許出願は次世代ラージ群モデルに関する内容である可能性が高そうです。
MAZDA3から導入されてるオーディオシステムは標準・BOSEどちらもかなりイイ評判を耳にする機会が多いので次世代ラージ群モデルに採用された場合も商品価値を大きく押し上げる要素になりそうですね。
今週の内容は以上となります。
来週もどのような内容が出てくるのか楽しみにしておきたいと思います。