つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

2023年のマツダを振り返ってみました(特許・商標・意匠編)

(画像 IP Force.jp)

2023年もまもなく終わりますが、ここで今年ブログで取り上げた内容を「特許・商標・意匠」と「マツダ全体」に分けて振り返ってみたいと思います。

まずは「特許・商標・意匠」から・・・・。

 

 

「特許(出願公開中心)」

〇2023年1月~3月

2023年序盤は中々目立った特許出願・登録が無い状況でしたが、2月に入ると「EV走行も可能なパラレル式ハイブリッド」に関する特許出願が公開。

現在マツダ車の中でEV走行可能なハイブリッドは縦置きエンジンの「CX-60/CX-90 PHEVモデル」、発電用ロータリーエンジン搭載のシリーズ式PHEV「MX-30 Rotary-EV」がありますが、こちらの特許は横置きエンジンでトランスミッションも備わっているようなので、既存のマツダ車には無い構成と思われます。

マツダは2025年頃に新開発のハイブリッドシステムを導入する予定なので、これに関係する特許かもしれません。

さらに米国では「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」関連と思われる特許出願が日本に続いて3月末に公開。

このアーキテクチャーを採用したモデルは2027年頃から登場予定となっていますが、水面下では着々と開発が進んでいると思われます。

 

 

〇2023年4月~6月

4月に入ると「格納式ドアハンドルを採用した自動車用ドア」に関する特許出願が米国で公開。

格納式ドアハンドルに関する特許は昨年から複数公開されていましたが、これに関しては軽量化だけでなく洗車やワックス掛けにも配慮する記述があったのがマツダらしくて面白かったですね。

あと、格納式ドアハンドルを採用した自動車用ドアに関する特許は4月下旬に日本でも出願公開されましたが、こちらでは既存のマツダ車に無い形状のドアミラーも描かれていました。

どちらの特許も説明図を見る限りだと2ドアクーペやスポーツカー用を意識してそうなので、将来的にロードスターや次世代ロータリースポーツへ採用されるかも・・・・?

そして、6月には「非対称のローターリセス形状を採用した2ローターエンジン」「縦置き搭載した発電用1ローターエンジン」に関する特許出願が公開。

6月の時点で発電用ロータリーエンジンは1ローターのみだったので、2ローターは駆動用と推測していましたが、10月に発表された"ICONIC SP"「ICONIC SP」が2ローター化した発電用ロータリーエンジンを縦置きで搭載と公表されたので、駆動用だけでなく発電用の可能性も出てきています。

 

 

〇2023年7月~9月

7月に入ると「縦置きエンジン用の吸気音増幅装置(インダクションサウンドエンハンサー)」に関する特許出願が公開されましたが、資料に掲載されている説明図を見るとインマニが現行ロードスター・CX-60/CX-90と逆の位置で描かれていました。

これはRX-7/RX-8などのロータリーエンジン搭載車と同じ位置なので、次世代ロータリースポーツを意識した内容かもしれません。

そして9月に入ると「B-ISG採用を視野に入れた縦置きエンジン」に関する特許出願が公開。

現在マツダのFRベースのハイブリッド車はラージ商品群CX-60/CX-90の「48Vマイルドハイブリッド」「プラグインハイブリッド」で、どちらもエンジンとトランスミッションの間にモーター(ISG)を挟み込む構造。

対してこちらの特許はエンジン本体横にベルト駆動式のモーター(B-ISG)を取り付ける比較的簡素なハイブリッドシステムなので、既存のマツダ車には無い構成となっています。

今後ラージ商品群に採用される事も考えられますが、比較的簡素なシステムである事も含めるとロードスター用の可能性もゼロではないかもしれません。

あと、9月は「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」関連と思われる新たな特許出願も公開されましたが、こちらでは非接触充電(ワイヤレス充電)の採用を視野に入れた内容も含まれています。

 

〇2023年10月~12月

10月には「発電用の小型エンジンを縦置きで搭載してる可能性がある車両」に関する特許出願が公開。

基本的にはMX-30 Rotary-EVと似たシステムですが、説明図を見ると駆動用モーター・発電機・エンジンが縦向きで構成されて、エンジンはリアに搭載されてるようにも見えます。

コンパクトに纏まったMX-30 Rotary-EVのシステムと異なる構造をわざわざ検討してるのは、重量配分や走行性能の向上が目的だったりするのでしょうか・・・?

そして11月にはFRP素材を使用したフロントタワーバー(おそらくFR車用)」に関する特許出願も公開。

昨年も同じ形状でカーボン素材(CFRP)を使用した場合の特許が出願公開されていたので、ロードスターに採用される可能性も頭に浮かんでいましたが、今年発表された大幅商品改良モデルでは従来のままでした。

コスト面などが課題と思われますが、今後の電動化対応は重量が増える要素ばかりなので、将来的に採用されるのでしょうか・・・?

 

 

「商標」

2023年に出願公開された商標はこちら。

「BLANK DECK」「360°セーフティ&コンフォートパッケージ」(2月)

・「BLANK DECK」はMAZDA2 大幅商品改良モデルのグレード"BD"の正式名称。

・「360°セーフティ&コンフォートパッケージ」はMAZDA3・CX-30 商品改良で追加されたメーカーオプション名。

「ACTIVSYNC」(4月:欧州)

・今年10月に発表された新しい技術総称

・日本は昨年12月に出願公開済み。

「IZUMI」「YARUKI」「YAKUDO」「NAGISA」(5月・欧州マツダ

・「NAGISA」はMAZDA3/CX-30欧州仕様 2024年モデルの新グレード名(日本仕様のRetro Sport Editionと同じ内装のモデル)

「共挑」(5月)

スーパー耐久シリーズのST-Qクラスへ参戦している自動車メーカー共同クラブの名称。

「TREKKER」「RETRO SPORTS EDITION」(6月)

・「RETRO SPORTS EDITION」はMAZDA3・CX-30・CX-5の2023年商品改良モデルで追加された特別仕様車の名称。

「MX-30 ROTARY-EV」「EDITION R」「NATURAL ΜΟΝΟΤΟΝΕ」「VIVID MONOTONE」(7月)

・「MX-30 ROTARY-EV」は発電用ロータリーエンジンを搭載したMX-30の正式名称。

・「EDITION R」はMX-30 Rotary-EV発売記念特別仕様車

・「NATURAL ΜΟΝΟΤΟΝΕ」はMX-30 Rotary-EVに設定されたブラック内装。

・「VIVID MONOTONE」はCX-3 2023年商品改良モデルで登場した特別仕様車

「V SELECTION」(8月)

ロードスター 大幅商品改良モデルで登場したソフトトップの特別仕様車

「DriveDiary」(9月)

 

MAZDA CONNECT」「マツコネ「MAZDA INNOVATION SPACE」(10月)

MAZDA ICONIC SP」(10月)

・ジャパンモビリティショー2023で発表された次世代ロータリースポーツのコンセプトカー

今年も商品改良モデルに関する商標が前もって出願公開されましたが、その中でも昨年から今年にかけて国内外で出願公開された「ACTIVSYNC」は、ジャパンモビリティショー2023でマツダの新しい技術総称と発表されました。

新しいブランドメッセージ「心よ走れ。」と合わせて今後のマツダにとって重要なフレーズになってくるでしょうね・・・。

心よ走れ。|マツダ オフィシャルウェブサイト

(画像 MAZDA)

その一方で、現時点で活用された形跡が無い商標もありますが、2024年に入ってから使用されるのか気になるところ・・・。

 

 

「意匠登録」

2023年に公開されたマツダの意匠登録はこちら。

「MAZDA2 2023年商品改良モデル関連」

(5月:シグネチャーウイング)

(7月:エクステリア全体)

 

「CX-90のエクステリア」(9月)

ロードスター 大幅商品改良モデルのヘッドライト・テールランプ」(10月)

ロードスター大幅商品改良モデル / MAZDA2・CX-3商品改良モデルのホイール関連」(11月)

「秘密意匠」(7月・11月)

※現在も未公開の内容のみ

今年も年内に発表・発売された新型車・商品改良モデルに関する内容が順次公開。

特に現行型最大の変更となったロードスター大幅商品改良モデルに関する内容が多く登録されていますが、RFに装着される17インチホイールやマツダコネクト用ディスプレイなどに関する意匠はまだ公開されていません。

画像は欧州仕様 (画像 ドイツマツダ)

 

 

ただ、12月30日現在でも5件の意匠登録が秘密意匠となっているので、2024年に入ってから順次内容が明らかになってくるはずです。

赤枠が秘密意匠 (画像 J-platPat)

 

 

簡単にですが2022年に取り上げたマツダの特許・商標・意匠を振り返ってみました。

ちなみに2022年に公開されたマツダの特許件数がこちら。

・出願公開件数・・・・463件(2022年:584件)

・登録件数・・・・731件(2022年:650件)

出願公開に関しては1010件あった2019年から減少し続けていましたが、2023年も前年比で121件減少。

これは2023年内に出願公開される内容の多くがコロナ禍に入ってから出願手続きされている事も関係してるかもしれません。

一方で新たに登録された件数は前年から81件増えており、これまで大きな反響を集めた「アルミ製スペースフレーム」や「3ローターエンジン搭載のハイブリッド」等に関する内容も複数登録されました。

(一例)

今年は次世代ロータリースポーツのコンセプトカー「ICONIC SP」も発表されたので、あとはこれまで取り上げた特許を採用した量産モデルの登場を待つだけですが・・・(笑)

 

そんな事も考えながら明日はマツダ全体の1年を振り返ります。