今週末のスーパー耐久シリーズ2022最終戦でいよいよデビューする「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept」ですが、この車両のパワートレインや仕様に関する情報が出てきました。
「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept」は11月初めに開催されたマツダファンフェスタ2022で初披露。
11月14日に発表されたエントリーリストからスーパー耐久シリーズ2022最終戦(鈴鹿)でデビューする事が明らかになっていました。
これまでパワートレインなどの詳細スペックは明らかにされていませんでしたが、デビュー戦を前に少しずつ情報が出てきました。
今回取り上げるのは「autosport web」に掲載されたこちらの記事。
スーパー耐久シリーズ2022最終戦が開催される鈴鹿でMAZDA SPIRIT RACINGチーム代表の前田育男さんへ取材した内容が掲載されており、MAZDA3 Bio conceptに搭載されるパワートレインや最新技術に関する情報も掲載。
〇車両設計・開発について。
・マツダの若手エンジニアたちが希望して携わり、ほぼマツダ内製。
・レースに対する知見がない社員たちがプロの意見から学び、いろんなクルマを見ながら開発。
・モータースポーツを専門にしたファクトリーの手を借りるよりも時間がかかり熟成も遅いかもしれないが、こうすることで人は育つ。
〇ボディパーツや車体構造について。
・レーシングカーとして迫力を出しつつも、きれいさを壊さないバランスをとっている。
・ボンネットとルーフには「CFRPと天然繊維を使ったハイブリッド素材」を採用。
・足回り等の形式は市販のものを踏襲(マツダファンフェスタで聞いたお話だと駆動方式はFF)
〇パワートレインについて
・公表通り「SKYACTIV-D 2.2」で次世代バイオディーゼル燃料"サステオ100"を使用。
・ターボは「シングルターボ」
・シングルターボはトルクの立ち上がりが急な事からミッション等にトラブルが起きる懸念を払拭すべく今回のデビュー戦では出力はやや抑えめで走っているが、最大トルクは通常の軽油での2.2リッターディーゼルと同じレベルが出ている。
かなり詳しくお話しされていますが、その中でも特に注目なのは赤色で示した項目。
まずボンネットとルーフには「CFRPと天然繊維を使ったハイブリッド素材」が採用されているようですが、マツダはすでにCFRP製のルーフや補強パーツに関する特許を複数出願しているので、これらのノウハウが生かされてる可能性もあるかもしれません。
そして最も注目なのが量産モデルに搭載されていない「SKYACTIV-D 2.2」ですが、当初から300馬力とも公表されていた事から量産車とは違ってシングルターボが採用されているようです。
ちなみに量産車に搭載されているSKYACTIV-Dのターボはこちら。
・直4 SKYACTIV-D 2.2・・・・2ステージターボチャージャー
・直4 SKYACTIV-D1.5/1.8・・・シングルターボ(VGターボ)
・直6 SKYACTIV-D 3.3・・・・シングルターボ(VGターボ)
ただ、シングルターボ化によってトルクの立ち上がりが急になる事からデビュー戦では出力をやや抑えているとの事。
これに関してはまず完走する事で少しでもデータやノウハウを蓄積していく事を重視しているのでしょうね。
まずは着実に完走しつつ順位を上げていってほしいところですが、さらに前田さんはこのような事も・・・・。
マツダは30年間レースをやってきませんでしたから、レースができる人がいないんです。あるスピードで、過酷な環境でクルマを鍛えると、いろんな経験、知見を得ることができます。それを実際に商品にフィードバックするのをやらなければならない。それをようやくやれるようになってきたんです。
(auto sport webの記事一部引用)
MAZDA SPIRIT RACINGはモータースポーツを通じたエンジニアの育成だけでなく、それらで得た知見やノウハウを商品へフィードバックする目的もあります。
MAZDA SPIRIT RACING公式アプリが初披露された時にはカスタマイズカーのアイデア募集も予定している話が出ていたので、今後MAZDA3 Bio conceptの血を色濃く受け継いだハイパフォーマンスモデルが出る可能性も・・・?(笑)
マツダ本体はル・マン24時間レースを総合優勝した翌年の1992年でモータースポーツ活動から実質撤退していましたが、走りを重視するのにワークスチームが無いことやモータースポーツ活動を行っていない状態をずっと歯がゆく感じていたので、MAZDA3 Bio conceptがデビューするのは一人のマツダファンとして本当に感慨深い・・・。
MAZDA SPIRIT RACINGはまだまだこれからのチームだと思いますが、少しづつでも実績やノウハウを積み重ねて頂点へ立つ日が来るのを期待しつつ応援していきたいと思います!