2023年3月期通期決算で前年比増収増益を発表したマツダですが、その中で触れられていた輸送船不足に関する詳細が出てきました。
マツダは5月12日に2023年3月期通期決算を発表。
前年比で増収増益を達成しましたが、その一方で今後の懸念材料として挙げられていたのが「輸送船不足」
輸送船不足に関しては昨年11月に発表された2023年3月期第2四半期決算のプレゼン資料から記載されていますが、この原因について取り上げてる記事があったので紹介したいと思います。
今回取り上げるのは米国の自動車メディア「AutoTradeHouse」の記事。
2023年3月期通期決算の内容を北米市場の目線から解説している記事ですが、決算発表の場では次期社長に内定している毛籠勝弘専務から輸送船不足の原因についても説明があったようです。
・新型コロナの感染が拡大している時期に多くの船舶会社がより燃費の優れた船への入れ替えを決断し、現在も新しい船を建造中なので輸送可能な船が減っている。
・これに加えて中国の自動車輸出台数が爆発的に増えた事で空きがある輸送船の取り合いも起きている。
昨年の中国の自動車輸出台数は約300万台だったが、今年は400万台まで増える可能性もある。
・現在も輸送船の確保することに懸命に取り組んでおり、船舶会社と協議して可能な限り出荷スケジュールを統一する取り組みも行っている。
・マツダは米国で販売する車両の3分の2を米国外から輸入しており、その中には最量販車種の「CX-5」や最新のラージ商品群SUV「CX-90」も含まれる。
どうやら輸送船の入れ替えに加えて中国の自動車輸出台数が急激に増えた事で空きがある輸送船の取り合いも発生しているとの事。
改めて調べてみると輸送船不足を取り上げてる国内メディア記事が複数出てきましたが、レスポンスの記事によると輸送船不足に加えて輸送費用(船料)も急騰しているようです。
2023年3月期通期決算のプレゼン資料でも原材料・物流費用で利益が大きく削られている事が分かります。
マツダの場合は多くの車両を日本から海外へ輸出しているので、半導体不足や原材料費だけでなく輸送船不足の影響も大きく受けていると見て間違いなさそうですね・・・。
半導体不足は一時期よりかなり改善しましたが、マツダは2024年3月期も輸送船不足が継続する見込みをしているので、この影響を出来る限り最小限に出来るかが鍵になりそうです。
一方で、マツダは米国工場を2直化してCX-50の供給量を増やす事を合わせて公表していましたが、こちらに関しても専務執行役員の青山 裕大さんがより詳しく説明したとの事。
・これまで人手不足で日勤のみだった米国工場は今年7月から夜勤も開始(2直化)して、秋から本格的にCX-50の生産台数を増やしていく。
米国工場があるアラバマ州は国内で失業率が特に低い地域だった事から従業員の確保に苦労していましたが、今年7月からようやく2直体制を開始するとの事。
本格的に生産台数を増やすのは秋に入ってからのようですが、ようやくCX-50の生産体制が整う事になりそうですね。
CX-50はすでに北米だけでなく中南米方面でも導入を発表する地域が出てきた事に加えて、今年後半にはハイブリッドモデルが発表される可能性も出てきています。
先に紹介した輸送船不足の状況次第ではCX-50やメキシコ工場で生産されるCX-30・MAZDA3が北米市場における販売の鍵になってくるかもしれませんね・・・。
半導体不足がある程度改善した一方で原材料費や輸送に関する難題はまだしばらく続きそうですが、今年は「CX-70」「CX-80」も発表予定なので影響が最小限になる事を祈ります。