2024年に入ってからあまり動きが無い状況が続いているマツダの特許情報ですが、今週は気になる特許出願がいくつか公開されています。
〇特許情報プラットフォーム
まず最初は先月米国で公開されていた「横置きエンジン車用の可能性があるダブルウィッシュボーン式フロントサスペンション」に関する特許出願が今週日本でも公開されています。
(先月米国で出願公開された内容を取り上げたブログ)
「題名:フロントサスペンション装置」
https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2024-43677
〇資料に記載されている特許の目的
スモールオーバーラップ衝突への対策として、例えばサスペンションアームにおける車体取付部の近傍に脆弱部を設けて、前輪に対して車両前側から所定値以上の荷重が入力されたときに前輪が脆弱部を中心に車両後側に向かって回動するように該脆弱部を基点に該サスペンションアームを屈曲させる方法がある。
しかしながら、本願発明者らが検討したところこの構成では前輪はスモールオーバーラップ衝突の進行に伴い、車幅方向外側へ回動しつつも車両後側に位置するサイドシルが比較的大きく変形してしまうことが分かった。このため、車体の変形を抑制して車室への荷重伝達を抑制するという観点からは改良の余地がある。
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、スモールオーバーラップ衝突時における車体の変形を出来る限り抑制することにある。
改めて説明すると、現在販売されているマツダ車のフロントサスペンションはそれぞれ「横置きエンジン車⇒ストラット式」「縦置きエンジン車⇒ダブルウィッシュボーン式」に統一されていますが、日本で出願公開された特許資料でもダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションで"左右の前輪を駆動するパワートレインを配置"と書かれていました。
もちろん縦置きエンジンベースのAWD車である可能性もありますが、既存のスモール群アーキテクチャーの大幅アップデートや、2027年以降に導入予定のEV専用スケーラブルアーキテクチャーを意識した特許出願なのかもしれませんね・・・。
初代/2代目アテンザ以来の横置きエンジン車でダブルウィッシュボーン式を採用した車種が登場するのか気になるところです。
続いて紹介するのは「ピストン」という題名の内容。
https://ipforce.jp/patent-jp-P_A1-2024-43772
〇資料に記載されている特許の目的
ピストンの軽量化および振動抑制の両立を図る従来の構造としてピストンの空間部に粒子状充填材を移動可能な充填率で充填した構造が提案されている。この構造ではピストンの往復移動中に粒子状充填材が空間部内部を移動することによって、ピストンで生じる振動のエネルギーを粒子状充填材同士の摩擦による熱エネルギーに変換し、それによりピストンの振動を減衰させることが可能である。
しかしながら、上記のようなピストンの空間部に充填された粒子状充填材を用いてピストンに生じる振動を減衰させる構造では、ピストンの往復移動中に粒子状充填材が凝集してほぼ一体の塊となって空間部内部で往復移動する現象が生じる。このため粒子状充填材同士の摩擦による振動抑制機能が効果的に発揮できない。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、ピストン内部に充填された粒子の凝集を抑制して振動抑制機能を効果的に発揮することが可能なピストンの提供を目的とする。
こちらは直噴ガソリンエンジン用のピストンに関する特許出願ですが、資料に掲載されているピストンは既存のガソリンエンジン(SKYACTIV-G、SKYACTIV-X)に使用されてる物と異なります。
比較してみるとSKYACTIV-X用のピストンがかなり似ていますが、よく見るとキャビティ(窪み)の形状や底面の丸型が僅かに異なっているのが分かると思います。
あくまで特許説明図ではありますが、欧州ではCX-60/CX-80に直6のSKYACTIV-X(e-SKYACTIV X 3.0)搭載が予告されている事に加えて、既存の4気筒仕様も来年スペックUPさせる噂が出てきているので、このピストンはSKYACTIV-Xのアップデート用に開発されているのかもしれません。
今週気になった出願公開は以上となります。
昨年後半から公開される件数が少ないマツダの特許出願ですが、商標・意匠情報も含めて来週以降も気になる内容を随時取り上げていきたいと思います。
・石川県公式HP(令和6年1月4日から受付開始)
・富山県公式HP(令和6年1月5日から受付開始)
※:新潟県は現時点で義援金受け付けを行っていないようなので、日本赤十字を通じた義援金やふるさと納税で貢献するのがいいかもしれません。