今週新たに公開されたマツダが出願中の特許。
スモール商品群の北米向け新型SUV「CX-50」関係と思われる内容を取り上げた前編に続いて後編ではそれ以外に気になった内容を取り上げます。
スモール商品群の北米向け新型SUV「CX-50」関係と思われる内容を取り上げた前編はこちら。
後編の最初は「電動車両の下部構造」という題名の内容から。
特開2021-160510 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的。
フロア下方のトランスミッション後方側にバッテリユニットが取り付けられる電動車両において、トランスミッションやバッテリユニットの支持剛性を高めるために支持部材を強固なものにすると重量が増加してしまう。
一方で、衝突(正突や斜突)時にトランスミッションが後退してバッテリユニットや高電圧機器等に当接してこれらの部品を損傷させてしまう課題を解決する必要もある。
この発明は、車幅方向における車両外側で車体に取り付けられる横フレームを活用してトランスミッションの車両前後方向後部に対する支持剛性を高めることを主な目的とする。
こちらはフロア下にバッテリーを搭載しているのでハイブリッド車ですが、センタートンネルにトランスミッションが搭載されているので縦置きFRベースとなります。
加えて気になるのは縦と横のフレームがアルミ製押し出し材の使用を想定している点。
アルミ製押し出し材といえばこれまでに取り上げたスポーツカー関係の特許出願と関係があるようにも感じますが、比べてみるとフレーム形状は違います・・・。
ハイブリッド用バッテリー搭載が視野に入っているので今回の特許はラージ商品群に関係する内容かもしれませんね。
続いては「車両の下部構造」という題名の内容が6件出ています。
(1件目)特開2021-160515 | 知財ポータル「IP Force」
(2件目)特開2021-160516 | 知財ポータル「IP Force」
(3件目)特開2021-160517 | 知財ポータル「IP Force」
(4件目)特開2021-160518 | 知財ポータル「IP Force」
(5件目)特開2021-160519 | 知財ポータル「IP Force」
(6件目)特開2021-160520 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的。
(1件目)
本発明は、フロアパネルの下方にプロペラシャフトの車幅方向両側に第1及び第2バッテリユニットが配置される車両について、衝突時に第1及び第2バッテリユニットとバッテリハーネスとを保護すると共にバッテリバッテリハーネスへの作業者の接触を抑制することができる車両の下部構造を提供することを課題とする。
(2件目)
本発明は、フロアパネルの下方にプロペラシャフトの車幅方向両側に第1及び第2バッテリユニットが配置される車両において、衝突時にバッテリパックを保護すると共にバッテリ容量及び車室空間の低下を抑制することができる車両の下部構造を提供することを課題とする。
(3件目)
本発明は、フロアパネルの下方にプロペラシャフトの車幅方向両側に配置される第1及び第2バッテリユニットを有するバッテリパックが備えられた車両において、側面衝突時に第1及び第2バッテリユニットを保護することができる車両の下部構造を提供することを課題とする。
(4件目)
本発明は、フロアパネルの下方にプロペラシャフトの車幅方向両側に第1及び第2バッテリユニットが配置される車両において、フロアパネルの下方にバッテリ容量を確保しつつバッテリ関連電気部品を配置すると共に第1及び第2バッテリユニットとバッテリ関連電気部品とを保護することができる車両の下部構造を提供することを課題とする。
(5件目)
本発明は、フロアパネルの下方にプロペラシャフトの車幅方向両側に第1及び第2バッテリユニットが配置される車両において、フロアパネルの下方に高電圧部品と排気系部品とをコンパクトに配置すると共に排気系部品による高電圧部品の熱害を抑制することができる車両の下部構造を提供することを課題とする。
(6件目)
本発明は、フロアパネルの下方にプロペラシャフトの車幅方向両側に第1及び第2バッテリユニットが配置される車両において、バッテリ制御ユニットを車両前後方向にコンパクトに配置しつつバッテリ容量及び車室空間の低下を抑制することができる車両の下部構造を提供することを課題とする。
こちらは縦置きFRベースのハイブリッド車に関する内容ですが、最初に取り上げた「電動車両の下部構造」という題名の説明図と構造が似ています。
あと、ハイブリッド用バッテリーがかなり大型ですが、マツダが公表したラージ商品群プラグインハイブリッドの画像と似てるので関係性は強いかもしれませんね・・・。
続いては「車両の前部車体構造」という題名の内容。
特開2021-160559 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的。
本発明の目的は、車両の外観性とボンネット操作性とを両立可能な車両の前部車体構造等を提供することである。
こちらはボンネットに関する内容ですが、注目点は「ボンネットダンパー採用を視野に入れてる点」
すでに一般的になってきているボンネットダンパーですが、マツダ車ではまだ純正採用されていませんでした・・・。
今後の登場してくるモデルでようやく採用されるのか気になるところですね。
続いては「変速機の潤滑構造」という題名の内容。
特開2021-162136 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的。
本発明は、第1ギヤ列によって掻き揚げられたオイルを第2ギヤ列のギヤ噛合部に供給する変速機において、ギヤ噛合部に供給するオイル供給量を確保しつつオイルの貯留レベルを低減させて燃費性能の向上を図ることができる変速機の潤滑構造を提供することを課題とする。
こちらは赤線で示した通り「縦置きFR車用の6速MT」に関する内容です。
ロードスター用の改良版という可能性もありますが、ラージ商品群用という期待も高まりますね・・・。
ただ、まずは何より今も変わらず縦置き用MTを進化される動きが続いてるのを感じられるのは嬉しいところです。
最後は「運転姿勢設定用シート制御装置および該方法」という題名の内容。
特開2021-160643 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的。
本発明の目的は、乗員の体型に応じて適切な運転姿勢を自動的に実現できる運転姿勢設定用シート制御装置および運転姿勢設定用シート制御方法を提供することである。
マツダはSKYACTIV導入時からドライビングポジションを特に重要視してこれまでにも適切なドライビングポジションの取り方などもPRしていましたが、現状ではまだまだ浸透しているとは言い切れないのが正直な印象・・・。
今回の特許出願はドライバーの体型や目の高さを自動的に検知して最適なドライビングポジションに調整してくれるという内容になっています。
かなりスゴイ制御に感じるのですぐに量産車へ反映されるのか不明ですが気になる内容ですね・・・。
前編と後編で分けてきましたが今回新たに公開された特許出願で気になった内容は以上となります。
今週は木曜日にも新たに公開される可能性があるのでこちらでも気になる内容があれば取り上げていきたいと思います。