つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

今週新たに公開されたマツダが出願中の特許(2023.10.22)

(画像 IP Force.jp)

今週新たに公開されたマツダが出願中の特許は36件。

その中から気になった内容を取り上げます。

 

 

知財ポータルサイト

https://ipforce.jp/

〇特許情報プラットフォーム

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

 

 

まずは「ロータリーピストンエンジン」という題名の内容を2件紹介。

①:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-153565

(画像 IP Force.jp)

〇資料に記載されている特許の目的

ロータリーピストンエンジンでは、共通のロータ収容室と連通する複数の排気ポートが設けられて、複数の排気ポートから同時に排気通路に排気ガスが導出されるように構成される場合がある。

(従来の特許では)このような複数の排気ポートから同時に排気通路に排気ガスが導入されるロータリーピストンエンジンにおける排気通路の振動について十分な考慮がなされておらず、この点、つまり、ロータリーピストンエンジンにおける排気通路の振動抑制の点で改良の余地がある。

本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、排気通路の振動を抑制できるロータリーピストンエンジンを提供することを目的とする。

 

②:https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-153566

(画像 IP Force.jp)

〇資料に記載されている特許の目的

車載用エンジン等では、上記のように排気通路を安定して支持することに加えて、排気通路をエンジン本体の周辺にコンパクトに配設することが求められる。特に、ハイブリッド車両では、エンジンに加えて、車両の駆動源としてのモータや発電機を車両に搭載せねばならないため、排気通路をコンパクトに配設することが強く求められる。

本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ロータリーピストンエンジンにおいて排気通路をエンジン本体の周辺にコンパクトに且つ安定して配設できる排気構造を提供することを目的とする。

これら2件は題名のとおりロータリーエンジンに関する特許出願ですが、発電用の1ローターエンジンである事と、エンジン周辺に排気経路がコンパクトに配置されている事からMX-30 Rotary-EVに搭載されているシステムでほぼ間違いないと思われます。

(画像 ドイツマツダMAZDA)

今回の特許出願は排気経路にフォーカスした内容ですが、MX-30 Rotary-EVは排気ポートが車体前方に開いており、そこからエンジンにほぼ纏わりつくように車体後方へ延びているのが特徴。

さらに神戸マツダファンフェスタでチェックした実車だと、排気経路はフロア下のバッテリーを避けるように車体外側へ迂回する形になっているので、かなり特徴的な構造になっています。

運転席側から撮影したMX-30 Rotary-EVの排気管

 

 

続いては発電用ロータリーエンジンと関係があるかもしれない「車両用電池ユニットの制御装置」という題名の内容。

https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2023-153589

(画像 IP Force.jp)

〇資料に記載されている特許の目的

ハイブリッド車や電気自動車などモータの出力を利用して走行する車両では、その走行状態により、モータに高出力が要求されたり、モータを発電機に用いて高出力の発電が行われたりする場合がある。そうした場合、電池ユニットでは非常に大きな電流で瞬間的な充放電が行われる。そのような大電流による瞬間的な充放電が繰り返し行われると、電池ユニットの性能低下が促進されるという現象が知られている(いわゆるハイレート劣化)。

(これまでの特許でも)電池ユニットのハイレート劣化の進行を遅延させることはできるが、ハイレート劣化それ自体を抑制するものではない。従って、大電流による瞬間的な充放電が高頻度で行われる車両では、電池ユニットの性能低下は避けられない。
そこで、開示する技術は、ハイレート劣化それ自体の抑制が可能になる車両用電池ユニットの制御装置の実現を目的とする。

説明文では"小型の発電用エンジン"と書かれているので、こちらも発電用ロータリーエンジンに関する特許の可能性が高いですが、この内容で注目したのは説明図に書かれている各機器の配置。

MX-30 Rotary-EVはエンジン・発電機・駆動用モーターが"横置き"で搭載されていますが、今回の説明図はそれぞれの機器が"縦置き"のように描かれており、駆動用モーターのみ分離した位置になっています。

左:MX-30 Rotary-EV、右:今回の特許説明図 (画像 ドイツマツダ、IP Force.jp)

赤・・・・エンジン

青・・・・発電機(ジェネレーター)

緑・・・・駆動用モーター

説明文にエンジンを含めたシステムの搭載方向や駆動方式が書かれていないので断言は出来ませんが、マツダはすでに発電用1ローターエンジンを縦置きする事を視野に入れた特許も出願しているので、今回の特許も縦置き前提の内容かもしれません。

モーター駆動の電動車両で発電用エンジンや発電機をわざわざ縦置きするのは重量配分や走行性能の向上が目的だと思われますが、マツダがジャパンモビリティショー2023で世界初披露するコンセプトカーも電動化技術採用のスポーツカーが有力視されているので、このモデルで発電用ロータリーエンジンを縦置きで搭載する事を視野に入れてる可能性があるかもしれません・・・。

ジャパンモビリティショー2023で披露されるコンセプトカーのティザー画像 (画像 MAZDA)

 

 

いつも通り"あくまで特許"ではありますが、発電用とはいえようやく復活したロータリーエンジンが今後どのような形で活用されるのか非常に楽しみですね。

今後も引き続き気になる特許・意匠・商標を随時取り上げていきたいと思います。