今週新たに公開されたマツダが出願中の特許は14件。
その中から気になった内容を取り上げます。
1つ目は「車両のエンジンルーム構造」という題名の内容。
特開2021-130333 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的。
吸気経路をカプセルカバー内に配置するようにすれば、吸気音に対する遮音性が向上する。しかし、カプセルカバーを大型化する必要があり、これに伴い他の車体構成部材の構成を大きく変更する必要が生じてしまう。
ここに開示された技術は、カプセルカバーが配置されるエンジンルーム構造において、吸気音に対する遮音性を向上させる。
こちらはSKYACTIV-Xと同様に「カプセル化された縦置きエンジン」に関する内容ですが、”前輪を駆動する”という記述もあるのでFRベースのAWD車を意識した内容かもしれません。
今週は1つ目と関連性が高い「車両のエンジンルーム構造及びカプセルカバー組付け方法」という題名の内容も出てきています。
特開2021-131027 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的
最近では、車両のエンジンを構成するデバイスは電子制御がベースとなっており、エンジン本体の近くには各デバイスを制御するためのECU(Electrical Control Unit)を含む電装部品が配置される。ECUは、半導体素子をベースに設計されることが多く、熱の影響を受けやすい。このため、電装部品までカプセルカバーの内部に配置してしまうと、電装部品の性能悪化を招くおそれがある。
そこで、電装部品については、カプセルカバーの外部に組付けることが考えられる。しかし、最近では、車両の小型化の要求からカプセルカバーと車体構成部材とがかなり接近する。このため、単に電装部品をカプセルカバーの外部に配置するだけでは、電装部品の組付け性が悪化してしまう。
ここに開示された技術は、エンジンの周囲を囲むカプセルカバーを有するエンジンルームにおいて、電装部品を適切に冷却するとともに、電装部品の組付け性を出来る限り向上させる。
現在のところカプセル化されたエンジンはSKYACTIV-Xのみですが、ラージ群モデルで他のエンジンにも採用されるのか気になるところですね。
続いては「エンジンの排気循環装置」という題名の内容を2つ。
特開2021-131076 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的
昨今、自動車などの車両では、車室内の居住性を向上するために車室床面を低床化する、あるいは走行用のバッテリを配置するスペースを車室床面の車両下方側に確保していることがある。この場合、例えば、縦置きエンジンの車両では、排気管を車両後方へ向けて略直線的に延設することができないため、排気浄化装置の直後において、排気管をエンジンから離間するように車幅方向外側へ湾曲させる必要がある。
さらに、EGR装置を備えた車両では、EGR装置を配置するための配置スペースを上下方向に確保する必要があるため、排気循環装置の大きさが大型化し易いという問題があった。特に、縦置きエンジンの車両では、排気管の湾曲した部分の車幅方向外側にデッドスペースが生じ易いため、改善の余地があった。
本発明は、上述の問題に鑑み、エンジンから離間するように湾曲した排気管を備えた場合であっても、その大きさの大型化を抑えられるエンジンの排気循環装置を提供することを目的とする。
特開2021-131077 | 知財ポータル「IP Force」
〇資料に記載されている特許の目的。
EGR装置を備えたエンジンの排気循環装置では、比較的高温ではない排気ガスがEGR装置に流入した場合、排気ガスがEGRクーラーによって過度に冷却されることになる。
このような場合、外部から取り込んだ比較的低温な新気と、EGRクーラーで過度に冷却された排気ガスとが燃焼室に流入するため、燃焼室の温度が低下して、エンジンの燃焼が安定し難くなる。このため、エンジンの熱効率が低下するおそれがあった。本発明は、上述の問題に鑑み、EGRクーラーを備えたEGR装置を介して、排気ガスの一部を吸気通路に還流する場合であっても、エンジンの熱効率低下を抑えられるエンジンの排気循環装置を提供することを目的とする。
縦置き用ディーゼルエンジンに関する特許も定期的に出てきています。
1つ目の内容では排気管(No.15)がかなり車体側面へ迂回していますが、マツダが公表したディーゼルエンジン搭載のラージ群アーキテクチャーでは従来通りセンタートンネルを通しているので説明図はあくまで大まかな概略を表しただけと思われます。
今週気になった内容は以上となります。
来週以降も気になった内容を取り上げていきたいと思います。