本日2023年9月14日、マツダが発電用ロータリーエンジン搭載のPHEV「MX-30 Rotary-EV」の予約受注開始を正式発表しました。
発電用ロータリーエンジンを搭載したMX-30のプラグインハイブリッドモデルは今年1月のブリュッセルモーターショーで「MX-30 R-EV」としてワールドプレミアされ、欧州ではすでに先行予約もスタート。
国内でも4月に開催されたAUTOMOBILE COUNCIL 2023で実車が国内初展示されたのに加えて、5月の決算発表でも日本にも導入予定と公表されてました。
このような状況から国内導入に関する続報が待たれていましたが、本日マツダから予約受注開始が正式発表されたので内容を詳しくチェックしていきたいと思います。
〇マツダ公式HP・MX-30 Rotary-EV専用サイト
まずブログの題名にも書いていますが、国内仕様の正式名称は「MX-30 Rotary-EV」となっており、この名称は7月に国内で商標出願が公開されています。
ポイント①:搭載される発電用ロータリーエンジン"8C型"やハイブリッドシステムのスペックをおさらい。
欧州ではすでに発電用ロータリーエンジン"8C"のスペックが公開されていましたが、今回の予約受注開始に合わせて国内仕様の主要諸元も公開したのでハイブリッドシステムも含めて比較。
基本的なスペックは欧州仕様とほぼ同一ですが、国内仕様はレギュラー燃料になっている事もあって最高出力と最大トルクは僅かに抑えられています。
ただ、モーターやバッテリーは全く同じスペックなので走行性能自体も変わらない可能性が高そう・・・。
何よりこれまで市販されてきたロータリーエンジン搭載車はほぼハイオク仕様だったので、レギュラー燃料に対応してるのは朗報ですね。
あと、参考までに国内で販売されている主なPHEV車との比較も・・・。
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とりあえずすぐに思い浮かんだPHEVモデルと比較してみましたが、まずMX-30 Rotary-EVの大きな特徴は4台中最大となる17.8kWhのバッテリー容量で、これはCX-60 PHEVモデルと同じバッテリー容量になります。
市街地モード燃費がやや低めなのが気になっていましたが、EV航続距離が107㎞ある事を考えると実際の市街地走行や普段使いでエンジンが作動する場面はかなり少ないかもしれません。
マツダもEV航続距離は国内で販売されているプラグインハイブリッドでトップクラスとPRしているので、基本はBEVに近いモデルと言えそうです。
あと、車両スペースの関係上バッテリー容量が大きくなると燃料タンクのサイズは小さくなるのが一般的ですが、MX-30 Rotary-EVは4台の中で最も大きい50Lで、この容量はMX-30・CX-30・MAZDA3のマイルドハイブリッドモデル(51L)と同等。
元々車体サイズにそれほど余裕が無いCセグメント車で燃料タンク容量を維持しつつ、車体サイズがより大きいCX-60 PHEVモデルと同じ容量のバッテリーを搭載してるのはなかなか凄い気がします。
実はCX-60 PHEVモデルの燃料タンクも50Lなのでなおさら・・・。
プラグインハイブリッド車の場合は充電設備の使用頻度によって実燃費が大きく変わりますが、EV航続距離と燃料タンク容量を考えるとMX-30 Rotary-EVはガソリンスタンドへ行く回数がかなり少なくて済む可能性もありそうです。
MX-30 Rotary-EVには走行シーンに合わせて3つのモードが選択可能なので、こちらも活用するとより効率的にエネルギーを使用する事が可能。
そしてもちろんEVモデルと同様に「V2L(=vehicle to Load)」「V2H(=vehicle to home)」にも対応しているので、アウトドアや緊急を要する場面でも大いに役立つと思います。
マツダ公式YouTubeでは走行方法の解説動画も公開されているので、こちらも合わせてチェックしてみてください。
ポイント②:欧州に続いて特別仕様車"EDITION-R"を発売。
1月のワールドプレミアでR-EV発売記念車として発表されていた"EDITION-R"ですが、欧州仕様に続いて国内仕様にもラインナップ。
☆EDITION-R専用装備
①:専用のマルチトーンボディカラー(ジェットブラックマイカ×マローンルージュメタリック)
②:ヘッドレストにEDITION-Rのエンボス加工を施した専用のブラック内装(合成皮革×クロス)
③:EDITION-R専用のアドバンスドキーとフロアマット。
EDITION-Rの専用装備と言えばアペックスシールが装着されるローター局面(ローターアペックス)と同じ幅・角度のデザインが採用されたアドバンスドキーが話題になりましたが、実はフロアマットのタグに入っている白いラインもローター局面を同じ2.6mmになっています。
ロータリーエンジン好きとしてこのような細かなコダワリは嬉しいポイント♪
ポイント③:Rotary-EVのグレード構成、MX-30国内仕様初導入の内装もあり。
Rotary-EVモデルは先に紹介したEDITION-Rも含めた5グレード構成で、基本的な装備や内装色も既存のEV・マイルドハイブリッドと同じですが、Rotary-EVモデルでは既存の内装色に加えて合成皮革とクロス素材を組み合わせたブラックカラー内装"Natural Monotone"が登場。
この内装は昨年春に発表された欧州仕様2022年モデルで初登場していましたが、MX-30国内仕様にはこれまで設定されていませんでした。
現在のところこの内装が選べるのはRotary-EVモデルのみですが、今後EV・マイルドハイブリッドモデルにも追加されるのか気になるところ・・・。
ポイント④:MAZDA3/CX-30と違って10.25インチのマツダコネクト用ディスプレイなどは未採用。
MX-30と同じスモール群アーキテクチャーベースのMAZDA3/CX-30は今年に入ってから「10.25インチのマツダコネクト用ディスプレイ」や「USB Type-C」などが新たに採用されましたが、MX-30はRotary-EVモデルも含めて仕様変更は行われていません。
ナビゲーション用SDカードもアドバンスのままなのに加えてステアリングスイッチも変わっていないので、MX-30自体の商品改良は今回実施されていないようです。
これらは欧州仕様も同様なので、MAZDA3/CX-30と同様の装備になるとしても来年以降でしょうか・・・?
ポイント⑤:MX-30国内仕様全体のグレードと価格をおさらい。
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欧州仕様はEVとR-EVの車両本体価格が同じでしたが、国内仕様の場合はRotary-EVモデルの方が20万程度価格が抑えられています。
ちなみにRotary-EVモデルはEVモデルと同様に「環境性能割・エコカー減税・CEV補助金」などの対象車種になっている事に加えて、活用されてる方も多いマツダスカイプランでもエンジン車と同等の残価率が設定されているので、購入時には合わせてチェックを。
あと、欧州向けのMX-30 R-EVは6月22日から量産が開始されていますが、マツダ公式ニュースリリースでは生産ラインの写真も公開。
RX-8が量産されていた時からさらに自動化が行われたようですが、ローターのアペックスシール装着などは現在も"匠"と呼ばれる3名の職人さんによって組み立てられているとの事。
さらにサイドハウジングには787Bの4ローターエンジンに採用されていた「サーメット(セラミック)溶射」を採用してるのはちょっと感動・・・。
冗談抜きでいつかロータリーエンジンの製造工程を見学しに行きたい・・・。
MX-30 Rotary-EVの予約受注は本日から開始されて、11月に発売開始予定と案内されていますが、今週末に開催される「MAZDA FAN FESTA 2023 at FUJI SPEEDWAY」ではMX-30 R-EVに関するトークイベントが実施予定なので、合わせて実車展示も行われるかもしれません。
欧州でもまもなく発売開始される可能性があるので、あとはどのような走りなのか気になるところ・・・。
まずは何より日本国内のモデルラインナップ一覧にロータリーエンジン搭載車が11年ぶりに戻ってきた事を祝いたいと思います♪