つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

MX-30 R-EVの開発担当者が海外メディアのインタビューでロータリーエンジンの改良ポイントや今後の展開について証言。

(画像 ドイツマツダ)

1月13日に正式発表されてからかなり大きな反響を呼んでいる「MX-30 R-EV」ですが、海外メディアが早速マツダの開発担当者へインタビューを行っています。

 

 

「MX-30 R-EV」は2023年1月13日に欧州でワールドプレミア。

発電用としてロータリーエンジンが復活した事もあって世界中で大きな反響を呼んでいますが、まだまだ分からない部分もたくさんあるのが正直なところ・・・・。

ただ、早速マツダの開発担当者へインタビューを行ったメディアが出てきたので紹介したいと思います。

 

 

今回取り上げるのはイタリアの自動車メディア「Quattroruote」と英国の自動車メディア「AUTOCAR」の記事。

〇Quattroruote

〇AUTOCAR

「Quattroruote」と「AUTOCAR」はMX-30 R-EVが発表されたブリュッセルモーターショーの会場で開発主査の上藤さんとパワートレイン開発部門アシスタントマネージャーの野口さんへインタビューを実施。

新開発されたロータリーエンジンを中心に詳細を説明されているので順番に紹介したいと思います。

※より詳しくインタビュー内容を掲載しているQuattroruoteの記事を軸に紹介していきます。

「左:上藤さん、右:野口さん (画像 ドイツマツダ)」

Q1:バッテリー残量が最小になってる時のロータリーエンジンの燃費は?

(A:野口さん)

・WLTCのハイブリッド総合燃費は7.6ℓ/100kmですが、まだ認可取得途中なので正式な数値ではない(参考までにドイツマツダのリリースに記載されていたプラグインハイブリッド燃費は1.0ℓ/100km)

・MX-30 R-EVのシステムはバッテリー残量を一定に保つようになっている。

・充電モードで設定したバッテリー残量を下回るとエンジンが作動する。

(ドイツマツダニュースリリースに記載されていたモード別のエンジン作動条件)

〇EVモード

・バッテリー充電量が0%になった時のみエンジンが作動

ノーマルモード

・バッテリー充電量が40%以上あるときは基本的にエンジンは作動しない。

・バッテリー充電量以上の加速力を必要とする場合はアクセル開度に応じてエンジン作動。

・エンジンが作動した場合は基本的にバッテリー充電量を約45%に維持する。

〇充電モード

・希望するバッテリー充電量を10%刻みで設定可能。

・設定したバッテリー充電量を下回るとエンジン作動。

 

Q2:バッテリー残量と燃料がフルの場合はどれくらい走行可能?

(A:上藤さん)

・バッテリーや走行状況にもよりますが合わせると600㎞以上は走行可能。

・この数値は認可取得途中なのでさらに増える可能性もある。

 

Q3:MX-30 R-EVに搭載されているロータリーエンジンの理想的な回転数は?

(A:野口さん)

・最適な回転数は約2,000~4,500rpmで、快適性を求めるユーザーの声も配慮。

・発電機に必要な電力量を設定してからエンジンの最適な作動範囲を決めている。

 

Q4:新開発したロータリーエンジンの排気量が830㏄になった理由は?

(A:野口さん)

・求められる最高速度や加速を検討したうえで求められるエンジンパワーを計算しました。

・この計算からトルクや使用範囲も決めた結果830㏄という排気量になった。

 

Q5:今回新開発したロータリーエンジンの主な改善ポイントは?(AUTOCAR)

・大きく分けて「経済性」「軽量化」「信頼性」の3つが改善ポイント。

・まず新たに直噴式を採用して圧縮比も11.9へ大幅に上げた事で燃費を約25%改善してCO2排出量も低減。

・サイドハウジングをアルミ製に変える事で約15キロの軽量化を実現。

・ローターの頂点部分に装着するアペックスシールの厚さを変更、合わせてハウジング内にも新しいコーティングを施す事で信頼性が向上(ドイツマツダのリリースによると特殊なセラミックコーティングとの事)

 

Q6:エンジンの潤滑に関してはどのような事をしたのですか?

(A:野口さん)

・これまでのロータリーエンジンやお客様からの声でオイル消費が大きな課題である事を認識していたので、2つのハウジングから潤滑油を噴射する新しいシステムを採用したことで改善しました。

 

Q7:MX-30にロータリーエンジンを搭載した理由は?

(A:上藤さん)

・軽量・小型なエンジンなので電動パワートレインや補器類と一体で簡単にパッケージ化出来る。

・スペースや使い勝手の良さや電動化対応の面でも最適と判断しました。

 

Q8:R-EVが発表された事でEVモデルも含めた顧客層が変わると思いますか?

(A:上藤さん)

・環境を重視する人もいれば走行距離を重視するお客様もいるのでそれぞれも顧客層も分かれると思います。

・航続距離をそれほど必要としないお客様はEVモデル、長距離移動を重視するお客様はR-EVに分かれる。

・この傾向は欧州だけでなく日本も同様だと思います

 

Q9:今のところMX-30に搭載されている発電用ロータリーエンジンはPHEVのみですが、このエンジンを採用した他のアプリケーションは検討されてますか?

(A:上藤さん)

そうですね、今はPHEVのみですが他の可能性も検討中です。

 

Q10:将来的にロータリーエンジンを搭載したスポーツカーが登場する可能性はありますか?(QuattroruoteとAUTOCAR両方から質問)

(A:野口さん)

・いい質問ですね。

・私やマツダにとってロータリーエンジンは特別な存在で、直6エンジンも本当に快適で素晴らしいサウンドです。

・今のところ答える事は出来ませんが、そうである事を祈りましょう。

私の夢はロータリーエンジンとホイールにモーター(インホイールモーター?)も搭載してトルクベクタリングが可能なモデルです、凄いスポーツカーになるでしょうね。

(A:上藤さん)

・今回発表したe-SKYACTIV R-EVも含めてまずは主力車種の電動化の展開を進めないといけないが、将来的にはスポーツカーへ応用する可能性も考えられる。

自動翻訳ベースなので一部間違ってる部分もあるかもしれませんが、リンク先の記事に載っているQ&Aは以上となります。

 

これまでロータリーエンジンはオイル消費量が多い事が課題になっていましたが、今回のエンジンでは新しいシステムを開発して改善。

さらに、ローターの頂点部分の形状も変更されているようですが、これはローター自体ではなく頂点部分に装着されるアペックスシールの事である可能性もあります。

そして、上藤さんによると発電用ロータリーエンジンを採用した別の電動車両を展開する事も検討しているとの事。

マツダはすでに発電用ロータリーエンジンを軸に3種類の電動化車両を生み出す事が可能と公表している事に加えて、丸本社長や英国マツダのTOPから「MX-30以外のスモール群モデルにも展開する」という証言も出ているので、CX-30やMAZDA3等へ展開される可能性も十分考えられます。

少なくとも新開発したロータリーエンジンをMX-30にしか搭載しないという事は無いはず・・・。

(画像 MAZDA)

そしてロータリーエンジンに関する取材記事で必ず質問されるスポーツカーの可能性についてですが、案の定今回も明言は避けられた形・・・(笑)

ただ、野口さんは"あくまで個人的"としてロータリーエンジンだけでなくホイールにモーターも搭載してトルクベクタリングが可能なスポーツカー」という夢を話されていますが、マツダはすでにインホイールモーターに関する特許を複数出願しているのでかなり興味深い証言ですね・・・。

インホイールモーターに関するマツダの特許の一例)

あくまで特許なので必ず量産車へ展開されるとは限りませんが、マツダの中でもインホイールモーターを生かした次世代車両の研究がある程度進んでいるのかもしれませんね・・・。

 

まずはMX-30 R-EVの性能や走りがどのようになっているのか早く体感してみたいところですが、ロータリーエンジンの今後や更なる展開がどうなるのか楽しみです。