
その年に発表された新型車や研究開発の成果についてまとめられている「マツダ技報」の2025年版が公開されたので気になる内容をいくつか取り上げてみました。




前回のマツダ技報は2023年12月公開の【2023年版(No.40)】ですが、本日公開された最新版は【2025年版(No.41)】
例年よりやや遅い3月下旬に公開されたからなのか年数が一つ飛ばされました。
今回はこれまでマツダが取り組んできたMBD開発関連に加えてDX(デジタルトランスフォーメーション)・AI(人工知能)も特集されていますが、その中から特に気になる内容を順番に紹介していきたいと思います。
①:SKYACTIV-D 3.3による100%HVO燃料(HVO100)の欧州耐久テスト。





マツダ/MAZDA SPIRIT RACINGは2022年から軽油を混ぜていない100%バイオディーゼル燃料(HVO100)を使用してスーパー耐久へフル参戦していますが、今回のマツダ技報ではCX-60/CX-80に搭載されている直6ディーゼル"SKYACTIV-D 3.3"で欧州耐久テストを行ったレポートが掲載。
SKYACTIV-D 3.3は最初からバイオディーゼルへ対応する事を想定して開発されていますが、HVO100を長期使用した場合の耐久性・信頼性を検証するために欧州の開発拠点があるドイツ・フランクフルト近郊でも耐久テストを行ったようです。
欧州ではすでにHVO100の流通量が増えているようなので、欧州ではそれほど遠くない時期に正式対応する可能性がありますね。
(モーターマガジンでもマツダのHVO100燃料対応に関する特集が掲載されています)
②:「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio Concept」に搭載されてる"SKYACTIV-D 2.2"








2022年スーパー耐久シリーズ第7戦から投入されているMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio Conceptには300ps化されたSKYACTIV-D 2.2が搭載されていますが、こちらの詳しい改良・変更内容も今回掲載。
量産用エンジン(日本仕様200ps)より100psUPしている事からある程度想像はしていましたが、やはりほぼ全ての領域がレース用に変更されています。
インタークーラーシステムや中空カムシャフトが新開発されてる一方で、ターボチャージャーやピストンはSKYACTIV-D 3.3の技術が水平展開されているので、今後スーパー耐久で得た知見やノウハウでCX-60/CX-80のエンジンがスペックUPするかも・・・?
マツダは今後直4のディーゼルエンジンを廃止する方針のようですが、このレポートを見ると"MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio Conceptの市販バージョン"みたいなモデルも見たくなってしまいますね・・・。


③:マツダコネクトに搭載されたAmazon Alexa





2023年のロードスター大幅商品改良から順次搭載車種が増えているAmazon Alexaですが、マツダ技報によると専用のハードウェアは使用せずに既存のシステム構成のまま搭載。
ただし、エアコン・シートヒーター・ステアリングヒーターの操作にも対応するためにBCM (Body Control Module)とIP-ESU(Instrument Panel-Electric Supply Unit)を通信させる機能だけ新規開発されたようです。
Amazon Alexaに関してはすでに新世代マツダコネクトを搭載したほとんどの車種に採用されてきましたが、その中でもMX-30・CX-60・CX-90は現在も未採用。
ラージ商品群に関しては2024年発売のCX-70・CX-80にAmazon Alexaが採用された一方で、2023年までに発売されたCX-60・CX-90は昨年の商品改良(海外は2025年モデル)でも搭載されませんでしたが、もしかするとBCMとIP-ESUを通信させる機能の有無が関係してるのでしょうか・・・?
☆CX-60とCX-90は昨年発表の商品改良でもAmazon Alexaは未採用。
④:旧型モデルのパーツ生産・供給に貢献出来る砂型鋳造プロセスの開発。










現在マツダは「NAロードスター(復刻パーツ供給・レストア)」と「FC/FD型RX-7(復刻パーツ供給)」を対象にCLASSIC MAZDAというサービスを展開していますが、それでも金型の維持管理の難しさから供給不可能になっている純正パーツも多くあるのが実情・・・。
これに対してマツダは金型を使用せずに少量生産へ対応する砂型鋳造プロセスを新たに開発して、まずは元々砂型鋳造で生産されていたロータリーエンジン用ローターを新しいプロセスで生産開始しています。
金型を使用しない方法としては3Dプリンターの活用も増えていますが、製造プロセスの大幅変更や新車開発と同等の耐久試験などが必要になる事から現時点では砂型鋳造が最適という結論に達したようですね。
資料によると年間生産数が特に少ない部品の大半がロータリーエンジン搭載車関連のようなので、新しい製造プロセスが広がると供給される部品も増えていくかも・・・。
他にも様々な内容が掲載されていますが、今のところ特に気になった部分は以上となります。
今回のマツダ技報は生産や開発に関する内容がメインとなりましたが、その一方で昨年発売されたCX-70・CX-80の特集が無かったのはちょっと予想外・・・。
CX-60/CX-90と共通点が多いのが理由かもしれませんが、それでも独自に拘ったところやデザインの特徴はあると思うので詳しい解説やレポートを見たかったですね。
また他にも気になる内容が新たに出てきたら改めてブログで紹介したいと思います。
令和6年能登半島地震災害・9月21日豪雨被害の義援金受付関連。
◎石川県公式HP
・地震災害用リンク(令和7年12月26日まで受付)
令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について | 石川県
・豪雨被害用リンク(令和7年3月31日まで受付)
・富山県公式HP(令和7年3月31日まで受付予定)
・新潟県公式HP(令和7年12月26日まで受付予定)