1月13日にワールドプレミアされてから続々と情報が出てきている発電用ロータリーエンジン搭載のPHEV「MX-30 R-EV」ですが、今回は欧州マツダ副社長が海外メディアのインタビューに答えているので紹介したいと思います。
「MX-30 R-EV」に関しては1月13日にワールドプレミアされてから続々と情報が出てきていますが、このブログでは15日に開発主査の上藤さんとパワートレイン開発部門アシスタントマネージャーの野口さんへインタビューしている海外メディアの記事を取り上げました。
これに続いて欧州マツダ副社長の松江浩太さんへインタビューを行ってる海外メディアが出てきたので内容を紹介したいと思います。
今回紹介するのは欧州の自動車専門WEBメディア「Autophorie」公式YouTube。
松江浩太さんはこれまで主にディーゼルエンジンの開発に携わってきた方で、現在は欧州マツダ副社長に加えて欧州R&Dセンターの所長も兼務。
今回はMX-30 R-EVにロータリーエンジンが採用された理由などについて証言されています。
Q1:ロータリーエンジンを搭載したモデルが生産終了してから約10年が経過していますが、このタイミングで復活した理由は?
A:私たちはロータリーエンジンを復活させる良いタイミングを探し続けていました。
その時にマーケットが電動化へ進んでいる中でハイブリッドシステムをどこまでコンパクトにできるかを考えた時に幸いなことにロータリーエンジンが最適だった。
Q2:20年以上キャリアがあるマツダのエンジニアの一人として松江さんはロータリーエンジンが復活する事を知らされた時の開発部門の雰囲気は覚えていますか?
A:マツダのエンジニアの中でも何人かはロータリーエンジンの研究を続けていました。
なので新しいロータリーエンジンの開発許可が下りた時はとても嬉しかったです。
Q3:開発で大変だった事は?
A:最後にロータリーエンジンが新開発されたのはもう20年ほど前になるので、当時担当していたエンジニアの一部はすでに退職していました。
それによってノウハウも一部失われていたので、今回のロータリーエンジンはSKYACTIVテクノロジーのノウハウを生かして開発された。
キャリブレーションはもちろんベンチテストも多く実施している。
Q4:今回のハイブリッドシステムに既存のSKYACTIVエンジンではなくロータリーエンジンを選んだ理由は?
A:「ハイブリッドシステムをコンパクトに出来る事」
コスト面だけ考えるとSKYACTIV-Gエンジンが有利ですが、このエンジンを組み合わせるとMX-30のエンジンルームにも収まらない。
確かにロータリーエンジンの開発は大変だが、復活させるにはいいタイミングだったと思います。
ブリュッセルモーターショーの会場に展示されているモックアップでも分かると思いますが、このハイブリッドシステムはとても幅が短い。
私が初めてモックアップを見た時も本当に驚きましたが、このシステムにロータリーエンジンが組み合わされている事を誇りに思います。
Q5:当初このシステムはレンジエクステンダーになる情報が出ていましたが、MX-30 R-EVがプラグインハイブリッドでEVモードの航続距離が85㎞になった理由は?
A:ユーザーが一日に走行する距離がどれほどなのか調査した結果、ほとんどのユーザーは85㎞程度であることが分かりました。
さらに、MX-30 EVモデルと同じバッテリー容量(35.5kWh)を採用したハイブリッドシステムというのは価格面で厳しいので、ほとんどのお客様にとってEV航続距離は85㎞で十分と判断しました。
なのでバッテリー容量は半分にして、燃料タンクを追加した。
Q6:RX-7/RX-8に搭載されていたロータリーエンジンと比較して音や振動の類似点はありますか?
A:私も一人のロータリーエンジンファンなので同じような感覚を味わって欲しい気持ちがありますが、今回は発電用なので感覚は違います。
さらに今回のエンジンは1ローターなので燃焼音や排気音も異なります。
なので以前のロータリーエンジンのサウンドが好きなユーザーにとってMX-30 R-EVは好みと違うかもしれませんが、電気駆動のフィーリングが好きな方にとっては最適な車ですね。
Q7:マツダは2015年に「RX-VISION」というコンセプトカーを発表していますが、今回ロータリーエンジンが復活したので、今後このエンジンを搭載したスポーツカーや787Bのようなレーシングカーが再び登場する可能性はありますか?
A:個人的にもロータリーエンジンのファンとしてこのエンジンを搭載したスポーツカーを開発したい。
ただ、現在は欧州を中心に電動化へ進んでいるのでマツダは設定した電動化対応に集中している。
電動化の目途がある程度たった時にRX-7/RX-8のようなスポーツカーファンが多かったらロータリーエンジンを使う事を考えないといけない。
基本的には前回紹介した上藤さんと野口さんの説明と同じですが、開発で大変だった事として前回ロータリーエンジンを新開発してから20年以上経過していたので、当時のエンジニアの一部がすでに退職してノウハウも一部失われていたというのは中々興味深いところ・・・。
マツダはRX-8生産終了以降もロータリーエンジンの研究開発と生産は続けていましたが、やはり新型の搭載車を開発をしていないとノウハウも少しづつ失ってしまうのが現実・・・。
今回は発電用という事で一部で賛否が分かれているようですが、エンジニアの経験やノウハウの継承という意味を考えるとどのような形でも復活したのは本当に良かったと思います。
ただ、今回のロータリーエンジンは発電用の1ローターなので排気音だけでなく燃焼音もRX-7/RX-8に搭載されていた13B型とはやはり異なるとの事。
SKYACTIVテクノロジーのノウハウも生かされてるとの事なのでどのようなフィーリングなのか気になるところですね。
そしてロータリーエンジンに関する取材やインタビューで必ず質問されるスポーツカーやレーシングカーが復活に関してですが、ここはほぼ予想通りの回答でしょうか・・・(笑)
やはりまずは電動化対応の優先度が高いので、これがある程度目途が立ってからなのでしょうね・・・。
ただ、今回新開発された発電用ロータリーエンジンの搭載車種がMX-30 R-EVのみで終わる事は考えにくいので、CX-30やMAZDA3等のスモール群など複数の車種へ展開される可能性は十分考えられます。
すでに丸本社長や英国マツダTOPからも複数車種への搭載を匂わせてる発言が出ているので・・・。
まずは発電用として採用車種を拡大していずれは駆動用としてスポーツカーへ搭載されるのを楽しみに待ちたいと思います。