つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

マツダが発電用ロータリーエンジン搭載のPHEV「MX-30 R-EV」を正式発表したので内容を詳しくチェック!(追記あり)

(画像 ドイツマツダ)

2023年1月13日、マツダが発電用ロータリーエンジン搭載のPHEV「MX-30 R-EV」を欧州で正式発表。

RX-8以来のロータリーエンジン搭載車となるこのモデルの内容を詳しくチェックしていきます。

 

 

今月9日に欧州マツダから「発電用ロータリーエンジン搭載のPHEV"MX-30 R-EV"を1月13日に正式発表する」というリリースが出ていましたが、予定通り本日18時すぎ(日本時間)に情報解禁!

〇ドイツマツダ公式ニュースリリース

〇英国マツダ公式ニュースリリース

〇オランダマツダ公式ニュースリリース

マツダ(日本)公式ニュースリリース

ブリュッセルモーターショーでお披露目された瞬間の写真も公開。

プレスカンファレンスでは欧州マツダ社長のMartjin ten Brink氏に加えて、2021年からMX-30開発主査を担当されている上藤和佳子さんがスピーチを行っています。

(画像 ドイツマツダ)

実車や欧州におけるグレード構成などは後ほど紹介するとして、まずは最も注目されているロータリーエンジンから順番に紹介していきます。

 

 

ポイント①:新開発のロータリーエンジン「8C」

(画像 MAZDA)

「直噴式1ローターエンジン"8C"」

・排気量・・・830㏄

・最高出力・・・55kW(75ps)/4,700rpm

・圧縮比・・・11.9

・ローター半径・・・120㎜

・ローター幅・・・76㎜

・スパークプラグ本数・・・1本

RX-8に搭載されていた13B型"RENESIS"のサイドハウジングは鋳鉄製だったが、8C型はアルミ製に変更。

・サイドハウジング表面には特殊なセラミックコーティングを施して摩擦と摩耗を低減。

・エンジン単体重量は13B型より15㎏軽量化

排気ガス再循環システム(EGR)採用

・欧州で最も厳しい排ガス基準「Euro6D-ISC-FCM」を"簡単に"クリア。

まず何よりも注目なのは約11年ぶりに復活したロータリーエンジンですが、気になる排気量はRX-7RX-8に搭載されていた13B型(654㏄×2)よりUPされた830㏄。

マツダは2007年に13B型の後継として「16X型(800㏄×2)」という直噴ロータリーエンジンを参考出品しているので、おそらくこのエンジンの研究開発で得た技術やノウハウが生かされてる可能性が高そうです。

そして、ローターの窪み(リセス)を見ると13B型とは大きく異なる独特な形状になっています。

「左:8C、右:13B(RENESIS)(画像 MAZDA)」

マツダロータリーエンジンに関する特許でも13B型とは異なる形状のリセスを検討している内容が複数あったので、今回発表された8C型でも特許出願の内容が反映されてる可能性も・・・。

圧縮比も13B型(9.4)から大きく高められていますが、これもリセス形状の効果だと思われます。

一方、13B型では1ローターごとに2本装着されていたスパークプラグが1本になっているのは気になるところですが、これは回転数がほぼ一定になる発電用だからでしょうか・・・?

「左:8C、右:13B(RENESIS)(画像 MAZDA)」

それにしても発電用とはいえ"新開発のロータリーエンジン"という響きだけで興奮してきます・・・(笑)

 

 

ポイント②:ロータリーエンジンを発電用として採用したPHEVシステム「e-SKYACTIV R-EV」

(画像 ドイツマツダ)

(e-SKYACTIV R-EVのシステム紹介動画)

「シリーズ式PHEV "e-SKYACTIV R-EV"」

・発電用エンジン・・・・830㏄ 8C型ロータリーエンジン

・最高出力(モーター)・・・・125kW(170ps)

・最大トルク(モーター)・・・・260Nm

・搭載バッテリー・・・・・・・17.8kWh(リチウムイオン)

・WLTP燃費・・・・1.0ℓ/100km(モード別の燃費は後述)

・CO2排出量・・・・21g/km

・システム航続距離・・・・最低600㎞以上?

・EVモード走行可能距離・・・・85㎞(WLTP)

・燃料タンク・・・・50ℓ

発電用ロータリーエンジンに関しては当初レンジエクステンダーになる情報が出ていましたが、MX-30 R-EVはシリーズ式のプラグインハイブリッドとなります。

基本的にはMX-30 EVに発電用ロータリーエンジンを追加した構成とも言えますが、モーターの最高出力はEVの145psから170psにUP。

そして搭載されてるバッテリーサイズはEVモデルの約半分となる「17.8kWh」になっていますが、この数値はCX-60 PHEVと同じになります。

一方で燃料タンクはMX-30 マイルドハイブリッドモデルとほぼ同等の50ℓとなっていますが、これは長距離移動が多い欧州を意識した仕様かもしれませんね。

燃費に関しては充電やEV走行の使用頻度によって大きく変わってくると思うので参考程度で。

 

 

ポイント③:ドライビングモード

(画像 ドイツマツダ)

EVモデルと同様に3つのドライブモード(EV・ノーマル・充電)が備わっていますが、欧州のニュースリリースではそれぞれのモードにおける発電用ロータリーエンジンの作動条件が紹介されていました。

〇EVモード

・バッテリー充電量が0%になった時のみエンジンが作動

ノーマルモード

・バッテリー充電量が40%以上あるときは基本的にエンジンは作動しない。

・バッテリー充電量以上の加速力を必要とする場合はアクセル開度に応じてエンジン作動。

・エンジンが作動した場合は基本的にバッテリー充電量を約45%に維持する。

〇充電モード

・希望するバッテリー充電量を10%刻みで設定可能。

・設定したバッテリー充電量を下回るとエンジン作動。

先日試乗したCX-60 PHEVは比較的エンジンが主役と言えるセッティングでしたが、MX-30 R-EVのロータリーエンジンは完全に発電用なので作動範囲は比較的限定ですね。

そしてEVモデルと同様に最高速度は140㎞/hに制限されていて、0-100㎞加速は9.1秒と案内されています。



ポイント④:実車画像・欧州におけるMX-30 R-EVの価格とグレード構成

(画像 MAZDA)

基本的な内外装は既存のMX-30と同様ですが、フロントフェンダーには昨年商標出願されていたデザインのエンブレムが装着されており、リアエンブレムもオレンジの挿し色が入った専用デザインになっているのがR-EVの証。

アルミホイールの形状自体は既存のMX-30と同じですが、切削加工とブラックの塗り分けパターンが異なります。

「左:従来モデル、右:R-EV (画像 ドイツマツダ)」

 

そしてブリュッセルモータショーの会場に展示されているブラックの車両が気になる人も多いと思いますが、これは欧州で販売されるR-EV発売記念車「EDITION R」

(画像 ドイツマツダ)

「MX-30 R-EV "EDITION R"」専用装備。

※欧州仕様の上位グレード"MAKOTO"がベース

・専用のマルチトーンボディカラー(ジェットブラックマイカ×マローンルージュメタリック)

・ブラック内装(URBAN EXPRESSION)をベースにヘッドレスト専用ロゴのエンボス加工。

・専用バッヂ付きのフロアマット

・専用デザインのセレクティブキーシェル

これまでにない組み合わせのボディカラーが特徴的ですが、ピラー部分に採用されている「マローンルージュメタリック」は2020年に発売されたマツダ100周年記念車以来となります。

これまでMX-30はセラミックメタリックなどを中心に落ち着いた雰囲気の世界観でしたが、今回のEDITION Rはかなり精悍な雰囲気でMX-30の違う一面が見える感じですね。

 

そして欧州ではすでにグレード構成と車両価格も公開されているのですが、グレード構成はEVモデルと同じで価格も上位グレード"MAKOTO"以外は同額になっています。

☆MX-30 R-EVドイツ仕様

・PRIME-LINE・・・・・35,990ユーロ

・EXCLUSIVE-LINE・・・38,490ユーロ

・AD’VANTAGE・・・・38,490ユーロ

・MAKOTO・・・・40,490ユーロ(EVモデルは39.990ユーロ)

(R-EV発売記念モデル)

・EDITION R・・・・45,040ユーロ

日本で販売されているMX-30 EVモデルは「約451~501万円」なので、R-EVが日本でも販売された場合にはほぼ同価格帯になりそうですね・・・。

ただ、マツダが公開した資料だと発電用ロータリーエンジンを軸に3つの電動化モデルを生み出せるので、電力事情や充電環境を考えると日本では純粋なシリーズハイブリッドの方が有力でしょうか?

(画像 MAZDA)

 

現時点でMX-30 R-EV導入を正式発表したのは欧州のみですが、マツダの情報でおなじみの中国新聞は「欧州では今春から発売開始して、日本にも投入する」と報じているので、いずれ販売される可能性はかなり高そうです。

とりあえず本日欧州で発表された内容をチェックしてみましたが、今後欧州メディアを中心にさらに詳しくチェックした記事や試乗レポートも出てくると思うので引き続きブログで取り上げていく予定です。

 

個人的な本心では駆動用としてスポーツカーへ搭載される日を待ち望んでいますが、一方で長らく欠けていたマツダにとって重要な"ピース"が埋まり始めた感覚もあるので、まずは発電用としてでも復活した事を心から祝いたいと思います。

関係者の皆様おめでとうございます!!!

(画像 MAZDA UK)