2022年に入ってから出願公開・登録の件数が少ない状況が続いているマツダの特許ですが、久しぶりに気になる内容が2件登録されたので取り上げたいと思います。
まず1件目は2020年3月に出願公開されていた事を取り上げた「車両の前部車体構造」という題名の内容。
(2020年3月に取り上げたブログ)
〇資料に記載されている特許の目的
サスハウジングには、サスペンションのダンパ等から荷重が加えられる。そのため、ダンパが適切な姿勢に維持されるように、サスハウジングには前記の荷重に対する耐性が求められる。つまり、サスハウジングには容易に変形しないような高い剛性を有することが求められている。
本発明の目的は、サスハウジングの変形を抑制できる車両の前部車体構造を提供することにある。
FR車という事でロードスターやラージ商品群が候補にあがりますが、サスペンション取り付け部に大きなリブが備わってるので現時点ではラージ群アーキテクチャーに関する内容の可能性が高そうです。
続いては2020年1月に出願公開されていた「車両の制御装置」という題名の内容。
(2020年1月に取り上げたブログ)
〇資料に記載されている特許の目的
車両の挙動が不安定になるような走行状態における安全性向上のための制御(横滑り防止装置)とは別に、ステアリングの切り込み操作時にモーターやエンジンのトルクを"低減"させて車両減速度を生じさせることで、コーナリング時におけるドライバの操作が自然で安定したものとなるようにする車両姿勢制御が知られている(Gベクタリングコントロール)しかしながら、本件発明者が上に挙げた車両姿勢制御の後輪駆動車への適用を試みたところ、操縦安定性の向上や、車両挙動の応答性、リニア感の向上という効果を得ることはできなかった。
この新たに見出された課題を解決するために本件発明者が鋭意研究を進めた結果、後輪駆動車においては、驚くべきことにドライバによる操舵に応じて車両の駆動トルクを"増加"させることにより、車両応答性やリニア感が向上することが明らかとなった。
本発明は、後輪を駆動輪とし前輪を補助駆動輪とする車両(AWD車)の車両姿勢制御装置において、車両姿勢制御と駆動輪と補助駆動輪とのトルク配分比の変更とが両方実行されることによる問題の発生を適切に抑制することを目的とする。
既存のFFベース車用で定番化しているGベクタリングコントロールはエンジントルクを"減らす"制御が行われていますが、この特許内容ではFRベース車向けという事でエンジントルクを”増やす”制御となっているのが大きな特徴。
FR車用の姿勢制御としてはロードスター2021年商品改良モデルから採用された「Kinematic Posture Control(KPC)」もありますが、こちらはコーナリング中にリア内側のブレーキをほんの僅かだけ効かせる制御なのでGVCとは別になります。
まもなく登場するラージ商品群のリアサスペンションもKPCありきでジオメトリーが設計されているようですが、ロードスターと違ってラージ商品群の場合はAWD車も設定されるのでそのあたりをどのように成立させるのかずっと気になっていました・・・。
現時点ではあくまで特許という状態ではありますが、まもなく導入開始されるラージ商品群の車両姿勢制御は「FR車がKPC」「AWD車はトルクを増やす制御のGVC」なのでは?という妄想も膨らみますが・・・。
このあたりは来週正式発表されるラージ商品群第一弾「CX-60」でチェックしたいところですね。
2022年に入ってから特許に関する情報が少ない状況ですが、今後も気になる内容を随時取り上げていきたいと思います。