9月15日からXD-HYBRID系グレードの国内販売が開始されたマツダのラージ商品群第一弾モデル「CX-60」
待望の初試乗へ行ってきました。
今回試乗させていただいたのはこのブログですっかりおなじみとなった「マツダオートザム紫竹」さん。
営業SさんがTwitterを通じて積極的に情報発信されているのでご存じの方も多いかと思いますが、また見たことない方はこの機会に是非フォローを♪
CX-60に関してはすでに先行内見会とマツダブランドスペース大阪で展示車をチェック済み。
マツダが直6+FRプラットフォームを導入する?という噂が出始めた頃からずっと情報や特許をチェックしてきたので、まさしく待望の初試乗となります。
〇試乗車の紹介
「XD-HYBRID "Premium Sports"」
ボディカラー:マシーングレープレミアムメタリック
内装色:ナッパレザー(タン)+レガーヌ®(タン)
マツダオートザム紫竹さんに配備されている試乗車は一番受注台数が多いグレード"Premium Sports"で、ボディカラーも2番目に多く選ばれている"マシーングレープレミアムメタリック"。
内見会である程度実車はチェックしていましたが、屋外で改めて見ても内装の質感や世界観は圧倒的でパノラマサンルーフも最高ですね(笑)
これまでの実車チェックで触れるのを忘れていましたが、個人的にCX-60の内装で好印象なのはFRベースにも関わらずリアシート側のフロアセンタートンネルが低い事。
FRプラットフォームのセンタートンネルはプロペラシャフトを通すために高くなるのが一般的ですが、CX-60に関してはFRベースとは思えないくらい低く抑えられています。
最低地上高を稼ぎやすいSUVという事もあるかもしれませんが、画像で比較してもCX-5やCX-30と同等でCX-60の方が僅かに低く見えるのは気のせいでしょうか・・・?
このあたりはいずれ登場する3列シートSUV「CX-80」「CX-90」も視野に入れた構造なのかもしれませんね。
そしていよいよマツダオートザム紫竹さんオススメのコースで試乗へ向かいますが、CX-60は新開発の部分がかなり多いので各要素別に感想を書いていきたいと思います。
ちなみに、CX-60に関しては試乗車が届き始めた直後からプログラムのアップデートに関する話題が出ていましたが、今回の試乗車は"アップデート済み"との事です。
CX-60の3.3LディーゼルエンジンとCX-5の2.2Lディーゼルエンジンを乗り比べてみませんか?
— マツダオートザム紫竹 営業S【非公式】 (@autozamshichiku) 2022年9月15日
当店だから出来る同じAWD車の乗り比べ。
是非この機会に、両車の良さを知って頂き貴方に合ったMAZDAのSUVを選んでください。#CX60 #CX5 #MAZDA #SUV #試乗車乗り比べ #京都の車屋さん pic.twitter.com/RYPf6XrUtI
〇走り始めの第一印象
エンジンスタート開始直後のアイドリングはCX-5やCX-8に搭載されている4気筒より(SKYACTIV-G 2.2)僅かに音が大きい印象も感じましたが、室内ではほとんど気にならず。
そして運転し始めて最初に感じたのは「フロントガラスの大きさ」
これによってCX-5やCX-8より大きいサイズの車に乗ってる事を実感しましたが、視界が広いので車両感覚が掴みやすいです。
数分もしない内に大きさも感じなくなったので、サイズから感じるイメージとは裏腹にかなり運転しやすい車に感じました。
〇エンジン
〇エンジン
・最高出力・・・・254ps(3,750rpm)
・最大トルク・・・・550N・m(1,500~2,400rpm)
〇48Vマイルドハイブリッド用モーター
・最高出力・・・・16.3ps(900rpm)
・最大トルク・・・・15.3N・m(200rpm)
序盤はノーマルモードで走りましたがアクセルを踏み始めると即座に反応して加速もスムーズな感触で、直6エンジンらしくの振動もかなり少ない印象。
街中を流す程度だとほとんどアクセルを踏む必要性を感じないくらい圧倒的なトルクで、コース中盤の空いてる直線や山坂道でもアクセルの踏む量をそれほど増やすことなく余裕の走りでした。
48Vマイルドハイブリッドに関しては、走行中アクセルオフにするとエンジン回転数がゼロになってる事で効果を実感しましたが、それ以外はスポーツモード時に少しアシストされてるかも?と感じる程度で基本的には黒子という感じでしょうか・・・。
エンジンサウンドに関しては低回転域だと少しドロドロ系の音ですが、加速すると既存のSKYACTIV-Dと同様にガソリンに近いサウンド。
ただ、遮音性が高い事からサウンドの大きさはそれほど大きくありません。
個人的に"Sports"の名称が付くグレードはもう少しエンジンサウンドを楽しめるようになってもいい気がします。
今回は一般道で他の車両も走ってたことからアクセルべた踏みレベルは試せていませんが、おそらく高速道路の合流なども余裕でしょうね・・・。
一方で後ろから背中を強く押し出されるようなターボエンジンというよりは大排気量"NA"エンジンのような素直で滑らかなフィーリング。
この車両に搭載されている「e-SKYACTIV D 3.3」は排気量UPで得たエネルギーをパワーアップではなく燃費・環境性能向上に生かすコンセプト(=アップサイジング)なので、ひと昔のBMWや国産スポーツカーに搭載されていた直6エンジンのようなキャラクターを期待する人にとってはややアッサリ系に感じてしまう場合もあるかもしれません。
ディーゼルという事を考えたら十分スポーティではあると思いますが・・・。
・トルクコンバーター"レス"の8速AT
トランスミッションに関しては当初ギクシャク感があるという感想がそこそこ多く出ていましたが、今回の試乗車はアップデート済みという事もあって特に違和感は感じませんでした。
トルクコンバーターレスという事もあって変速ショックは少しありますが、試乗車が"Premium Sports"なのでダイレクトでスポーティな雰囲気を演出する要素として個人的には好印象。
一方でModern系グレードの世界観を求めるユーザーにとってはノイズになる可能性も考えられますね・・・。
次に驚いたのが普通に加速する程度だと1,500回転でどんどんシフトアップして40㎞前後でも4速に入っていた事。
さらにアクセルを深めに踏んだ場合でも2,000回転程度でシフトアップしていました。
マツダはSKYACTIVテクノロジー発表時からある程度ゆとりのある排気量で得た高トルクを生かして低いエンジン回転数で走らせるコンセプト(=ダウンスピーディング)を提唱していたので、その通りになってるとも言えますが最初は驚く人がいるかもしれません。
ちなみにマニュアルモードはパドルシフトを操作すると自動的に入るようになっています。
〇乗り心地
・フロント・・・ダブルウィッシュボーン
・リア・・・マルチリンク(サスペンションアームにピロボール採用)
各メディアでCX-60の試乗レポートが出た時から"乗り心地が硬い"という声が出ていましたが、今回乗ると予想に反してしなやかで快適な乗り心地という印象。
「硬い or 柔らかい」で言えば硬めのセッティングだと思いますが、少し傷んだアスファルト程度なら衝撃も柔らく姿勢が崩れないので、高い安心感や落ち着きに繋がってるように感じました。
かなり傷んだアスファルトだとさすがに硬さはそこそこ伝わってきますが、揺れ自体はすぐに収束する感覚なので、頭が揺らされる感覚が少なく不快感は不思議とありません。
試乗車はまだ走行距離が200㎞ちょっとなのでもう少し距離を重ねるとこのような場面でも突き上げは軽減される可能性が考えられます。
ちなみに、営業Sさんによるとマツダからは「オンロードとオフロードにおける走行性能の両立を重視したセッティング」という説明があったとの事。
個人的に現状のグレード構成でCX-60をオフロードで走らせようとする人は少ない気もするので、もう少しオンロード重視にしたらさらに良くなるかもしれません。
〇全体的なドライビングフィール
これまで挙げた項目も含めて全体的なドライビングフィールの感想ですが、まず言えるのは「とにかく重厚なクルマ」
CX-5・CX-8や第7世代スモール群でもある程度落ち着きを感じさせるキャラクターになってきていますが、CX-60はさらに「分厚いトルクを味わえるエンジン」「落ち着きのある走り」「内装の世界観」によってさらに重厚な雰囲気を感じさせます。
ステアリングフィールも昨今のマツダ車と同様に自然で素直な感触。
Premium Sportsのステアリングは2トーンになっているので既存モデルと比べたらステアリング径はやや太めに感じますが、CX-60がかなり重厚な雰囲気を感じさせる車なのでこちらの方がマッチしてるように感じました。
ブレーキに関しても従来のマツダ車と同様に踏力コントロール型の特性ですが、ブレーキを踏んだ時の剛性感はより高まってる感触。
気になる点として停止直前にブレーキの効き具合が僅かに強くなる感触があったのですが、これは回生ブレーキの影響とかでしょうか・・・?
加えて、アイドリングストップから復帰する時の振動をもう少し抑えるとさらに印象が良くなる気がします。
あと、内見会の時から気になっていたのが「シートのサイドサポートが小さめ」という点ですが、試乗した限りだと体に馴染む感じでサポート不足も特に感じることはありませんでした。
見た目だけの話で言えばSportsという名称が付いてるグレードだけもう少しサイドサポートがあると嬉しい気持ちもありますが(笑)
〇試乗を終えての感想
乗り心地やトランスミッションに関する様々な感想がどうしても耳に入ってきたので期待と不安が入り混じりつつの試乗でしたが、実際は不快に感じる場面もほぼ無く重厚な世界観と落ち着きを味わう事が出来たので好印象でした。
個人的にこれまで発売された第7世代スモール群は「内外装のレベルはかなり上がったのにパワートレインはややアッサリすぎる気が・・・・」と感じる場面もあったのですが、今回試乗したe-SKYACTIV D 3.3のゆとりあるトルクを味わうとラージ群でようやく内外装にマッチするパワートレインが揃ったように思います。
ステアリングの操作感やパワートレインの味付けも含めて無理やり走りや高級感を演出してるのではなく、ノウハウや技術を長い間コツコツと積み上げてきた結果"自然と手に入った質の高さ"という感じでしょうか。
このあたりはスモール群モデルと共通で噛めば噛むほど味が出てくるクルマだと思いますね・・・。
ただ、SUVに安楽さを期待する人にとってはシフトショックや乗り心地がノイズになる可能性も考えられます。
仮定も含めた話ですが、世の中に出ている評判を見たり今回試乗して感じたのは「内装だけでなく走りの面もグレードによってキャラクター分けした方がいいかも?」という事。
CX-60日本仕様ではグレード構成や内装色が多く用意されていますが、特に最上級グレードとなる"Premium Sports"と"Premium Modern"はまったくと言っていいほど世界観が異なるので、それぞれのグレードを選んだユーザーが期待する走りの方向性も全く異なるのでは?という考えが以前からありました。
個人的には内装の雰囲気も走りの評価に影響を与えると思っているので、今回試乗したグレードがもしPremium Modernだったら印象は変わってたかもしれません・・・。
CX-60と比較されてる他メーカーのSUVも大まかに「スポーツ系グレード」「ラグジュアリー系グレード」というグレード分けが行われていますが、スポーツ系グレードは足回りやドライブモードも専用セッティングされている事例がほとんど。
マツダも昨年のCX-5から特別仕様車を複数用意してキャラクター分けを明確にしており、その中でも"Sports Appearance"のみエンジンとシフトの繋がりをより機敏に専用チューニングされています。
CX-5の件があったのでCX-60も走りの面でキャラクター分けを行うのでは?と思っていたのですが、これまでチェックした限りだとそのような情報は出てきていません。
このあたりは今後確認したいところですが、今や売れ筋となったSUVには様々なニーズや需要が集中すると思うので、内装だけでなく走りの面も違いを明確にするのもアリかと思います。
もちろん、マツダが目指す方向性から外れない範囲での話ですが・・・。
色々好き勝手に感想を書いてきましたが、CX-60は12月にPHEV・XD・25S系グレードが発売されるので、まだまだ見どころがたくさんあります。
もし機会があれば高速道路でも走りを体感してみたいところ・・・・。
CX-60に関しては各メディアの試乗レポートが解禁された直後にプログラムなどのアップデートが実施されているので、実際に試乗して体感する事をオススメします。