つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

今週公開されたマツダの特許出願(2020.6.11)

今週新たに公開されたマツダの特許出願は6件。

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(画像 ipforce.jp)

その中に面白い内容があるのでそれらを取り上げていきます。

 

 

今週取り上げるのはこれまでも何回かマツダの特許・出願で登場してきたインホイールモーターを備えたFRベースのプラグインハイブリッド車両」に関する新たな内容4件。

 

説明図が重複する場合がありますがそれぞれ特許の目的が異なるので1つずつ取り上げていきます。

 

 

その①:「車両用電源装置」という題名の内容。

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-90169

 

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(画像 ipforce.jp)

まずはこの資料に書かれている特許の目的を・・・・

充電スタンドから供給される電気を変換するための充電器(説明図内 No.19)を充電口から離して配置した場合、それらを接続する導電線が長くなり導電線において発生するジュール熱による電力損失が大きくなるという問題がある。

このジュール熱による電力損失は、バッテリに対して急速充電を行うために充電電流を大きくした場合に、特に問題となる。

一方、ジュール熱による電力損失を低下させるべく充電器を充電口に近接して配置した場合には、車両の重量バランスが崩れ運動性能が低下するという問題がある。

特に、様々な電源環境に対応させるために充電器を通常充電及び急速充電に対応させたり、交流及び直流の外部電源に対応させたり、各国における外部電源の電圧に適合するように充電器に複数系統の充電回路を搭載した場合、充電器の質量が大きくなりこの問題が顕著となる。

即ち、交流−直流間の変換回路や、低電圧への変換回路は充電中に熱を発生するので冷却するために要求される放熱器等の冷却系統の質量が大きくなり、充電器の質量が大きくなる。このように質量の大きい充電器の配置は、車両全体の重量バランスに大きな影響を与える。

従って、本発明はプラグイン充電器を給電口に近接して配置することを可能にしながら車両の重量バランスが大きく崩れるのを防止することができる車両用電源装置を提供することを目的としている。

 

主なシステム構成。

・FRベースの48Vプラグインハイブリッド車

・今回の説明図では4気筒エンジン搭載を想定

トランスアクスル機構(トランスミッションはNo.14b)

・フロントにインホイールモーター搭載(No.20)

・バッテリーはセンタートンネル内に設置(No.18)

・給油口は運転席側(No.12b)、充電口は助手席側(No.23)

基本的な構成は今までに出てきたインホイールモーターやFRベースのプラグインハイブリッド車の特許出願資料と同じですが、新たな発見として給油口と充電口の位置関係が現行のマツダ車とは逆になっている事。

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(画像 NetCarShow.com)

充電口の位置がかなり関係してくる特許出願内容なので、次世代ラージ群モデルから給油口・充電口の位置がこれまでと逆になる事もあるかもしれません。

 

 

 

その②:「車両駆動装置」という題名の内容。

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-90170

 

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(画像 ipforce.jp)

基本的な構成は上で先に取り上げた資料と同じです。

今回の資料に書かれている特許の目的は・・・

大出力の電動機に低電圧で大きな電力を供給する場合には、電動機に電力を供給するための導電体に極めて大きな電流を流す必要がある。

このため、大電流を電動機に供給するためには導電体の導体断面積を大きくする必要があり、導電体の重量が大きくなると共にコストが増加するという問題がある。

一方、電動機に高電圧で大きな電力を供給する場合には、電力を供給する導電体に流れる電流値を低く抑えることができる。

しかしながら、導電体に高電圧を印加する場合には感電に対する十分な安全性を確保するために、導電体を絶縁材によって覆って十分な絶縁耐圧を確保しておく必要がある。

このため、電動機に高電圧で大きな電力を供給する場合には十分な絶縁耐圧を確保するための大量の絶縁材が必要となり、重量・コスト増加という問題が発生する。

従って、本発明は、車両に搭載されたモータを比較的高い電圧で駆動する場合にも絶縁材による重量・コストの増加を抑制することができる車両駆動装置を提供することを目的としている。

 

 

 

その③:「車両駆動装置」という題名の内容。

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-90171

 

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(画像 ipforce.jp)

こちらも基本的な構成は同じです。

資料に書かれている特許の目的は・・・

充電口に近接して充電器を車両の後部に配置した場合、車両のヨー慣性モーメントが増大して運動性能が低下するという問題がある。

特に、様々な電源環境に対応させるために充電器を通常充電及び急速充電に対応させたり、交流及び直流の外部電源に対応させたり、各国における外部電源の電圧に適合するように、充電器に複数系統の充電回路を搭載した場合、充電器の質量が大きくなりこの問題が顕著となる。

即ち、交流−直流間の変換回路や低電圧への変換回路は充電中に熱を発生するので冷却するために要求される放熱器等の冷却系統の質量が大きくなり充電器の質量が大きくなる。

このように質量の大きい充電器の配置は、車両のヨー慣性モーメントに大きな影響を与える。

従って、本発明はプラグイン充電器の質量が大きい場合でも、車両のヨー慣性モーメントの増大を抑制し車両の運動性能を向上させることができる車両駆動装置を提供することを目的としている。

 

 

 

その④:「車両駆動装置」という題名の内容。

https://ipforce.jp/patent-jp-A-2020-90172

 

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(画像 ipforce.jp)

こちらも基本的な構成は先に取り上げた内容と同じです。

資料に書かれている特許の目的は・・・

プラグインハイブリッド等の車両には、DC/DCコンバータ、インバータ、プラグイン充電器等の多くの電力処理装置を搭載しておく必要がある。

しかしながら、多くの電力処理装置を車両に搭載すると乗員が乗車する車室スペースが狭くなったり、荷物を積載するスペースが狭くなったりするという問題が発生する。

さらに、電力処理装置には、車両の衝突時等における過度な損傷を避ける必要がある。

このため、損傷を防止するための保護部材を電力処理装置の周囲に設けると電力処理装置の搭載に必要なスペースは益々大きくなり車室や荷物の積載スペースが狭くなるという問題がある。

従って、本発明は車両の衝突時等における電力処理装置の過度の損傷を防止しながら車室や荷物の積載スペースを過剰に狭くすることなく電力処理装置を搭載することができる車両駆動装置を提供することを目的としている。

 


今週気になった内容は以上になります。

 

インホイールモーターを備えたFRベースのプラグインハイブリッド車両に関する内容は以前から複数回出てきていましたが、今回はなかなか踏み込んだ内容でした。

プラグインハイブリッド車となるとどうしても環境性能に注目が集まりやすいですが、走行性能向上のために車両重量配分やヨー慣性モーメントへの影響も強く考慮しているのはマツダらしい印象です。

さらに、その④では室内スペース改善にも触れられてますが、これはマツダが重要視している最適なドライビングポジションを確保する事も視野に入れてると思われます。

 

インホイールモーターやトランスアクスルなどかなりスゴイ内容ですが、ここまで複数回同じ構成の特許資料が出てくるという事はこの内容で開発が進んでいるのかも・・・

 

今後も特許・出願情報に注目をしつつ、早く実車が出てくるのを楽しみにしています。

 

これまで取り上げたマツダの特許・出願でインホイールモーターやトランスアクスル関係の内容はこちら。