先日の2021年3月期・第2四半期決算で今後の展開に関する複数の発表がありましたが・・・。
これらの内容に関して藤原副社長がさらに詳しく話している記事がありました。
今回の情報元は「日経xTECH」ですが、こちらは有料会員限定。
代わりに、この内容を元に再構成した記事が日経新聞WEB版で掲載されています。
今回の記事は欧州での環境規制への対応に関して藤原副社長が取材に答えていますが、いくつか気になるポイントがありました。
①欧州で2021年以降にヤリスHVをOEM受給する事に関して。
マツダの決算発表直後に掲載された中国新聞の記事では、環境規制と為替変動の面から「MAZDA2とヤリスHVのOEM車との切り替えも示唆」と記載されていました。
ただ、今回出てきた日経の記事を見ると・・・・(一部引用)
欧州ではトヨタから小型車「ヤリス」のハイブリッド車(HEV)の供給を受けて、21年度以降に投入する。
(中略)
ヤリスの投入で、小型車「マツダ2」の販売に影響が生じる懸念がある。
ただ藤原氏は「両立するのではないか」と、影響は軽微にとどまると主張する。ヤリスは比較的高価なHEVで、マツダ2は相対的に安価なガソリン車となり、価格帯が重ならないというのだ。
中国新聞の記事とは異なり「MAZDA2と併売」になるというニュアンスになっています。
中国新聞とはほぼ正反対の内容となっているので判断に困るところですが、まだ最終決定はされてない状態で両方の可能性を検討している段階という事でしょうか・・・・。
個人的にはマツダと同じお膝元で為替変動の面まで触れられている中国新聞の方がやや信憑性が高い予感もしますが気になるところですね。
②発電用ロータリーエンジンの導入開始が遅れた理由。
次世代ラージ群モデルと並んで注目度の高かった「発電用ロータリーエンジン」
当初は2020年頃に登場と言われていましたが、MX-30日本発売の場では「2022年前半」という発表がされました。
予定より遅れた原因に関しても今回の記事で藤原副社長が話しています(一部引用)
当初は20年を予定していたロータリーの投入が遅れるのは、「レンジエクステンダーへの応用にとどめていた考えを見直し、HEVやPHEVに使えるように応用範囲を広げた」ことが原因と藤原氏は話す。
「ロータリーの開発に精いっぱいで、(応用先の検討が)近視眼的になっていた」と振り返る。なお22年投入のPHEVがFRの大型車用であるのに対して、ロータリーのPHEVは小型車用とすみ分ける。
”発電用ロータリー=レンジエクステンダー”というイメージがかなり強くなってる印象ですが、元々はロータリーエンジンを使って複数の電動車両を共通のパッケージで生み出せる「マルチxEV」の中の1種。
国や地域の発電方法や充電設備普及度に合わせて「レンジエクステンダー」「プラグインハイブリッド」「シリーズハイブリッド」を想定しています。
2018年10月にこの方向性が示されていましたが、この時は「2020年頃に商品化」と伝えられていたのでこれよりやや遅れる事になっています。
応用範囲が拡大された事で想定より開発に時間が掛かっている可能性もありそうですね。
③欧州におけるディーゼルエンジンの需要。
やはり欧州メーカーの不正による影響が出ているようです。
マツダもすでにコンパクトカーを中心にラインアップを縮小しているので、今後はCX-5等の比較的大きな車種専用になっていく事になりそうですね。
④2022年度からEV専用プラットフォームの自社開発の検討に着手する件に関して。
・自社開発にこだわるのは、系列部品メーカーが集まる地元の雇用を意識するから。
・EV基盤開発のEV C.A. Spiritで得た成果を開発に生かす。
・これまで実現してきた「生産改革や共通アーキテクチャー、一括企画、モデルベース開発」等を生かして開発投資を十分に抑えられる。
トヨタが開発しているEV専用プラットフォームを利用するのも手段の一つと記者から質問されてますが、やはり中国地方の雇用を守るという事をかなり意識されています。
これまで実現されて来た「一括企画・モデルベース開発」も広島・防府で車を生産し続けるためという要素もあるのでこれは中国地方の経済にとっても重要ですね。
今回気になった内容は以上となります。
欧州の環境規制はマツダに限らずほとんどの自動車メーカーにとって高いハードルとなっていますが、とりあえず具体的な対策が示されてるのに加えて中国地方の雇用に関しても触れられてるのは広い意味で好材料と言えそうです。
ただ、ヤリスHVのOEMとMAZDA2販売の関係性はまだまだ未知数ですね・・・。
2021年以降も大きな動きがありそうなので続報に注目しておきたいと思います。