2023年11月7日、マツダが2024年3月期 第2四半期決算を発表しました。
いつも通りプレゼンテーション資料が公開されているので中身をチェックしていきたいと思います。
〇マツダ公式決算資料・プレゼンテーション資料専用ページ。
まずは「第2四半期の総括」から・・・・。
前年同月期と比較すると北米を中心に販売台数を増やしたことに加えて、以前から続く為替の効果もあって増収増益を達成。
販売台数はもちろんですが、高付加価値のラージ商品群(CX-60/90)を中心に販売単価が改善された事によって営業利益率が前年比で2%以上UPしたのも効いてそうですね。
マツダはこれに合わせて2024年3月期通期見通しの上方修正と中間配当の5円増配を発表しています。
あと、2024年3月期通期見通しに「ラージ商品生産の本格化を計画」という項目がありますが、これは先月報じられた2024年にラージ商品群を宇品工場でも生産開始する事だと思われます。
これは今後登場予定のラージ商品群SUV「CX-70」「CX-80」の生産も関係してるのがほぼ確実ですが、今回の決算発表で発表時期などの新たな情報は無かったようですね・・・。
次に「今後予定されている施策や取り組み」について。
電動化の加速とブランド体験の拡大に関しては今月1日発表の組織改革/人事異動でも概要が公表されていましたが、ブランド体験推進本部の中には「ファクトリーモータースポーツ推進部」が新設されており、今後さらにモータースポーツ活動が強化されそうなので個人的にかなり期待しています。
その一方で収益/経営効率の改善施策として「商品ラインナップ見直し・機種数削減」が含まれていますが、すでに今年発表されたほぼ全車種の商品改良でグレードやパワートレインの種類が整理されている状況。
さらに専務執行役員の廣瀬一郎さんは法規の認可取得要件が劇的に増えた事や電動化対応の関係からエンジンの機種数も少し絞りこむ事を明言されています。
今回の決算資料にも含まれている事を考えるとこの傾向はまだ続く可能性が高そうですね・・・。
続いて「地域別の販売状況」について・・・。
〇日本
昨年の同時期はちょうどCX-60が発売された事から販売台数が約14%UPの6万8千台でしたが、今期はさらに20%増の8万2千台を達成。
CX-60が引き続き好調なのに加えて年内で生産・販売終了するCX-8の駆け込み需要も関係してるでしょうね。
先月下旬からはCX-30・CX-5等の商品改良モデルも販売開始されていますが、年末~年明けにかけて販売開始予定のロードスター・MAZDA2改良モデルも今後販売に貢献していきそうです。
〇北米
昨年の同時期は上海のロックダウンや輸送船不足の影響で販売台数は18万1千台だった北米ですが、今期は昨年の減少分を完全に取り戻して前年比約38%UPの18万4千台を達成。
北米市場は今年春から販売開始したCX-90が人気を集めている事に加えて、工場の従業員不足で以前から課題だったCX-50の供給が安定化してきた事も朗報ですね。
CX-5・CX-30も変わらず人気を集めていますが、北米では今後ラージ商品群SUV「CX-70」が導入予定で、年内に生産開始される報道も出てきている事からワールドプレミアもまもなくかもしれません。
〇欧州
北米と同様に上海のロックダウンや輸送船不足の影響で昨年同時期の販売台数は約6万7千台だった欧州ですが、今期は約34%UPの9万台を達成。
CX-5はもちろんですが昨年開始されたCX-60もPHEVモデルを中心に人気を集めているようです。
一般的に販売台数を稼ぐのはコンパクトカーですが、欧州におけるマツダはラインナップで最もサイズが大きいCX-5・CX-60がここ最近売れ筋なのが特徴的。
欧州では今後MX-30 R-EVやMAZDA2 Hybridなど新しい電動化モデルが販売開始されるので、こちらも今後販売の主力になると思われます。
〇中国
ここ最近国別の販売台数で課題になっている中国市場ですが、今回も販売台数は約8%減の4万5千台。
ただ、MAZDA3に加えて今年春に発売開始したCX-50は台数を増加させているようですね。
中国ではつい先日生産開始されたCX-50 ハイブリッドモデルが年内に発売開始される見込みなのに加えて、以前からCX-90導入の話も出ているので今後販売台数UPはこの2台が鍵を握っているかもしれません。
〇その他(オーストラリア・ASEANなど・・・)
ASEAN地域では対前年比で販売台数が減少していますが、マツダ車の市場シェアが高いオーストラリアは約13%UPの5万台を達成。
ただ、以前からの輸送船不足や港湾混雑の影響はまだ残っているようですね・・・。
オーストラリアでは今年夏頃からCX-60・CX-90が販売開始されていますが、これまで販売継続の方針を示していたCX-8は日本と同様に販売終了する事を発表。
その一方で、マレーシアメディアによるとこれまでベトナムとマレーシアで行われてきたCX-8のノックダウン生産は2026年まで継続されるようなので、今後ASEAN専用モデルとなりそうです。
今回発表された主な内容は以上となりますが、ラージ商品群が販売好調な事や為替の効果もあって上記決算(第1・第2四半期合算)として過去最高益を達成したのはコロナ禍や半導体不足など影響があった少し前の状況を考えるとまずは一安心といったところ。
その一方で、ジャパンモビリティショー開催直後という事もあってなのか今後登場予定のCX-70・CX-80などの新型車や新技術に関する新たな情報は特に出てこなかったようです。
個人的にはCX-70・CX-80だけでなくEVモデル追加の報道が出ていたCX-5の今後についても何か発表を期待していましたが・・・。
今後電動化やブランド体験の強化も進められるので、新型車と合わせてどのような取り組みが実施されるのか注目です。