つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

2022年に出願公開されていた「駆動用3ローターエンジン搭載のHV車」と「ドライサンプ式のロータリーエンジン」に関するマツダの特許出願が登録されました。

(画像 IP Force.jp)

今年はなかなか目立った動きがないマツダの特許関連情報ですが、今週は2022年に出願公開されていた内容が登録されています。

 

 

知財ポータルサイト

https://ipforce.jp/

〇特許情報プラットフォーム

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

 

 

まず最初に紹介するのは2022年1月に出願公開されていた「車両」という題名の特許2件。

(2022年1月に取り上げたブログ記事)

〇1件目https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7435313

(画像 IP Force.jp)

〇資料に記載されている特許の目的

エンジンとモータとをユニット化してなる駆動ユニットを採用する車両において、モータの上など駆動ユニットに対して直にインバータを固定することはできるだけ避けることが望ましい。

これは、エンジンとモータとを有する駆動ユニットを採用する車両において、仮にインバータをモータの上に固定した場合には、エンジンの駆動時に生じる振動が直接インバータに伝わる。この振動によりインバータの電気部品がダメージを受け、場合によっては故障の原因となることが考えられるからである。

なお、振動に対して強い部品を用いてインバータを構成すれば、モータの上にインバータを固定する構造を採用してもインバータの故障を回避できるとも考えられるが、インバータの製造コストの上昇を招くことになり、このような構造を採用することは難しい。

本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、エンジンとモータとのユニット化を図りながら、製造コストの上昇を抑制しつつインバータの故障を抑制することができる車両を提供することを目的とする。

 

〇2件目https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7435314

(画像 IP Force.jp)

〇資料に記載されている特許の目的

車両の運動性能を高めようとする場合には、エンジンおよびモータからなる駆動ユニットを車両における中央に近い領域に配置することが有効である。このように駆動ユニットを配置することにより、車両が旋回し易くなり車両運動性能の向上を図ることができる。

しかしながら、車両における中央に近い領域には、乗員スペースがあるので、駆動ユニットを搭載するためのスペースは限られている。このため、車両運動性能の向上を図るために駆動ユニットを車両の中央に近い領域に配置するためには、駆動ユニットの小型化を図ることが必要となる。

本発明は、上記のような要望に応えるためになされたものであって、エンジンとモータとを有する駆動ユニットの小型化により車両運動性能の向上を図ることができる車両を提供することを目的とする。

この2件は「インホイールモーターやトランスアクスル構造を採用したFRのハイブリッド車」に関する特許ですが、搭載するのが"3ローターエンジン"になっているのが大きな特徴。

ロータリーエンジンに関しては発電用としての役割もより高まっていますが、今回の特許に出てくる3ローターエンジンは駆動用前提になっています。

(画像 IP Force.jp)

3ローターエンジン搭載のハイブリッド車に関する特許は2022年1月に多くの件数が出願公開されており、昨年12月には一足先に3件登録済み。

今回2件追加されたことで3ローターエンジン搭載のハイブリッド車に関する特許取得数は5件になりました。

これらの特許は海外でも出願・登録されています。




そして今週は2022年1月に出願公開されていた「ドライサンプシステム採用のロータリーエンジン」に関する特許も1件新たに登録。

(2022年1月に取り上げたブログ記事)

(画像 IP Force.jp)

〇資料に記載されている特許の目的

ロータリエンジンは、レシプロエンジンに比べて動弁機構などが存在しないことからコンパクトに構成されるが、さらなるコンパクト化が望まれる。

また、エンジン本体に冷却液及びオイルをそれぞれ供給するウォータポンプ及びオイルポンプは、エンジン出力軸によって駆動される駆動ロスを低減するためや冷却液及びオイルの供給経路を短くするためなど、エンジン本体を構成するロータハウジング近傍に配設されることが望まれる。

そこで、本発明は、ウォータポンプ及びオイルポンプをロータハウジング近傍に配置してコンパクトに構成することができるロータリエンジンを提供することを課題とする。

オイルタンクを別にするドライサンプ方式を採用したロータリーエンジンに関する特許はすでに複数出願・登録されていますが、今回はウォーターポンプやオイルポンプをコンパクトに構成することを主眼に置いた内容。

先に紹介した3ローターエンジンの特許でもドライサンプ方式が採用されています。

左:3ローター、右:2ローター (画像 IP Force.jp)

ドライサンプ方式を採用する理由としては駆動ユニットのコンパクト化やオイルパンを薄くする事でさらなる低重心化がありますが、基本的にはレーシングカーや高性能スポーツカーで採用される方式なので、マツダは次世代ロータリースポーツの高性能化だけでなく低いボンネットを実現する目的で特許出願してると思われますね。

先に紹介した3ローターエンジンに関する特許では"駆動用"と書かれていましたが、こちらの特許では"自動車等に搭載"と書かれているだけで用途自体は限定していません。

昨年秋に発表された「ICONIC SP」は2ローター化した発電用ロータリーエンジン搭載を視野に入れてる事が公表されましたが、マツダの関係者からは駆動用も意識した発言が出ています。

ただ、ICONIC SPの車体サイズや低いボンネットを実現するには発電用/駆動用問わずドライサンプ方式の採用がほぼ必須になる気がしますね・・・・。

 


いつも通り現時点では"あくまで特許"ですが、昨年後半から次世代スポーツカーやロータリーエンジンに関する特許が複数登録されているのに加えて、今月1日にはロータリー開発グループが再始動した事から次世代ロータリースポーツ量産化が実現する可能性は徐々に高まっている気もしますね・・・。

一方で、2024年に入ってから新しい特許出願の公開がほとんどない状況が続いているのは気になるところですが、引き続き気になる内容があれば順次取り上げていきたいと思います。

 

令和6年能登半島地震災害の義援金受付関連リンク。

・石川県公式HP(令和6年1月4日から受付開始)

令和6年能登半島地震に係る災害義援金の受付について | 石川県

富山県公式HP(令和6年1月5日から受付開始)

富山県/「令和6年能登半島地震災害義援金(富山県被災者支援分)」の受付について

※:新潟県は現時点で義援金受け付けを行っていないようなので、日本赤十字を通じた義援金ふるさと納税で貢献するのがいいかもしれません。