つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

マツダ第7世代車種の内装質感を担当している開発者さんが取材に答えている動画。

MAZDA3から始まった第7世代で高い評価を得ている内装質感。

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(画像 NetCarShow.com)

この部分の開発を担当されている開発者の方が取材に答えている動画があったので取り上げたいと思います。

 

今回取り上げるのはCARVIEW公式チャンネルが公開したこの動画。

インタビューに答えているのはマツダの”車両開発本部・車両実研究部・クラフトマンシップグループ主幹エンジニア”である久保賢太さん。

 

久保さんはMAZDA3から始まった第7世代車で「内装素材の触り心地」「スイッチの押し心地」などの造り込みを担当。

マツダに入社される前は心理学者として大学で教鞭もとられていて、マツダの公式HPでも心理学者として紹介されています。

第7世代車のスイッチ類の操作感が個人的にかなり好印象だったので久保さんの話は是非一度聞いてみたいと思っていましたが、MX-30発売開始のタイミングで動画が出てきました。

動画内でお話されてる内容から特に興味深い部分をピックアップしたいと思います。

 

 

Q1:クラフトマンシップグループが担当している領域について。

デザイングループが「見た目・色・形」担当で、それ以外のほとんどがクラフトマンシップグループの領域。

人間の事を定量的に調べて車に織り込むのが仕事で本格的に動き出したのは現行MAZDA3から。

いわゆる「車を見て→触って→操作して→動かす」までの素材の触り心地やスイッチの押し心地、さらに”匂い”も担当領域。

匂いの領域はまだ詰め切れていないので開発中。

触り心地や押し心地だけでなく、匂いまで担当されてるという部分にまず興味が湧きました。

マツダで匂いに関する事と言えば、2017年から発売されたフレグランス「SOUL of MOTION」がまず思い浮かびます。

時間が経つにつれて香りが変化していったのが今でも印象に残っていますが、これが発売された時にあくまで噂レベルですが「この香りをマツダ車の内装に採用する事も検討しているらしい」という話を聞いた事があります。

まだ開発中との事なのでこれとは違う匂いになりそうですがどうなるのか楽しみですね。

 

Q2:担当領域においてMAZDA3とMX-30はコンセプトは違うのか?

社内では「固定」と「変動」と表現しているが、マツダとして固定すべき部分と車種ごとに変動させる部分とを考えている。

マツダを選ばれたお客様にはただ心地イイだけではなくて”元気な心地よさ”になってもらいたいのでこれは共通でやっていきたい。

ある程度のリラックスは必要だがラグジュアリーや楽チンという事よりも、自分で運転してみようや挑戦してみようという方向へつながる気持ちよさが大切。

最初に開発メンバーへ話したスイッチ類のスローガンは「後ろの席で子供が怒られるまで触り続けるスイッチを造ろう」

ここ最近のマツダ車(特に第7世代車)は内外装や走りがさらにレベルアップしたものの、あまりに違和感無く自然に運転できるのでややラグジュアリーや楽チンという方向性に傾きつつあるのでは?という一抹の不安がありましたが、”元気な心地よさ”というフレーズが出てきてまずは一安心しました。

 

Q3:スイッチ類の操作感を統一させることの難しさと今後の課題

車内のスイッチ類は「引く」「押す」「(レバーを)倒す」「回す」という種類があるので物理特性を合わせればOKというものでは無かった。

物理特性は違うけど同じ印象になるというのが人間中心の統一感。

さらに内装と走りという全く違う物理特性も同じにするのがゴール、そこで必要になってくるのが”人間の感情”

 

スイッチの操作感を統一させる事は出来たものの、「見た目・触り心地・押し心地・匂い」というような感覚器が違うものを同じフィーリングにするのがすごく難しい。

それを実現するには本物の素材を使用する事が一番やりやすいが、MX-30のリサイクル素材などの人工物を使用すると途端に難しくなる。

この部分はマツダに限らず自動車業界全体で取り組まないといけない課題だと思っています。

以前、海外メディアの記事(だったはず)で動物愛護や自然保護の観点から本革や本木素材を使わずにアルカンターラを採用する動きが出始めているという内容を見た事があります。

MX-30の内装も合皮やリサイクル素材が採用されていますが、それでも触り心地のいい感触を実現する事が挑戦だったのでしょうね。

 

Q4:MX-30でタッチパネルを採用した理由

私自身もこれまでスイッチの操作感を造り上げてきたのでタッチパネルを採用する事に疑問があった。

ただ、逆の発想で考えると車以外の日常ではダイヤルなどを操作するよりもスマホやタッチディスプレイを操作する機会が多いので、使いやすさで考えるとアリかもしれないと考えた。

それでも絶対に崩したくないのはマツダのルールである「脇見時間1秒以内」

なのでタッチパネルをやりたいというよりも脇見時間を最小に抑えながら今までと違うアプローチで何か出来ないか?という考えから実験的にトライしてみた。

僕自身もMX-30のタッチパネルは以前から疑問点として何回か触れていましたが、久保さん自身も最初は疑問だった事とタッチパネル採用ありきではなくアプローチの一種という言葉は少し安心しました。

個人的にはあの気持ちいい操作感のスイッチをさらに進化させつつ、音声認識を充実させてくれたら一番嬉しいでしょうか・・・。

音声認識なら脇見する必要もかなり減りますので。

 

この他にも興味深い内容がたくさんあるのですが動画を見る楽しみが無くなってしますのでこれくらいで・・・。

30分を越えるかなり充実した内容の動画なので是非一度チェックしてみてください。