つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

「MX-30 Rotary-EVの排気構造」と「マツダの特許出願」からロータリーエンジンの今後を妄想してみる。

発電用ロータリーエンジンを搭載したPHEVとして大きな注目を集めている「MX-30 Rotary-EV」ですが、このモデルの中身からロータリーエンジンの今後を想像してみました。

 

 

MX-30 Rotary-EVはRX-8以来のロータリーエンジン搭載の量産車として正式発表されてから大きな注目を集め続けいていますが、その一方で気になるのはロータリーエンジンの今後」

以前から水素等への適応性に加えてMX-30以外の車種への展開を匂わせる証言も出ているものの、マツダから今後に関する正式な発表はまだありません。

さらに、MX-30 Rotary-EVに搭載されるロータリーエンジン"8C型"は新規開発で製造ラインの改修まで実施されているので、一部では「電動化の必要性が高まってる中で何故?」という疑問も出ているある印象です。

ただ、先日神戸マツダファンフェスタ2023でMX-30 Rotary-EVの実車を見て興味深い部分があったので、それを交えながら今後について想像してみました。

 

 

〇神戸マツダファンフェスタ2023へ行った内容をまとめたブログ記事。

神戸マツダファンフェスタへ行ったブログ記事でも触れましたが、ロータリーエンジンの今後について想像が膨らむきっかけになったのは「MX-30 Rotary-EVの排気構造(排気経路)」

1枚目~3枚目は運転席側からフロア下を撮った写真ですが、すぐそばに排気管が通っているのに加えて、4枚目の写真でも排気管が車体外側(運転席側)へ迂回しているのが確認できます。

このような排気構造になっているのはフロア下ほぼ全面に搭載されているバッテリーを避けるのが大きな理由と思われますが、実はマツダの特許でも同じ排気構造を視野に入れた内容があります。

赤:エンジン緑:排気管青:サイレンサー

特許図と説明文の一部 (画像 IP Force.jp)

説明図を見るとMX-30 Rotary-EVと同様に排気管が車体外側へ迂回しているのを確認できますが、注目なのはこの特許が「アルミ製スペースフレームを採用したスポーツカー」に関する内容である事。

この構造を採用する理由としてバッテリーフロア下に配設したバッテリーを避ける事に加えて、シートなどの重量物をできる限り車体中央へ寄せる事で運動性能向上を狙う事が特許資料に記載されています。

特許資料にエンジンの仕様や搭載方法は記載されていませんが、今後アルミ製スペースフレームを採用したスポーツカーにも発電用ロータリーエンジンが搭載される可能性があるかもしれません。

ちなみに、マツダは発電用1ローターエンジンを"縦置き"にする事を視野に入れた特許も出願しています。

 

 

さらにアルミ製スペースフレーム繋がり(?)で以前から気になっているのが、昨年末頃から公開され始めている「EV専用スケーラブルアーキテクチャー関連」と思われるマツダの特許出願。

特許図と説明文の一例 (画像 IP Force.jp)

フロアほぼ全面にバッテリーが搭載されている事からマツダ2020年代後半から市場投入予定の「EV専用スケーラブルアーキテクチャー」に関する特許なのが有力ですが、車体構造や使用部材が先に紹介したアルミ製スペースフレームとかなり似ています。

さらに、内燃機関は有り or 無し両方含まれているものの、排気管やプロペラシャフトを車体中央に通す事が出来ない"トンネルレス構造"前提なので、これに搭載できる内燃機関はMX-30 Rotary-EVと同じ排気構造の発電用ロータリーエンジンくらいしか思い浮かびません。

あと、今後のエネルギー需要やインフラの動向がまだまだ不透明な中で、大手に比べてリソースに限りがあるマツダ"BEVしか生み出せないアーキテクチャー"を開発するのはややリスクが高いと思っていたので、EV専用スケーラブルアーキテクチャーの中身は「モーター駆動専用アーキテクチャー(BEVだけでなく発電用ロータリーエンジンを載せる事でシリーズ式のHV・PHEVも可能)なのでは?」という妄想も膨らみます。

発電用ロータリーエンジンを搭載する事でバッテリー容量も減らす(=アフォーダブルな車両価格の実現)事が出来るだけでなく、今後の技術開発やインフラ動向次第では"水素"という選択肢も出てくるかも・・・?

(画像 MAZDA)



これまでの内容から将来の発電用ロータリーエンジンの活用例を妄想すると・・・。

妄想例①:量販モデル(MAZDA2・MAZDA3・CX-30あたり・・・?)

(画像 MAZDA)

・EV専用スケーラブルアーキテクチャー採用

・BEVと発電用ロータリーエンジン搭載のシリーズ式HV・PHEVを用意。

・EV専用スケーラブルアーキテクチャー採用によって、HV・PHEVどちらもEV走行可能距離がMX-30 Rotary-EVより拡大。

・MX-30 Rotary-EVに続いてV2L/V2Hなどに対応。

・今後の技術開発次第で水素にも対応?

MAZDA SPIRIT RACING バージョンはモーター出力UP?

妄想例②:次世代ロータリースポーツ & MAZDA6後継4ドアクーペ

(画像 MAZDA)

・アルミ製スペースフレーム

・発電用ロータリーエンジンを"縦置き"にして、ヨー慣性モーメントの低減と理想的な重量配分を実現。

・バッテリー容量を減らして軽量化実現のためにBEV仕様は無し?

・標準モデルは1ローターで後輪駆動。

・高性能モデル"MAZDA SPIRIT RACING Ver."は2ローターでトルクベクタリング可能なAWDインホイールモーター etc・・・)

自分でも妄想を膨らませすぎてる自覚はありますが(笑)、せっかくなら思い切り振り切った方が楽しいかと・・・。

もちろん今後のロータリーエンジンで最も要望が多くて理想なのは"駆動用"としての復活だと思いますが、今後の環境規制や電動化を考えると実現のハードルはどんどん高くなっているので、発電用をベースに上記のようなモデルが出るのも面白いのでは?と考えてみました。

マツダも駆動用ロータリーエンジンの特許を定期的に出願しているので様々な可能性を模索しているはず・・・。

個人的に「EV専用スケーラブルアーキテクチャー」と「スポーツカー用のアルミ製スペースフレーム」はSKYACTIVの手法に倣って"一括企画"されてる気もするのですが、これも考えすぎでしょうか・・・?

 

 

各メディアの記事によると現在マツダロータリーエンジン搭載車の生産可能台数は最大でも年間2万台で、ロータリーエンジン生産ラインで組み立てが出来る作業員さん(通称:匠)もまだ3名しかいないとの事から、MX-30 Rotary-EVの生産・販売台数もしばらくの間限られるはず・・・。

ただ、匠の養成も進められてるとの事なので、将来に向けて徐々に生産体制の強化も進んでゆくと思われます。

まずはMX-30 Rotary-EVの市場導入が最優先ではありますが、ようやく復活したロータリーエンジンが今後どのような形で活用されるのか注目。

今月下旬にはジャパンモビリティショー(旧:東京モーターショー)も開催されるので、今後について何か発表があるのか楽しみですね。