本日、マツダが「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」に基づいた2030年に向けての新たな技術・商品の開発方針を発表しました!
資料も公開されているので出来る限り詳しくチェックしてみます。
マツダは5月に行った2021年3月期決算発表の場で「2030年までにEVの販売比率4分の1を目指す」と公表。
加えて、サスティナブルZoom-Zoom宣言2030のアップデートと新たな電動化戦略に関する技術説明会を近日中に行うという情報も出ていました。
一部でラージ群モデルの今後を心配する声も出ていましたが、詳しい内容が本日発表されています。
かなり内容が多いので資料に記載されている順に取り上げていきます。
注目点①:「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」
現在は内燃機関の一層の進化(SKYACTIV-X/直列6気筒)と電動化技術の拡大を継続していて、スモール商品群用の横置きパワーユニットとラージ商品群用の縦置きパワーユニットに対応した「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャ」をベースに、国ごとの電源事情や環境規制、ユーザーのニーズに応じたマルチソリューションを展開していく計画。(マツダのプレスリリースより)
マツダはすでに第7世代商品群からアーキテクチャーを「スモール(FFベース)」「ラージ(FRベース)」に分ける事を公表していますが、今回の発表で両方を一つにまとめて「SKYACTIV マルチソリューションスケーラブルアーキテクチャー」という名称を発表しました。
直6エンジンもこれまでと変わらず3種類導入予定とされています。
この中でまず注目点は「エンジンを搭載した状態のラージ群アーキテクチャー」の画像が初公開されている事。
〇ガソリンエンジン・48Vマイルドハイブリッド
〇ディーゼルエンジン・48Vマイルドハイブリッド
画像を見る限りだとプラグインハイブリッド以外には直6エンジンが搭載されている状態の画像と思われます。
マイルドハイブリッド用バッテリーは助手席側(右ハンドルの場合)のフロア下に搭載されるようですね。
参考までに現行のマツダ車で唯一のFR車・ロードスター用シャシーの画像と並べてみると・・・。
画像内に写っている構成部品数が違うのであまり参考にならないかもしれませんが、当たり前とはいえ同じFRベースでもかなり違いがありそうですね・・・。
ラージ群用の画像を見る限りだとサスペンション形式はNDロードスターと同じ「フロント:ダブルウィッシュボーン、リア:マルチリンク」でしょうか?
あと、リアサスのアーム類がシルバーなのでアルミ製かもしれません。
ホイールを外した画像を見たい・・・(笑)
加えて今回はマイルドハイブリッド用縦置きトランスミッションの画像も公開。
基本的な形状は両方共通ですが、マイルドハイブリッド用の画像にはトランスミッションケース上部に大き目の制御機器(?)らしきものが載っています。
制御機器とシフトノブの位置が被ってるようにも感じるので、ラージ群モデルのシフトノブはMX-30のようにバイワイヤ式になる可能性があるかもしれません。
あと、これまで取り上げてきた特許情報だと8速ATを想定した内容が多いですが実物はどうなるのか・・・。
あとはMTも用意されるのか気になるところ。
注目点②:EV専用プラットフォーム「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」
・さまざまな車格やボディタイプのEVモデルに適応できるマツダ独自のEV専用プラットフォーム「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャ」
・「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」の商品として、2025年頃から2030年にかけて複数のモデルを導入する予定。(プレスリリースより)
昨年の決算発表の場で開発を進めるとされていたEV専用プラットフォームが「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」という名称と共に発表。
ただし「※イメージ」という注釈があるので量産時には構造が変更されてる可能性もありそうです。
注目点③:水素・合成燃料の対応範囲に関する新たな発表。
マツダは以前から水素ロータリーやバイオディーゼルなどの次世代燃料を使った実証実験を行っていますが、こちらの方針もアップデートされています。
2019年に発表された資料(下画像)では水素や次世代燃料はマルチxEV用ロータリーが中心でしたが、新たな資料にはSKYACTIV-GとSKYACTIV-Dも含まれてるのが注目点。
水素に関してはトヨタがカローラスポーツをベースにした水素エンジン車両でレースに参戦した事で注目度が高まっています。
マツダも欧州でe-fuel関連団体「eFuel Alliance」に参加していますが、ロータリーに加えてSPCCI燃焼を行うSKYACTIV-Xも水素と相性が良さそうなので今後の展開が気になるところですね。
注目点④:マツダ独自の自動運転技術「Mazda Co-Pilot Concept(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」は2022年のラージ群から導入開始。
5月にスペインマツダが発表したプレスリリースで「MAZDA CO-PILOT CONCEPTは2022年から導入開始」という一文がありましたが、今回の発表で第1段階となる「Mazda Co-pilot1.0」を2022年のラージ商品群から導入開始と記載されています。
今回は同時にOTA(Over the Air)*2によるクルマの機能アップデート対応にも触れられているので、SKYACTIV-Xと同様に購入後のアップデートが行われる可能性もありそうですね。
注目点⑤:次世代移動サービスやコネクティッド関連。
コネクティッドに関してはすでにトヨタと中心とする5社で次世代車載通信機の技術仕様を共同開発することで合意しています。
これに合わせて、車両内外の迅速な情報通信を可能にする次世代「電気電子アーキテクチャー」(Electric Electronic Architecture:EEA) の開発推進も発表。
これは車載通信を無線化する事によって車両に搭載されるハーネス類を減らして軽量化にも貢献するという可能性があります。
注目点⑥:ハイブリッドモデル5車種、プラグインハイブリッドモデル5車種、EVモデル3車種を2022年~2025年にかけて導入予定。
これまで触れてきたアーキテクチャーを元にして2022年~2025年にかけて導入予定のモデル一覧も発表されました。
まず注目は・・・
・”EV専用ではない”プラットフォームでEVモデルがさらに3車種登場
・”マイルドハイブリッドを除いた”プラグインハイブリッド・ハイブリッドで各5車種登場。
ただし、ハイブリッドに関してはすでに発表されている「北米向け新型SUVにTHSⅡ採用」「欧州でヤリスハイブリッドをOEM受給」も含まれるので残り3つが謎という事になります。
このあたりはまた改めてブログ上で予想をしてみたいと思います。
今回主に発表された内容は以上となります。
新型コロナウイルス感染拡大などの影響から直6エンジンを中心とするラージ群モデルの行方を心配する声も見受けられましたが、今回の発表でまずは一安心という方も多いかもしれません。
次世代のマツダ車を形成する技術の多くが発表されたので、残るは実車がいつ披露されるのか・・・という点が気になるところでしょうか?
一部では今年後半にラージ群第一弾モデルが発表されるという情報もあるので引き続き情報に注目しておきたいと思います。