オーストラリアではCX-60の価格やグレード構成に関する情報が解禁されましたが、現地ではこのタイミングに合わせてマツダの将来についても取材した記事が複数出てきました。
オーストラリアではCX-60の価格やグレード構成などの情報が昨日解禁。
予約注文受付も開始されていますが、現地の自動車メディアはこのタイミングに合わせてマツダの将来について関係者へ取材を実施。
その中で気になる内容が複数あったので紹介したいと思います。
まずは「CHASING CARS」が掲載したこちらの記事から。
2020年代後半から導入予定となっている「EV専用スケーラブルアーキテクチャー」についてマツダ専務執行役員の青山裕大さんへ取材した記事となっています。
リンク先によると・・・・
・EV専用スケーラブルアーキテクチャーは非常に高い拡張性を持っており、1つのアーキテクチャーで小型、中型、大型の"自動車"と"SUV"を生み出すことが可能。
・ビジネスの観点からはさまざまな要因を考慮する必要があり、EVの普及にはボリュームが必要なのでボリュームのあるセグメントから投入する必要があります。
・EV専用スケーラブルアーキテクチャーの詳細はまだ話せないが、ヒュンダイ/KIAのe-GMPプラットフォーム車やポルシェ・タイカンのように800Vの超高速充電に対応する可能性については「当初は手ごろな価格が第一目標」と青山さんは回答。
発表当初からEV専用スケーラブルアーキテクチャーは拡張性の高さが特徴として紹介されてましたが、一つのアーキテクチャーでMAZDA2~CX-9までカバーできるのは凄いですね・・・。
さらに「自動車とSUVを生み出すことが可能」と説明されてるので車高が低いモデルにも対応している事になります。
このアーキテクチャーを基にした最初のEVはまだ明らかになっていませんが、ボリュームのあるセグメントから導入するならやはり中型のSUVあたりでしょうか・・・。
ちなみに、先日公開された新しい中期経営計画によるとEV専用スケーラブルアーキテクチャーは2025~2027年のフェーズ後半に投入開始する予定となっています。
続いては「Which Car」と「GOAUTO」が掲載したこちらの記事。
〇「Which Car」
〇「GOAUTO」
こちらでは先に紹介した青山さんに加えてCX-60のチーフデザイナーである玉谷聡さんへ「MAZDA6の次期型・後継モデルが出る可能性」について取材した内容となっています。
まずは玉谷さんの証言から・・・。
・マツダに入社する前は別の自動車会社の入社試験も受けたが、RX-7やルーチェなどの縦置きエンジン車があってスポーティなイメージのマツダを選んだ。
・私にとってFR車は本当にデザインしたかったモデルであり、CX-60を担当している事に興奮している。
・ラージ群アーキテクチャーは主にSUVを想定して開発されており、想定している最低地上高は150㎜~160㎜。
なので、このアーキテクチャーからMAZDA6のようなより車高が低いモデルを生み出す事は出来ないと思います。
・CX-60などラージ群アーキテクチャーを基にしたモデルが成功すればセダンやスポーツカーのような車高が低いモデル用のFRプラットフォームを生み出せる可能性があり、私たちはそれに対する情熱もある。
続いて青山さんの証言を・・・。
・ラージ群アーキテクチャーはコアモデル(SUV)を導入する事に重点を置いてるので、セダンなどのモデルに関してはどのように開発すれば各国のお客様の期待に応えられるのか慎重に検討する必要があります。
・さらに電動化も視野に入れるとどのようなモデルラインナップが最適なのか調査している段階でもある。
今年4月に欧州マツダの関係者から「MAZDA6の直接的な次期モデルを出す計画は無い」という証言が出た時から嫌な予感はしていましたが、やはり現状のラージ群アーキテクチャーは主にSUV向けという位置付けて開発されているようです・・・。
ラージ群アーキテクチャーは当初バッテリーを荷室下に搭載する方向で開発が進められていたものの、バッテリー容量を増やすために搭載位置を床下に変更したことが取材で明らかになっています。
この変更によって導入時期が1年程度遅れる事になりましたが、もし荷室下にバッテリーを搭載する構造のまま開発が進められていたらMAZDA6の次期型・後継モデルも誕生していたのかもしれません・・・。
確かに電動化対応や運動性能的に考えると床下に搭載する方が有利ですが、一方で長い間注目していたアーキテクチャーが実質SUV専用となっているのは寂しい限り・・・。
SUV以上にMAZDA6の次期型・後継モデルを期待していた方はかなり多いと思うので、個人的にはCX-4のようなスタイルでラージ群アーキテクチャーのSUVクーぺが出たら欲しい人かなり多い予感もしますが・・・。
最後は「ロードスターの今後」に関して。
まずは「Which Car」の記事から・・・。
https://www.whichcar.com.au/news/next-gen-mazda-6-might-be-axed-rear-drive-sportscar-also-unlikely
これは先に紹介したMAZDA6の次期型・後継モデルが出る可能性について青山さんと玉谷さんへ取材している記事ですが、最後にこのような一文が・・・・。
Mazda axed the 6 from its line-up in America last year and Aussie sales have nosedived as the market shifts towards SUVs, so news that a new 6 is on shaky ground is no surprise.
Happily though, the brand is more positive about the future of the iconic MX-5, which Aoyama confirmed is currently being developed for a circa-2026 reveal.
マツダは昨年、アメリカでMAZDA6をラインアップから外し、オーストラリアではSUVに市場がシフトしているため、新型MAZDA6の可能性が不安定な状況にあるというニュースは驚くにはあたらない。
しかし、幸いなことにマツダは象徴的なモデルであるMX-5の将来については前向きであり、青山氏は2026年頃の公開に向けて現在開発中であることを明かした。
どうやら取材の最後に青山さんが「2026年頃の公開に向けてMX-5(ロードスター)を開発している」と証言をしたみたいです。
文章の流れから考えると次期型(NE型)の意味だと思われますが、一方で今年日本国内で開催されたオーナーミーティングで斎藤主査はこのように話されています。
・次期型の開発はまだ始まっていない。
・開発がスタートしても量産開始まで4年程度は掛かるので当分出ない。
・現状のバッテリー技術でEVの次期型を開発しても重くて大きな車にしかならないので技術が進化するのを待っている。
水面下ではすでに開発が始まってる可能性もありますが、斎藤主査の回答から考えると次期型が2026年頃に公開されるとすればEVではなく現行型のアーキテクチャーを改良したハイブリッドという可能性もあるかもしれません(NA⇒NBと同じような方法のモデルチェンジ)
そして合わせて注目なのが「GOAUTO」の記事。
こちらは画像と動画を通じて世界初公開された「ビジョンスタディモデル」について取り上げてる記事ですが、メルボルンで開催されたCX-60発表イベントでもこのモデルに関する質問が相次いだとの事。
質問に対して青山さんはこのように回答したようです。
We definitely need to consider the continuation of the MX-5 even under the environmental electrification and an eventual shift to an EV sometime in the future.
環境対応や電動化の中でもMX-5を継続させて、将来的にはEVへ移行する可能性も考えなければなりません。
And as far as the passion for sportscars, we continue to consider how we can set up the appropriate sportscar models in our future line-up to reply to the expectations of our passionate fans.
また、スポーツカーに対する情熱については、熱狂的なファンの期待に応えるために、今後のラインアップにどのようなスポーツカーモデルを設定するか、引き続き検討していきます。
We have a lot of studies for what should be the future MX-5, and all are supported by the passion of the past, almost, 35 years.
私たちは未来のMX-5がどうあるべきかについてさまざまな研究を行っており、そのすべては約35年間にわたる情熱に支えられています。
It’s to give our stakeholders some kind of expectation for the future … It’s only an example of how we might leverage our EV dedicated platform in the future. It doesn’t necessarily mean that it represents a future product.
これはステークホルダーに将来への期待を持たせるためのものであり、将来、EV専用プラットフォームをどのように活用するかの一例に過ぎません。必ずしも将来の製品を意味するものではありません。
あくまでEV専用プラットフォームを活用した一例で特定のモデルを示唆するモノでは無いとの事ですが、青山さんの回答を見る限りだとMX-5の将来との関係性が強い印象ですね・・・。
ただ、スポーツカーのラインナップを引き続き検討していくという証言もされている事に加えて、ビジョンスタディモデルはクローズドボディなのでRX-7のようなスポーツカーも意識はされてるのかしれません。
個人的にはビジョンスタディモデルの意匠の一部がNDロードスターの大幅改良や次期型で採用されるのでは?という妄想もしていますが・・・(笑)
CX-60オーストラリア仕様の情報解禁に合わせてマツダの今後に関する証言も多く出てきましたが、ここ最近SUVに関する話題ばかりなのでMAZDA6の次期型・後継モデルやロードスターに関する内容は特に気になってしまいます。
市場トレンド的にSUVが重要なのは理解しているつもりですが、一方でここ最近のマツダはSUVへ傾倒し過ぎてる印象も強くなってきてるので、SUV以外のモデルに関するロードマップも発表して欲しいのが正直なところ・・・。
EV専用プラットフォームの一例としてセダンやハッチバックのスケルトンボディが組み合わされた画像は出ていましたが・・・。
今後追って情報公開される可能性もあるので引き続き注目していきたいと思います。