日本ではマイルドハイブリッド仕様が販売、EV仕様がリース販売と発表されたMX-30。
この発表内容と共に今後の発表に注目が集まっている発電用ロータリーエンジン搭載のレンジエクステンダーの行方についていろいろ考察してみました。
まず、MX-30は昨年の東京モーターショーで世界初披露と同時に欧州でピュアEV仕様を2020年に発売開始することを公表。
日本での発売はまだ検討段階でした。
そしてつい先日、日本ではマイルドハイブリッド仕様を導入、ピュアEV仕様はリース販売と正式発表。
MX-30に従来のエンジン搭載仕様が用意される噂は昨年春頃からあったとはいえ、メディアも含めてMX-30はピュアEVとレンジエクステンダー仕様の2種類というのが一般的だったようで驚きの声が多数聞こえてきました。
そこで気になるのは「発電用ロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダー仕様の発売はどうなるのか?」という点。
これに関してオートモビルカウンシル2020で取材している記事によると「もう少しお待ちください」というマツダ側からの回答があったようで計画自体は進んでいる様子。
ただ、マツダがこれまで発表してきた情報や資料を改めてチェックすると「日本で発売されるのはレンジエクステンダーでは無いかも・・・」という考えが浮かんできました。
その大きな理由は「マツダは”Well-to-Wheel”の理念でCO₂排出量削減を目指している」という点。
すでにご存じの方も多いと思いますが、マツダは「燃料採掘・製造から車両走行まで視野に入れたWell-to-Wheel視点での総CO₂排出量」に着目し、地球環境負荷軽減を目指す事を発表。
これに加えて各国で施行されている規制やユーザーの使用環境も様々なのでマツダはパワートレインを適材適所で展開する「マルチソリューション」という考え方で幅広く対応すると発表。
ちなみに、ピュアEVの発売方針についてはMX-30発表直前の昨年夏にオーストラリアメディアの取材を受けたマツダ執行役員・パワートレイン開発本部長(当時)の中井英二さんがこのようなコメントをされています。
「Well-to-Wheelの考えから火力・石炭発電の割合が高い国や地域でマツダ初の量産EV(後のMX-30)は販売されません」
Mazda SKYACTIV-X tech to fast-track rotary development - www.carsales.com.au
2019年版の資料によると日本の発電量の約8割が火力発電(液化天然ガス・石油・石炭)で賄っている状況なので、マツダの考えに照らし合わせるとピュアEVを販売するのに適していない国となります。
ただ、マツダの執行役員 R&D管理・商品戦略・技術研究所担当である工藤秀俊さんは中井さんの取材記事とほぼ同時期に公開された記事で「火力発電の割合が高い国でも大都市圏の環境汚染防止のためにEVを導入のは正しいこと」ともコメントされています。
日本向けMX-30のEV仕様はリース販売と発表されましたが、これらの内容からするとデミオEVの時とそれほど変わらずに中国地方や大都市圏の自治体・法人向けがメインとなるのでは?と予想します。
そして、Well-to-Wheelの観点からロータリーエンジンを搭載したレンジエクステンダーの導入方針はどうなるのか気になるところですが、これに関してもマツダは2018年に開催した技術説明会の中で方針を示しています。
”発電用ロータリー=レンジエクステンダー”というイメージがかなり強くなってる印象ですが、元々はロータリーエンジンを使って複数の電動車両を共通のパッケージで生み出せる「マルチxEV」の中の1種。
そして、藤原副社長はマルチxEVの導入方針についてこのような説明をしています。
「クリーン電源比率が高くてEVを走らせても環境に優しいが、国土が広くて充電設備の普及度が低い地域へは「レンジエクステンダー」が最適」
「火力などCO2排出が伴う発電方法が中心の地域へは「プラグインハイブリッド(HV)・シリーズハイブリッド(HV)」がWell-to-Wheelの視点で有利だと言える」
これまで触れてきた内容からすぐに分かると思いますが、マツダが発表している方針に照らし合わせると日本で販売するマルチxEV車は「プラグインハイブリッド or シリーズハイブリッド」の方が適切という事になります。
プラグインハイブリッド・シリーズハイブリッドはレンジエクステンダーと比較して以下の部分が異なります。
・ジェネレーターを高出力化
・燃料タンク容量を拡大
・バッテリー容量を低減
その他の違いに関してもマツダが発表している電動化技術の定義一覧を見ると・・・
マツダ「サステイナブル"Zoom-Zoom"宣言2030」(2)~マルチソリューションとは?~ | 【MAZDA】マツダ公式ブログ Zoom-Zoom Blog
「エネルギーのメイン備蓄先」「外部充電コンセントの有無」が差別化の主なポイントとなります。
※一覧表内でプラグインハイブリッドの電気走行割合がやや少なめになっていたり主な動力源がエンジンと記載されていますが、エネルギー源に軽油が含まれてるのでFRベースとなる次世代ラージ群のプラグインハイブリッドを意味してると思われます。
今回はマルチxEVベースのプラグインハイブリッドをエネルギーのメイン備蓄先以外レンジエクステンダーと同じ特性と位置付けます。
さて、ここまで来ると日本で販売される場合どちらがになるのか気になるところですが、個人的には「シリーズハイブリッド」が有力と予想します。
プラグインハイブリッドやEVをすでに一般販売しているメーカーの販売店には必ずと言っていいほど充電設備が用意されていますが、マツダの販売店で充電設備が備わってるのは今のところ見た事ないので、プラグインハイブリッドを販売するとなるとほぼ全国的に充電設備をこれから準備する必要が出てきます。
ただ、準備期間もある程度必要ですしMX-30日本仕様でEV仕様がリース販売となる理由としても挙げられてるのでプラグインハイブリッド販売の可能性も低いと考えました。
これに対して、シリーズハイブリッドなら店舗に充電設備を用意する必要もありませんし、コストに大きな影響を与えると言われてるバッテリー容量も少なくて済みます。
シリーズハイブリッドである日産のe-POWER搭載車が人気を博してるというのも販売への後押しになるかもしれません。
なので日本向けのMX-30は・・・
・発電用ロータリー搭載のシリーズハイブリッド
・SKYACTIV-G 2.0 M-HYBRID
・EV仕様(リース販売のみ)
当面はこの3種類で販売されるのでは?と予想します。
これなら”電動デバイス専用モデル”というポジションも築けて他のマツダ車との差別化も上手くいくと思うので・・・・
いろいろ書いてきましたが、あくまでも個人的な妄想なので当たる保証はどこにも無いのでそこはご了承を(笑)
日本発売の正式発表は早い方の秋という情報もあるので、これからさらに詳しい情報も出てくると思われます。
まずはどのような形でもいいのでロータリー復活が実現する事を期待したいですね♪