2024年に入ってからあまり動きが無かったマツダの特許関連情報ですが、今週は2022年に出願公開されていた2件の興味深い内容が登録されています。
〇特許情報プラットフォーム
まず最初に取り上げるのは2022年1月に出願公開されていた「ロータリエンジン」という題名の特許。
(2022年1月に取り上げたブログ記事)
☆https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7419991
☆資料に記載されている特許の目的
本発明は、エキセントリックシャフトによって燃料ポンプ及びウォータポンプが駆動されるロータリエンジンにおいて、燃料ポンプ及びウォータポンプの駆動ロスを抑制することを課題とする。
2ローターの直噴ロータリーエンジンに関する内容はこれまでにも多く出願・登録されていますが、今回の特許はエンジンオイル用タンクが別体式(=ドライサンプ式)にする事を視野に入れているのが特徴。
ドライサンプ式を採用する理由としてはエンジンオイル供給の安定化だけでなく、オイルパンを無くしてエンジン搭載位置をさらに低くする(=低重心化)狙いもあると思われます。
2022年に出願公開された時は2ローターエンジンである事から駆動用と推測していましたが、昨年秋に発表された「ICONIC SP」で発電用ロータリーエンジンを2ローター化する事も視野に入れてる事が公表されたので、発電用の可能性も出てきています。
そして次に紹介するのは2022年3月に出願公開された「車両の動力伝達装置」という題名の特許。
(2022年3月に取り上げたブログ記事)
☆https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7420021
〇資料に記載されている特許の目的
縦置き式の変速機を備えた車両(スポーツタイプのFR車)において、車体後部に配置される変速機がドライブシャフトより車体前側に配置される場合、車室空間が狭くなることからドライブシャフトの上方に変速機を配置することが考えられるが、車両の重心位置が高くなって操縦安定性の低下を引き起こすおそれがある。
一方、変速機をドライブシャフトの下方に配置すると、地面との隙間が小さくなってスポーツタイプの車両などにおいて地上高を確保することが難しくなる。また、車体製造時にはドライブシャフトと変速機とを組立性良く配置することが望まれる。
本発明は、縦置き式の変速機を備えた車両において変速機が車体後部にドライブシャフト近傍に配置される場合に、地上高を確保しつつ操縦安定性を向上させると共にドライブシャフトと変速機とを組立性良く配置することができる車両の動力伝達装置を提供することを課題とする。
こちらは変速機を後方に搭載(=トランスアクスル)した車両に関する特許ですが、説明文で"スポーツタイプのFR車"と明確に書かれているのが大きな特徴。
変速機は6速MTに電動式アクチュエーターを追加したシーケンシャルミッションが前提となっていますが、純粋なマニュアルトランスミッションも可能と明記されています。
トランスアクスル機構はマツダの特許でも度々採用例(インホイールモーターやアルミ製スペースフレーム関連)が出てきている事に加えて、2015年東京モーターショーのプレビューデーでも前田育男さんがRX-VISIONのリアバンパー奥を指さしながら「トランスアクスルという機構がありまして・・・(コンセプトカーなのであくまで仮定)」と話されていました(笑)
さらに、昨年発表されたICONIC SPに関してもロータリーエンジンを発電用だけでなく駆動用も匂わせる発言が関係者から出ている事に加えて、お披露目時に公開された映像でもトランスアクスルを採用してそうな構造が映っています。
先に紹介したドライサンプ式のロータリーエンジンも含めて当初はRX-VISIONを意識した特許に思っていましたが、昨年ICONIC SPにも搭載する事は十分可能に感じてしまいます。
特にトランスアクスルに関する特許の説明図はRX-VISIONよりICONIC SPの方が近い気も(あくまで説明図ですが)
いつも通り現時点では"あくまで特許"ではありますが、マツダはICONIC SPの反響を受けて2月1日にロータリーエンジン開発グループを再度立ち上げる予定なので、今度こそ量産モデルが実現する事を祈りたいと思います。
・石川県公式HP(令和6年1月4日から受付開始)
・富山県公式HP(令和6年1月5日から受付開始)
※:新潟県は現時点で義援金受け付けを行っていないようなので、日本赤十字を通じた義援金やふるさと納税で貢献するのがいいかもしれません。