今年度中に正式発表される可能性が高まっていた発電用ロータリーエンジンですが、ついに欧州マツダから1月13日に披露する事が発表されました!
2012年にRX-8が生産終了してからロータリーエンジン搭載の量産車は販売されてない状況が続いていましたが、マツダは2018年10月に開催した技術説明会で"発電用"としてロータリーエンジンを復活させる計画を正式発表。
その後は当初の予定やや遅れ気味でしたが、先日行われた年頭の記者会見で丸本社長が「今年3月までに投入予定で近い時期に詳細も発表」と明言。
欧州では昨年末にブリュッセルモーターショーで正式発表される噂も浮上していました。
そしてつい先ほど欧州マツダがブリュッセルモーターショーで披露する事を正式発表!
事前情報通りプラグインハイブリッドで正式名称は「MX-30 R-EV」
欧州では「今年春から発売開始予定」と合わせて予告されています。
欧州マツダが発電用ロータリーエンジンを搭載した「MX-30 R-EV」をブリュッセルモーターショーで披露する事を正式に予告!!
— taku2 (@taku2_4885) 2023年1月9日
画像は去年商標出願されていたエンブレムですね♪
発表は1月13日です(現地時間) https://t.co/cIXD01a6Da
気になる発表日時はブリュッセルモーターショーのプレスデー「1月13日 午前10時(中央ヨーロッパ時間)」
日本時間では「1月13日 午後6時」となるので夜更かしせずに情報をチェック出来ますね♪
ついに正式発表まで間近となりましたが、一方で発電用ロータリーエンジンのスペックや仕様に関する情報はかなり少ない状況です。
そこで、これまでマツダから公開された情報やブログで取り上げた特許や噂を改めておさらいしてみたいと思います。
(ちょうどこの記事を編集してる時に欧州マツダから発表があったのでビックリしましたが・・・(笑))
①:そもそもマツダの発電用ロータリーエンジンはどのようなシステムで活用される?
マツダは先に紹介した2018年10月の技術説明会で発電用ロータリーエンジンを使った電動化技術「マルチxEV」を公表。
これは発電用ロータリーエンジンを軸にジェネレーター・バッテリー・燃料タンクの容量を変動させて「レンジエクステンダー」「プラグインハイブリッド」「シリーズハイブリッド」3種類の電動化車両を生み出せる技術となっており、国や地域によって大きく異なるクリーン電源比率・充電インフラ・電動化車両の需要へ柔軟に対応するのが目的とされています。
②:ロータリーエンジンを発電用として使用するメリットは?
発電用エンジンは電動化車両の航続距離を延ばす事が大きな目的ですが、マツダは2018年10月の技術説明会でロータリーエンジンを発電用して採用する理由として以下のメリットを挙げています。
メリット①:小型・軽量による省スペースと高いレイアウト性
一般的なレシプロエンジンを採用した場合と比べてもロータリーエンジンの小ささが際立っています。
上の図で比較されてるレシプロエンジンは2気筒ですが、現在世に出ているレシプロエンジンの大半が3気筒以上なのでより小ささが際立ってくるかもしれません。
この小ささは搭載レイアウトの自由度も増えるので、説明図のようなフロント横置きだけでなく縦置きやリア搭載も可能かも?という妄想も広がりますが現時点でそこまで考えるのはやり過ぎでしょうか・・・(笑)
メリット②:高い静粛性と澄んだ音質
ロータリーエンジンは構造がシンプルな事もあって低周波から中高周波まで高い静粛性を実現可能。
これは最も燃焼効率のいい回転域のみで運用する発電用という事も関係してるかもしれません。
メリット③:様々な燃料にも対応可能で、災害時の電気供給の可能性も。
環境対応を見据えたマツダのロータリーエンジンと言えば水素(Hydrogen)が有名ですが、マルチxEV技術ではさらにLPGやCNGを使用する事も検討されています。
これは対応する燃料の多様性に優れるロータリーエンジンならではの内容ですが、この特性を活かして災害時などに電気供給をする事も視野に入っているので、ここ最近自然災害が増えている日本では特に役立つかもしれません。
③:これまで公開されたプロトタイプやエンジンの詳細に関する情報は?
まだ正式発表されてない事もあって不明な部分は多いですが、マツダはこれまでプロトタイプ車の公開や技術説明を数回行っているので紹介したいと思います。
マツダは昔からロータリーエンジンの様々な活用方法を研究してコンセプトカーや技術発表も行っていますが、近年で発電用ロータリーエンジンに関係する発表が行われたのは、まず2013年公開のプロトタイプ「デミオ RE レンジエクステンダー」
ロータリーエンジン発電で航続距離を2倍にした「マツダ RE レンジエクステンダー」 - Car Watch
これは当時日本国内でリース販売されていた「デミオ EV」をベースにしたレンジエクステンダーの試作車で、発電用ロータリーエンジンはリアトランクの下に水平で搭載されているのが特徴。
この時に搭載されたロータリーエンジンのスペックも公開されています。
〇発電用1ローターエンジン(2013年)
・排気量・・・・330㏄
・最高出力・・・22kW/4500rpm
・最大トルク・・・約47Nm
・吸気は「ペリフェラルポート」、排気は「サイドポート」
RX-7やRX-8に搭載されていた13B型エンジンは「654㏄×2」だったので、1ローターあたりで比較すると排気量はほぼ半分というコンパクトなエンジンでした。
次に大きな発表があったのは2019年にノルウェーで開催された「EVプロトタイプ(e-TPV)の試乗会」
これは「MX-30 EV」がワールドプレミアされた2019年東京モーターショー直前に国内外のメディアを招いて行われた説明会でしたが、会場内には「発電用ロータリーエンジンを搭載したプラットフォームのカットモデル」が展示されていました。
MX-30 R-EV: E-Auto kommt 2023 mit Wankel | AUTO MOTOR UND SPORT
2013年に公開されたデミオベースのプロトタイプと比べると、搭載位置がフロントのエンジンルーム(モータールーム)へ変更されているのがまず大きなポイント。
さらにエンジンは1ローターから変わっていないものの、サイズ自体は2013年の時より明らかに大きくなっています。
ちなみにMX-30 EVのモータールームはすでに発電用ロータリーエンジンを搭載するためのスペースが確保されています。
これは「レンジエクステンダー」だけでなく「プラグインハイブリッド」「シリーズハイブリッド」も視野に入れた事が理由と思われますが、2013年の時と違ってエンジンスペックなどは公表されなかったので詳細は不明・・・。
ただ、マツダ執行役員の中井英二さんは2020年に行われたモーターファンのインタビューで発電用ロータリーエンジンのサイズについて「デミオベースのプロトタイプに搭載されていたものほど小さくはならない、せっかく作るわけですから」と回答されているので、1ローターあたりの排気量は少なくとも13B型エンジンと同等レベルになると思われます。
(中井英二さんのインタビューが掲載されている特集本はこちら)
中井さんの"せっかく作るわけですから"という回答を見ると、発電用だけでなく駆動用も視野に入れてるのでは?という妄想も広がってしまいますが・・・(笑)
④:発電用ロータリーエンジンに関係すると思われる特許や商標は?
これまでブログで取り上げた限りでも関連性が強いと思われる内容は複数出てきています。
(特許の一例)
マツダは2007年に直噴式を採用した次世代ロータリーエンジン「16X」を発表していますが、発電用ロータリーエンジンに関する特許でも直噴式を視野に入れてる内容がいくつか出てきています。
さらに昨年8月には発電用ロータリーエンジンに関係すると思われる名称とエンブレムに関する商標出願も公開。
その中でも「R-EV」というフレーズと「ローターをモチーフにしたと思われるマーク」は欧州マツダの発表で実際に採用されていますね。
⑤:MX-30 R-EV以外へ搭載される可能性は?
現時点で搭載が公表されているのはMX-30 R-EVのみですが、すでに「MX-30以外のスモール群モデルにも展開する」という証言が丸本社長や欧州マツダTOPから出ているので、MAZDA3やCX-30に搭載される可能性も十分考えられます。
発電用ロータリーエンジンに関する概要や情報を覚えてる限りでまとめてみましたが、情報が限られてる事に加えて実働可能なプロトタイプも公開されていないのでこれでもまだまだ不明な部分が一杯あるのが正直なところ・・・。
MX-30以外のスモール群モデルにも展開される可能性も出ていますが、個人的にはMAZDA2へ展開する事も検討されているのか気になります。
1月13日のMX-30 R-EV正式発表で今後の導入計画に関する情報も公開されるのか楽しみですね!