2023年10月5日、マツダがロードスター 2023年大幅商品改良モデルを正式発表しました。
現行ロードスターは2015年に発売開始されてからほぼ毎年改良を実施する事で"深化"を続けていますが、今年は5月に開催された軽井沢ミーティングで開発主査の斎藤さんから"現行モデル史上最も大きな変更"が予告されていました。
すでに改良内容もいくつか公表されていましたが、昨日正式発表されたので順番に内容を紹介していきます。
変更点①:エクステリアデザインの一部変更。
2015年に発売開始されてからエクステリアデザインが変わっていなかった現行ロードスターですが、今回ついに一部でデザイン変更を実施。
①灯火類
「ヘッドライト」
「テールライト」
ニュルブルクリンクでスクープされたテスト車両でほぼ明らかになっていましたが、ヘッドライトは内部のLED形状が変わった事に加えて、ウインカーはLED化されて通常時はデイタイムランニングライトになります。
テールランプも丸形の中央部分にバックランプが追加されたのに加えてウインカーがLED化されたので、ロードスターの灯火類は全てLED化された事になりますね。
ただ、期待の声も多かったディミングターンシグナルは惜しくも採用されていないので、やはり第7世代車しか採用できないシステムのようですね・・・。
「16インチ(塗装は引き続きブラックメタリックと高輝度塗装の2種類)」
「17インチ」
(ブラックメタリック)
(高輝度塗装 ⇒ ブラックメタリック×切削加工に変更)
灯火類と同時にアルミホイールのデザインも刷新。
16インチに関してはスポーク数や塗装が同じなので一見するだけでは違いがやや分かりにくいかもしれませんが、17インチはツインスポークデザインになったのでかなり見た目が変わります。
ブラックメタリック×切削加工の塗り分けも中々独特ですね・・・。
ちなみにロードスターにはメーカーオプションで「RAYS製(ソフトトップ用16インチ)」「BBS製(RF用17インチ)」のアルミホイールも用意されていましたが、こちらは引きつづき用意されています(グレード設定範囲は後ほど紹介・・・)
変更点②:ボディカラーラインナップに「エアログレーメタリック」を追加。
ほぼ毎回の商品改良でボディカラーラインナップが変わるロードスターですが、今回はMAZDA2・CX-3に続いて「エアログレーメタリック」が追加。
軽快でスポーティな世界観を表現した色なので、特にブラック系のホイールと好相性と思われます。
ただ、その一方で今回の改良で「プラチナクォーツメタリック」が廃止。
ロードスターに限らず高い人気を集めていた印象なのでちょっと予想外ですね・・・。
変更点③:ダイナミクス性能の進化
「キネマティック・ポスチャー・コントロール (KPC)」が採用された2021年末の商品改良以来となるダイナミクス性能の改良を実施。
②DSC/TSCの新しい制御技術「DSC-TRACK」を採用。
③ステアリングフィールとアクセルレスポンスの改善
「DSC-TRACK」に関しては"サーキットでスポーツドライビングを安全に楽しむ事"を目的に以前からBOSCHと共同で開発を進めている事が取り上げられていましたが、今回の改良でついに量産モデルへ採用。
使い方は運転席右側に追加されたボタンを停車中に音が鳴るまで押し続け、作動するとメーターの表示灯も点灯します。
そして今回もう一つ注目なのが「アシンメトリックLSD」ですが、減速時と加速時で異なるカム角を設定(特に減速側の作動制限力を強めているとの事)。
これによって後輪の荷重が減って不安定になりやすいターンインでの減速旋回時の安定性が向上しているようです。
かなり専門的な内容ですが、減速側の作動制限力を強めているという事は1.5WAYからやや2WAY寄りの特性になったという事でしょうか・・・?(素人想像なので間違ってる可能性高いです)
ステアリングフィール/アクセルレスポンスも含めてこのあたりは実際に乗ってみたいところ・・・。
変更点④:SKYACTIV-G 1.5の出力向上。
2018年6月の商品改良でレスポンスや環境性能の向上が実施されていたSKYACTIV-G 1.5ですが、今回の改良では日本国内のハイオクガソリンに合わせた専用セッティングを採用する事でエンジン出力を向上。
2018年6月の商品改良でも1psだけ出力UPしていましたが、今回は3kW(約4ps)UPとなっています。
(2018年6月のニュースリリース)
変更点⑤:新世代マツダコネクト採用、さらに「Amazon Alexa」と「オンラインナビ」をマツダ車初搭載。
こちらもすでに軽井沢ミーティングで公表されていましたが、ついにロードスターにも新世代マツダコネクトを採用。
エクステリアの一部変更と並んで今回最も注目ポイントと言えるかもしれません。
ディスプレイはMAZDA2・CX-3等と同じ8.8インチですが、ダッシュボードへの収まり具合はロードスターの方がスッキリしてますね。
ちなみに、改良前のロードスターはソフトトップモデルの「S」「NR-A」がマツダコネクト未搭載でしたが、今回の改良で全グレード新世代マツダコネクト標準装備に統一されています。
あと、他の車種と同様に新世代マツダコネクト採用と合わせてコネクティッドサービスも利用可能になっていますが、さらに注目なのが「Amazon Alexa」と「オンラインナビ」の採用。
Amazon Alexaはここ最近一部の自動車メーカーや社外ナビに搭載される事例が増えてきていましたが、マツダ車では初搭載。
オーナーズマニュアルによるとナビゲーションの目的地設定/消去やハンズフリー電話だけでなくオーディオ機能なども操作出来るようです。
そしてオンラインナビも他メーカーで採用例が増えている周辺状況などをリアルタイムで反映できる機能ですが、道路情報も月一回自動で書き込み。
個人的に周辺パーキングの満室情報が見れるのはかなり魅力的ですね・・・・。
オンラインナビ採用によって専用のナビゲーションSDカードの価格は既存のアドバンスド2用より約3万UPの88,000円になりますが、利便性を考えると納得の価格でしょうか?
それにしてもこの種の装備がロードスターで初搭載されたのはちょっと意外です(笑)
変更点⑥:インテリア各部の仕様変更。
インテリア関連では新世代マツダコネクトの採用に注目が集まりそうですが、他にも各部で仕様変更を実施。
①新内装「スポーツタン」追加。
⇒スポーツタンという名称の内装は2018年6月~2020年12月にもありましたが、今回はシートの素材がナッパレザー(以前は本革)
②ソフトトップの"S SpecialPackage"、RFの"S"はシート座面にレガーヌ素材を新たに採用。
③レザーシート・レカロシート内装のセンターコンソールはステッチ入りの表皮巻加工仕様に。
④メーターデザインの一部変更。
・メーターメモリのシンプル化
・文字盤を漆黒仕様に。
・メーター指針をよりシャープに。
・DSC-TRACK表示灯(右上のチェッカーフラッグ)を追加。
⑤フレームレスミラー新採用(※)、室内灯横にコネクティッドサービスのエマージェンシーコール用SOSボタンを追加。
※:ソフトトップの「S」「NR-A」は未採用。
⑥USB端子がType Cに変更。
⑦これまでアクセサリーオプションだった「バーグラアラーム」が標準装備化
まず内装では「スポーツタン」という名称のレザー内装が復活していますが、使用されてる素材が本革からナッパレザーに進化。
さらにこれまでファブリック素材のみだったシートにもレガーヌ素材が追加されています。
レザー内装のセンターコンソールは新たに表皮巻加工仕様になっていますが、これまでロードスターは軽量化のために極力シンプルな内装だったので、このような加飾が入るのはちょっと新鮮ですね・・・。
一方、今回の改良で「テラコッタ/ピュアホワイトのレザー内装」と「CD/DVDプレイヤー」が廃止されています。
変更点⑦:安全装備の充実化
デザインやダイナミクスだけでなく安全装備面もより充実しています。
①マツダ・レーダークルーズ・コントロール(MRCC)を採用。
・MRCC用レーダーはフロントグリル後方向かって右側(助手席側)に設置。
・ステアリングスポーク右側の下部にMRCC用ボタン追加
②スマート・ブレーキ・サポート[後進時左右接近物] (SBS-RC)を採用。
安全装備面で最も注目なのはロードスターにもついに「マツダ・レーダークルーズ・コントロール(MRCC)」が採用された事ですが、今回の商品改良で個人的に引っかかってるのがMRCC用フロントレーダーの取り付け位置。
フロントグリルの助手席側にレーダーが取り付けられているのですが、レーダーのカバーがそこそこ目立つ見た目なのに加えて、フロントデザインが左右非対称になってしまいます。
MRCC採用に関しては現行モデル登場時にも当時の山本主査が「他の車種でMRCC用レーダーが埋め込まれているマツダエンブレムがロードスターの場合は斜め上方を向いている事に加えて、車高自体も低い関係で採用はかなり難しい」と回答されてた記憶があります。
個人的にはCX-50・MX-30のようにバンパー下部中央ならまだ違和感を感じなかったと思うのですが、取り付けスペースやレーダーの性能面でこの位置しか無かったのかもしれません・・・。
MRCCはソフトトップの「S」「NR-A」が未搭載で「S Special Package」はメーカーセットオプションで選択可能。
それ以外のモデルは全て標準装備になっています。
ロードスターのような趣味性の高い車種だと細かなディティールに拘る方が多い気もするので、今後のグレード選びで大きなポイントになってくるかもしれません。
個人的にも実車を見て判断したいところですが、今のところ自分は断然未搭載派ですね・・・。
変更点⑧:新グレード「S Leather Package V selection」登場。
ほぼ毎回の商品改良で新グレードや特別仕様車が登場してきたロードスターですが、今回の改良ではS Leather Packageの派生系と言える"V Selection"が登場。
合わせて登場したスポーツタン内装に加えてベージュカラーのソフトトップを採用してるのが特徴です。
☆S Leather Package V selection専用装備
・ベージュカラーのソフトトップ(インシュレーター付)
・スポーツタン内装
・ ボディ同色仕様のドアミラー
・ 16インチアルミホイール(高輝度塗装)
・ボディカラーはジルコンサンドメタリックのみ選択不可。
ベージュカラーなのでディープクリスタルブルーなどの濃色系カラーが特に合いそうですが、ソウルレッドクリスタルメタリックもなかなか好相性かもしれません。
ただ、V Selectionの噂が出た時から触れていますが、ベージュ系の内装とソフトトップで名称に"V"が入るとどうしてもNAロードスターのV SPECIALが思い浮かぶのでグリーン系のボディカラーも欲しくなってしまいます(苦笑)
あとCX-90とMAZDA6 20th Anniversaryに採用されているアーティザンレッドプレミアムメタリックをもし採用したらVR Limitedとも重なりますよね・・・・。
CarWatchの記事によるとチーフデザイナーの岩内義人さんも「NAロードスターに設定されていたVスペシャルを彷彿させるようなヴィンテージな装いのグレード」と説明されたようですが、Twitterでも同様の声がかなり出ている印象なので来年以降に期待でしょうか・・・?
変更点⑨:グレードやメーカーセットオプションの体系を変更。
ここ最近のマツダは商品改良に合わせてグレードやメーカーオプションの数を整理する傾向が続いていますが、ロードスターでも同様の動きが出ています。
☆廃止されたグレード
(ソフトトップモデル)
「990S」
「Brown Top」
「S Leather Package White Selection」
(RF)
「VS Terracotta Selection」
「VS White Selection」
「VSグレードのブラックレザー内装」
「990S」と「Brown Top」の廃止はすでに公表されていたので予定通りですが、RFはテラコッタ/ピュアホワイトだけでなくブラックのレザー内装も廃止。
これによってRFは「ファブリックシートの"S"」「スポーツタンレザーの"VS"」「レカロシートの"RS"」とかなり種類が整理されています。
ブラックのレザー内装はかなり定番の印象だったのでかなり予想外ですね・・・。
あと、残ったグレードでもメーカーオプションや標準装備の変更が行われています(※:訂正あり)
「S」
・メーカーオプションだった「サイドエアバッグ」が標準装備に。
・「RAYS製16インチアルミホイール」のメーカーオプションが廃止。
(改良前)
(改良後)
「S Special Package」
・メーカーオプションで選択可能だった「BOSEサウンドシステム」が選択不可に。
・改良前に別でメーカーオプション設定されていた「セーフティパッケージ」「地デジチューナー」「シートヒーター」に「マツダ・レーダークルーズ・コントロール(MRCC)」も加えた新しいメーカーオプション「ツーリングパッケージ」を設定。
※:「i-ELOOP」のメーカーオプション廃止と書いてましたが、これが廃止されたのは2022年12月の商品改良でした。
(改良前)
(改良後)
「S Leather Package」「RS」
・「ブレンボ製ブレーキキャリパー+RAYS製16インチアルミホイール」のメーカーオプションはRSのみに。
※:「i-ELOOP」のメーカーオプション廃止と書いてましたが、これが廃止されたのは2022年12月の商品改良でした。
(改良前)
(改良後)
「RF S」
・「地デジチューナー」が標準装備に。
(改良前)
(改良後)
「RF VS」「RF RS」
・メーカーオプション設定だった「2トーンルーフ」が廃止※①
・「ブレンボ製ブレーキキャリパー+BBS製17インチアルミホイール」のメーカーオプションはRSのみに。
(改良前)
(改良後)
※①:コンフィギュレーターや公式画像を見るとRSは2トーンルーフが装備されてるので誤植の可能性あり
他の車種と同様にロードスターも今回の商品改良でメーカーオプションが大幅に整理されていますが、個人的に悩ましいのはS Special Packageの新しいメーカーオプション「ツーリングパッケージ」
オープンカーは秋~冬シーズンが最も気持ちよく楽しめるのでシートヒーターはかなり重宝する装備だと思っているのですが、今回からMRCC等とセットになったので先に触れたフロントグリルのMRCC用レーダーも一緒に装着される事になってしまいます。
S Special Packageは元々売れ筋グレードなので、この部分で悩む方が今後増えてくるかも・・・?(気になるのは少数派なのかもしれませんが)
あと、ブレンボ製キャリパーと合わせてメーカーオプションの設定が縮小された「RAYS製16インチアルミホイール」「BBS製17インチアルミホイール」ですが、アクセサリーオプションには引き続きラインナップされているので、こちらで購入する方法もあります。
変更点⑩:車両形式も変更
これまでNDロードスターの車両形式は「ND5RC(ソフトトップ)」「NDERC(RF)」でしたが、今回の商品改良から「ND5RE(ソフトトップ)」「NDERE(RF)」に変わっていました。
これによってこれまで"ND1~ND7"と増えていた車体番号の十万の位も再び1に戻っています。
「ND1」・・・2015年5月から
「ND2」・・・2017年11月の商品改良から(RED TOP登場)
「ND3」・・・2018年6月の商品改良から(エンジン出力UP、Caramel TOP登場)
「ND4」・・・2019年の30周年記念車登場時
「ND5」・・・2019年11月の商品改良から(SILVER TOP登場)
「ND6」・・・2020年12月の商品改良から(ピュアホワイト内装追加)
「ND6.5」・・2021年12月の商品改良から(KPC採用、990SやNavy Top登場)
「ND7」・・・2022年11月の商品改良から(Brown Top登場)
今回の商品改良はマツダコネクトの刷新だけでなく安全快適装備もかなりグレードUPされているので、車両制御系がほぼ一新されているのが有力。
さらに車体形式のアルファベットの一部まで変わったという事はフルモデルチェンジ級の改良と言えるかもしれません。
この変化はNDロードスターがまだまだ販売継続される事も合わせて意味してる可能性が考えられ、個人的には今後も改良を重ねながら2030年前後まで継続される予感もしますが・・・。
あとは「ND1~ND7」という呼び方をどうすればいいのか悩みどころでしょうか(笑)
最後にグレード構成や価格の変化をおさらい。
先に紹介したように一部グレードを廃止されていますが、値上げ幅はほぼ20万円以上でRFの一部グレードでは30万以上値上げされてるグレードもあります。
今回の商品改良はほぼフルモデルチェンジに近いレベルなのでやむを得ないのかもしれませんが・・・・。
ただ、その一方で「S」「NR-A」にもマツダコネクトが搭載されたので、本来のロードスターらしいシンプルな仕様を求める人はこちらのグレードを選ぶ事例がより増えるかもしれませんね・・・。
今回発表された大幅商品改良の主な内容は以上となりますが、事前の噂通りフルモデルチェンジレベルの大幅改良でしたね。
その一方で、改良前は軽量化をより求めた990Sがありましたが、今回の改良は基本的に装備を足す内容が大半で軽量化に関する新たな取り組みなどの話題が出てきてないのはちょっと気になるところ・・・。
現在公開されている諸元表はスペックがまだ未定となっていますが、車両重量の増加をどれくらいのレベルで抑えているのか注目しています(Sでも1,000kg越えそうですが・・・)
あと、今まではマツダからの正式発表に合わせて各メディアから実車レポートの動画や記事が解禁される事例が大半でしたが、今回はまだどこからも出てきていません。
今年は今月下旬からジャパンモビリティショー(旧:東京モーターショー)が開催されるので、このタイミングで改良モデルの実車が初披露されるのが有力でしょうか・・・?
デザインが変わったエクステリアやマツダコネクトやAmazon Alexaなど新機能はもちろんですが、ロードスターはやはり走りの楽しさなので実際の走りも早く体感してみたいところです。