2022年スーパー耐久シリーズ参戦を正式発表した「MAZDA SPIRIT RACING」
マツダ本体主導によるモータースポーツ活動はかなり久しぶりなので大きな注目を集めていますが、チーム代表兼ドライバーである前田育男さんが誕生のきっかけや今後の活動について取材を受けています。
「MAZDA SPIRIT RACING」が2022年スーパー耐久シリーズ参戦を正式発表した内容を取り上げたブログはこちら。
マツダ本体主導によるモータースポーツ活動はかなり久しぶりという事もあってかなり期待していますが、魂動デザイン生みの親としてもおなじみで「MAZDA SPIRIT RACING」代表兼ドライバーの前田育男さんが今月23日に富士で行われた公式テストの場で取材に答えています。
前田育男さんへの取材記事を掲載したのは「auto sport web」
Q1:「MAZDA SPIRIT RACING」立ち上げとスーパー耐久参戦のいきさつについて。
・スーパー耐久に参戦しようという計画はずっとここ数年間練っており、「MAZDA SPIRIT RACING」というチームで出ようと準備はしていた。
・その中で"モリゾウさん"から「カーボンニュートラルに向けた選択肢を増やそう」という掛け声があり、「じゃあ、我々はいちばんにチャレンジしよう」とバイオディーゼル燃料を使うデミオを仕立て昨年のスーパー耐久最終戦に参戦した。
・本来であれば2022年からきちんとやろうと思っていたが、それが早まった。
・急遽参戦が実現出来たのは以前からディーゼルエンジンでスーパー耐久へ参戦していた「TEAM NOPRO」さんのノウハウが大きく非常に助かった。
これまで見た情報の限りだとかなり急な参戦というイメージもありましたが、やはり計画自体はここ数年間練られており、その時点で「MAZDA SPIRIT RACING」という名称も出ていたようです。
丸本社長曰く「昨年9月の終わりごろに豊田社長から「遊びに来ない?」というお誘いがあった」らしいのでこのタイミングで計画が早まったと推測・・・(笑)
そう考えるとTEAM NOPROさんの存在はかなり大きいですね。
Q2:「MAZDA SPIRIT RACING」という名称が参戦発表以前から商標登録されていた件について。
僕がデザイナーということもあり、まずはとにかくネーミングとロゴから入らなければならないと思いました。
しかも商標は取るのに時間がかかるのでかなり早くから登録をしたのですが、いろいろなところで話題になり逆に驚きました。
コソっと出しているだけだったんですけどね(笑)
マツダ本体はしばらくモータースポーツをやっておりませんでしたので、そのモータースポーツを柱とするようなブランドを作りたいという思いがあった。
「MAZDA SPIRIT RACING」の商標が出願公開された時にこのブログでも取り上げましたが、その時もかなり反響が大きかった記憶があります。
Q1でも触れた通り数年間の間に計画は色々練られていたという事ですね。
Q3:"R"をイメージしたロゴの意味合いについて。
・RACINGの"R"という事に加えてこの丸い形が地球を表しており、「地球のなかに“レーシングの火”を灯し続けたいな」という思いがあります。
・モノトーンでも使用するが、レッドになっている三角は灯火(ともしび)を表している。
先日発表された2022年参戦車両の画像を見ると三角の色は「バイオディーゼル仕様のMAZDA2が"グリーン"」「ロードスターが"レッド"」となっているので使用される燃料・エネルギーによって色を使い分ける方向性かもしれませんね。
ちなみに、このロゴマークも参戦発表以前に商標出願されています。
Q4:「MAZDA SPIRIT RACING」という名称の意味合いについて。
マツダらしいモータースポーツのあり方は、おそらくですがすごい投資をして、トップカテゴリーにバンと出るというスタイルではなく、作っている人たちや出場している人たちの心を繋いでいくスピリットでモータースポーツを盛り上げていく……という思いがある。
Q5:マツダのモータースポーツと言えば「マツダスピード」という印象が深く残っているが、このブランドを使用しなかった理由について。
当然「マツダスピード」を使うというオプションもあったが、マツダスピードがレース活動を止めて30年ほど経っておりブランクもある。
「マツダスピード」はきちんとしたネーミングなのでもったいなかったが、過去のネームプレートの“復活”というかたちにはせず新しいブランドを立ち上げたかった。
そして敢えて今回、『スピリット』という言葉を入れたかった。
マツダスピードと同様にスピードを追求するのはもちろんなのですが、もう少し人に近い、新しいネームプレートであるという意味を込め『MAZDA SPIRIT RACING』と名付けた。
マツダスピード復活という選択はあったのか?という事は個人的にも以前からかなり気になっていたのですが、前田さんによると活動停止によるブランクなどを考えて新しいブランドを立ち上げたとの事。
久しぶりにモータースポーツ活動を復活する事だけでも十分嬉しい事に違いはありませんが、出来ればマツダスピードを本格的に復活させて欲しかった気持ちもあるのが正直なところ・・・。
普段から海外のマツダに関する情報をチェックしているとマツダスピード復活を望む声に加えて、"MAZDA SPEED"のステッカーやエンブレムを貼っている車を多く見かけるのでマツダの中でもかなり重要なヘリテージに違いないと思うので・・・。
Q6:「MAZDA SPIRIT RACING」という活動はマツダのワークス活動にあたるのか?グラスルーツの活動という印象も受けるが・・・。
たしかに我々がベースとしているのはグラスルーツのモータースポーツなので、トップカテゴリーにドンと出るというより、グラスルーツで汗を流してやってくれる仲間と一緒にこのブランドを作っていきたいという思いがある。
ワークスではあるが、ある意味でクラブ活動のようなところから活動の重みや領域を一歩一歩広げていきたい。
立ち上げて間もないチームなのでまずはスーパー耐久シリーズを中心に展開していくと思いますが、マツダスピードでは無く敢えて「MAZDA SPIRIT RACING」を立ち上げたからにはルマン24時間(WEC)やデイトナ24時間(IMSA)優勝を目指して活動の重みや領域を広げて欲しいところ・・・。
Q7:北米では独自にマツダのモータースポーツ活動が行われてきましたが、今後はグローバルに「MAZDA SPIRIT RACING」としての展開もあるのか?
そうですね。グローバルにそういった人たちがたくさんいますがパイプがないので繋がっていないんですね。それを繋げる役目をしたいと思っています。
「MAZDA SPIRIT RACING」というネームプレートを使ってもらい、いろんな人たちがグローバルに繋がればと思いますし、繋げる仕掛けのようなものも今後展開していきたいですね。
Q8:北米では活動が活発だった一方、日本ではこの30年ほどマツダ本体としてモータースポーツ活動を行っていませんでした。今後はグラスルーツを中心にモータースポーツを展開していくのか?
グラスルーツを中心に展開していきたいと思っています。
スーパー耐久も含めてモータースポーツはいわゆる『走る実験室』であり『走る広告塔』でもあるので、こういった活動を行うことですごく社内のメンバーも活性化してきていますし、技術もおそらく量産に活かされていくと思います。
そういった繋がりづくり、スキームづくりをしていきたいと思います。
北米を中心とする海外では現地法人主導によるモータースポーツ活動が活発だった一方、国内ではようやく再始動という事になるのでマツダが以前から掲げているブランド価値経営の面でも国内外を繋ぐパイプが形成されると「走る広告塔」という意味合いもより強まりそうですね。
まずはバイオディーゼルのMAZDA2で実績をあげるのが最優先だと思いますが、個人的には直6エンジンや水素ロータリーによる活動も広がると嬉しいところです。
Q9:バイオディーゼル車がデミオからMAZDA2へ変わった事と今後の進化について。
2021年の岡山では時間もなくそこまで気が回りませんでしたが、今回はきちんとアップデートしていこうということですね。
中身についても、今後少しずつグレードアップをしかけていこうと思っているのでそのあたりも期待していただければと思います。
MZRacingさんの公式テストレポートによるとMAZDA2へのアップデートに合わせて「過給機のバージョンアップが行われて出力が向上している」いるとの事。
軽油とバイオ燃料という僅かな違いはありますが、今後量産車へのフィードバックがあるのか気になるところですね。
記事に書かれている中で特に気になる内容は以上となります。
また立ち上げられたばかりでいろいろリクエストしたくなる事もありますが、まずは2022年シーズンを無事にクリアしてその後も着実に活動範囲が広がるのを期待ですね・・・。