つらつらとMAZDA

マツダに関する備忘録的ブログ。

マツダが「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針」を正式発表、2ドアクーペのビジョンスタディモデルも初披露。

(画像 MAZDA)

本日11月22日、マツダが「中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針」を発表しました。

かなり濃い中身となっているので内容をチェックしていきます。

 

 

これまでの流れを簡単に振り返ると、マツダは2019年11月にラージ商品群の導入時期見直しを中心とする中期経営計画を発表。

その後の2021年6月には「2030年に向けての新たな技術・商品の開発方針」も発表しています。

しかしその後、新型コロナウィルス感染拡大やサプライチェーンにおける大きな変化もあって、昨年末ごろから今年にかけて中期経営計画をさらにアップデートする話が浮上していました。

海外で11月中に発表されるという報道も出ていたので注目していましたが、本日マツダから正式発表されました。

かなり濃い内容なので特に注目度が高いと思われるポイントを中心に紹介していきます。

 

 

マツダ公式ニュースリリース

MAZDA NEWSROOM中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について|ニュースリリース

(画像 MAZDA)

 

"走る歓び"と"人間中心"を軸にした電動化・カーボンニュートラルに対する基本的な経営方針や戦略は不変ですが、細かな部分でアップデートが行われています。

 

 

 

①電動化戦略は"3つのフェーズ"に分けて柔軟に対応。

(画像 MAZDA)

これまでマツダが公表していた電動化の詳しいロードマップは2025年頃まででしたが、今回は2025年~2030年の具体的な中身も公開。

☆フェーズ1(2022~2024)

(画像 MAZDA)

既存資産であるマルチ電動化技術を活用し、魅力的な商品と環境負荷の低減を両立(ニュースリリースより)

現在進行形となるフェーズ1はすでに市場導入されているスモール群とラージ群がメインとなりますが、このフェーズで今後注目なのは発電用ロータリーエンジンを軸とした「マルチxEV」

(画像 MAZDA)

このパワートレインを搭載した最初のモデル「MX-30 R-EV」は2023年1月頃にも正式発表される可能性が高まっていますが、今回のニュースリリースでは特に新たな情報はありませんでした。

 

☆フェーズ2(2025~2027)

(画像 MAZDA)

新しいハイブリッドシステムを導入するとともに、電動化が先行する中国市場において、EV専用車を導入するほか、グローバルにバッテリーEVの導入を開始(ニュースリリースより)

フェーズ2は電動化へのトランジション(移行)の期間。

マツダはすでに2025年頃からEV専用プラットフォームを導入開始する事を公表していましたが、資料を見る限りだと導入が開始されるのはフェーズ後半(2026~2027?)になるようです。

そして今回初公表されたのが"新しいハイブリッドシステムの導入"

中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について - YouTube

(画像 MAZDA公式YouTube)

マツダ公式YouTubeで公開されたプレゼン動画で丸本社長は「これまで積み上げてきた技術資産を有効に使った新しいハイブリッドシステム」と紹介しているので、すでに公表されている技術の発展形と思われます。

個人的には発電用ロータリーエンジンを使ったシリーズハイブリッド(not PHEV)という妄想も広がりますが続報が待たれますね・・・。

 

☆フェーズ3(2028~2030)

(画像 MAZDA)

バッテリーEV専用車の本格導入を進めるとともに、電池生産への投資などを視野に(ニュースリリースより)

フェーズ3でEV専用プラットフォームをベースにしたモデルの本格導入が開始される流れとなります。

マツダはこれまで2030年におけるEV生産比率を25%に設定していましたが、今回の発表で"25%~40%"にアップデート。

(画像 MAZDA)

これは電動化自体は確実に進むものの各国の政策やバッテリー価格の先行きが不透明なので、マルチソリューションの観点から幅を持たせた形だと思われます。

 

 

②電動化・カーボンニュートラルに向けた新たな取り組み

(画像 MAZDA)

マツダはすでに電動化やカーボンニュートラルに向けた活動を開始していますが、今回も新たな発表がありました。

☆「電動駆動ユニットの開発・生産に向けた協業」を発表。

(画像 MAZDA)

電動駆動ユニットの開発生産やマツダのお膝元である中国地方経済の持続的な発展を目指して、中国地方のサプライヤーを中心に新たな協業を発表。

これに合わせて要素別に3つの合弁会社設立も発表されました。

(画像 MAZDA)

☆先端電池技術の開発と新たな電池調達パートナーを発表

(画像 MAZDA)

電動駆動ユニットと合わせて重要なバッテリーに関しても先端電池技術の開発と、元々日産自動車の子会社だった円ビジョンAESCと電池調達で合意した事を発表。

丸本社長のよると既存パートナー企業からも引き続き調達するようです(MX-30 EVとCX-60 PHEV用バッテリーはパナソニック製)

(画像 MAZDA公式YouTube)

 

 

③EV専用スケーラブルアーキテクチャーの新たな画像。

(画像 MAZDA)

今回のプレゼン資料ではEV専用スケーラブルアーキテクチャーの画像も更新されていますが、よく見るとモーターを搭載したアーキテクチャーの画像とスケルトンのボディを被せた状態の画像が掲載。

(画像 MAZDA)

まずこちらの画像を見るとフロントとリア両方にモーターが搭載されているように見えます。

ピュアEVではありませんがマツダはすでにインホイールモーターに関する特許も複数出願しているので、こちらも関係してくるのか気になるところ・・・。

(画像 MAZDA)

こちらの画像ではスケルトンボディが被せられた状態となっていますが、左から順番に「VISION COUPE」⇒「CX-30」⇒「MAZDA2」⇒「MAZDA3ファストバック」のようです。

この画像は今年6月に開催された株主総会でも公開されていましたが、このアーキテクチャーが様々な車格やボディタイプに対応できるアーキテクチャーである事を紹介するための一例ですね。

欧州マツダの副社長によると「EV専用スケーラブルアーキテクチャーは実用車だけでなくスポーツカーも視野に入れる事が出来るくらいの拡張性を持っている」との事なので、画像通りにクーペやセダンも出てほしいところですが、そのような希望をさらに盛り上げてくれる画像も公開・・・・。

 

 

④新しいビジョンスタディモデルの画像を公開!

(画像 MAZDA)

今回の発表で一番注目と言えそうなのが「ビジョンスタディモデル」という名称で公開された2ドアクーペ・スポーツカーの画像。

おそらくEV専用スケーラブルアーキテクチャー採用を想定したモデルだと思われますが、プレミアムレングスは内燃機関を搭載したFR車を思わせる長さでリア周りを見ると横に配された"MAZDA"のロゴも特徴的です。

さらにヘッドライト・テールランプの意匠はロードスターを雰囲気を感じますが、特にヘッドライトは少し飛び出てているのでNA型のリトラクタブルヘッドライトをイメージしてる感じでしょうか?

さらにAピラーとルーフの間に大きなパーティングラインもあるのでオープンボディもあるとか・・・?

ちなみにマツダ公式YouTubeで公開されたプレゼン動画でも後半に登場していますが、こちらでもかなり注目なポイントが・・・。

中期経営計画のアップデートおよび2030年の経営方針について - YouTube

(画像 MAZDA)

スマホの画面上にビジョンスタディモデルが登場していますが、よく見るとボディフレームはマツダが度々特許出願している「アルミ製スペースフレーム」に似てる気も・・・。

(一例)

アルミ製スペースフレームに関する特許はロータリーエンジンインホイールモーターと組み合わせる事を想定している場合が多いですが、もしかして発電用ロータリーを採用したEVやシリーズハイブリッドを検討しているとかでしょうか・・・?

あと、動画の最後にはレッドの個体も登場しています。

(画像 MAZDA公式YouTube)

あくまでビジョンスタディですが妄想が膨らむポイントだらけです(笑)

ニュースリリースや資料にこのモデルの詳細は一切記載されていないので続報が待たれますね・・・。

 

 

今回マツダから発表された主な内容は以上となりますが、中期経営計画だけあってかなり濃い内容でした。

電動化に関する発表が大半なので内燃機関に関する研究開発が大幅に縮小するのでは?という不安もありますが、2030年でもEV比率は最大でも40%を想定しているので、少なくとも残り6割のモデルには何らかの内燃機関が搭載される想定・・・。

マツダはSKYACTIVエンジンの3rdステップやカーボンニュートラル燃料の普及も目指しているので、以前から公表されている"マルチソリューション"の方針に変わりは無いと思います。

ビジョンスタディモデルが公開されたのはかなり嬉しい一方で、個人的にはラージ商品群でMAZDA6後継モデルなどを出す計画の有無や発電用ロータリーエンジンを搭載したMX-30 R-EVの発表時期に関する発表が無かったのはやや気になるところ・・・。

まだまだ明らかにされてない内容もたくさんあると思いますが、海外のマツダ法人もこの発表を取り上げているのでまた何か新たな内容があれば随時ブログで取り上げていきたいと思います。