本日2025年4月23日、マツダが「EZ-60」を上海モーターショーで正式発表しました。
EZ-60はマツダと中国の合弁パートナー長安汽車が共同開発するBEV/PHEV第2弾として先月末からティザー広告が毎週公開されていましたが、先週には現地メディアに実車を先行公開。




ボンネットやクォーターピラーにダクトが備わってるエクステリアや26.45インチ大型ディスプレイを採用したインテリアが特に注目されましたが、昨日上海モーターショーで正式にワールドプレミアされました。




(エクステリア)








〇エクステリアの特徴
①:デザインテーマは「FUTURE + SOUL x MODERN」
⇒マツダデザインが追求するエレガントなスタイリングを、新しい生活様式をイメージさせるモダンな造形と融合。
(画像 長安マツダ) ②:ボンネットやクォーターピラーを中心に9か所のダクトを採用。
⇒現地メディアのレポートによると「サメの背びれと背骨のラインからインスピレーションを得ている」
③:ボディカラーは全8色設定、その内2色が新色と報道(現地メディア)
⇒画像や実車が披露されているパープル系カラーは新色の1つですが、今のところ正式名称は未発表。残りの新色もまだ不明。
④:フロントフェイスのシグネチャーウイングとエンブレムが光る機能は「ロゴウイング」という名称。
⑤:車体サイズは【全長:4,850㎜】【全幅:1,935㎜】【全高:1,620㎜】【ホイールベース:2,902㎜】
(インテリア)






〇インテリアの主な特徴
①:継ぎ目が無い一体型の26.45インチ 5K一体型ディスプレイ。
⇒アスペクト比は「32:9」
②:デジタルアウターミラー採用
⇒従来型のドアミラーも選択可能(現地メディアはオプション設定と報道)
③:ユーザーインターフェースのコンセプトは「モランディカラー UIインターフェース」
⇒イタリアの画家ジョルジョ・モランディ(Giorgio Morandi)の静物画からインスピレーションを得ており、彩度の低い色調が特徴。
④:より先進的で没入感のあるコクピット体験を実現するSoC「MediaTek MT8676 4nm」を搭載。
⇒従来型SoC(7nm)比でトランジスタ密度は約1.6〜1.8倍、計算能力は約25〜40%増加
(画像 長安マツダ)
⑤:3Dヘッドアップディスプレイ。
⇒現地では「100インチAR-ヘッドアップディスプイ」と呼ばれている?
(画像 長安マツダ)
⑥:大規模モデルのAIアシスタントをベースに、1,700以上の機能を提供して単語1つで直接接続をサポート。
(画像 長安マツダ)
⑦:23個のスピーカーを採用した立体音響システム(Dolby ATMOS)を搭載。
⇒スピーカーの内訳は【ツイーター5個】【ミッドレンジ5個】【ウーファー5個】【スカイフルレンジスピーカー4個】【運転席/助手席それぞれ2個】
⇒ヘッドレストにもスピーカーが内蔵されていて、運転席/助手席で異なる音楽を聴く事も可能。
(画像 長安マツダ)
⑧:フロントだけでなくリアにも「シートベンチレーション機能」を搭載している可能性あり。
(画像 autohome.cn)
(走行性能)
〇走行性能関連の主な特徴
①:長安汽車の電動車専用プラットフォーム「EPA1」を採用して、前後重量配分は50:50
⇒共同開発第1弾「EZ-6/MAZDA6e」と同じ。
②:サスペンションは【フロント:ストラット】【リア:マルチリンク】で、電子制御ダンパーを採用。
⇒一部現地メディアは「道路状況や運転意図にミリ秒レベルで対応する連続可変式電子制御ダンパー」の可能性も報道。
③:パワートレインは「BEVモデル」と「発電用1.5Lエンジンを組み合わせたレンジエクステンダー」の2種類
⇒BEVモデルの詳細スペックはまだ未公表だが、航続距離は約600km(CLTCモード)を想定。
⇒レンジエクステンダーのスペックは中華人民共和国工業情報化部(工信部)で一部公開済み。
・駆動用モーター・・・最高出力:190kW(258ps)、定格出力:100kW
・発電用エンジン・・・最高出力:70kW(1,497cc 長安汽車製 CM469NE1型)
・バッテリー・・・・・31.7kWh(CATL製リン酸鉄リチウムバッテリー)
・最高速度・・・・・・185㎞/h
・航続距離は1回の給油で1,000km以上(CTLC総合モード)を想定
左:BEVのリアエンブレム、右:レンジエクステンダーのエンブレム (画像 autohome.cn) ④:CATLとCALBで8層バッテリー保護システムを開発して2026年の中国国内BEV安全基準にいち早く対応。
(画像 長安マツダ)
上海モーターショー開幕前のティザー広告やメディアレポートである程度情報は出ていましたが、今までのマツダ車には無いデザイン手法や機能/装備が多く、このあたりは中国国内のニーズや需要をかなり意識している事が伺えます。
デザイン面では2つという報道が出ていた新しいボディカラーが気になりますが、すでに画像と実車が公開されているパープル系の正式名称もまだ不明・・・。
個人的にパープル系のボディカラーはZoom-Zoom時代に用意されていた「ラディアントエボニーマイカ」を思い起こさせる色なので、他のマツダ車にも期待する人多いかもしれません。


続いて車体寸法も正式発表されていますが、こちらは中華人民共和国工業情報化部(工信部)で事前公開されていたデータ通りで、全長以外はEZ-6より大きくなっています。
日本国内で販売されているマツダ車で例えると「CX-60とCX-80の中間くらい?」という感じですが、全幅が1,935㎜あるので実車はよりロー&ワイドなスタイルかもしれません。
BEVの場合はフロア下のバッテリー搭載スペースを確保するためにホイールベースや全幅が大きくなる傾向のようですね・・・。
プラットフォームやサスペンションに関しては事前情報通りEZ-6と共通ですが、EZ-60では電子制御ダンパーが採用されており、一部現地メディアは連続可変式の可能性も報道。
あくまで長安汽車との共同開発モデルなのでやや特殊な例かもしれませんが、ラージ商品群でもアダプティブダンパー採用の可能性を検討する話が合ったので、今後の状況次第で自社開発モデルで採用例が出てくるかも・・・?
そして個人的にかなり気になったのがリアシート用エアコン操作タッチパネルにシートベンチレーションと思われるアイコンがあった事。
これまでリアシートにベンチレーション機能が備わっていたのはCX-8/CX-80のキャプテンシート(センターコンソール付き)でしたが、一般的なベンチシートでは採用例がありませんでした。
まだ正式な諸元表が公開されてないので断言は出来ませんが・・・。
EZ-60の諸元表やコンフィギュレーターなどを公開していませんが、長安汽車は早くもEZ-60の先行予約キャンペーンを昨日から開始しており、公式SNSによると初日で5,257台のオーダーを獲得したとの事。
このキャンペーンは公式アプリからオーダー可能で、発売までに1日10元の購入補助金を獲得できるのが特徴です(=早くオーダーした方が多く購入補助金を獲得できる)


現時点で明らかになっているEZ-60の主な情報は以上ですが、長安マツダは上海モーターショーでもう一つ初披露した車両が・・・。
それは「EZ-6"运动版"」
(运动版=直訳すると"スポーツバージョン")








☆海外メディアAuto123が動画でレポート(Facebook)
これまでEZ-6はタン内装とベージュ内装の2グレード設定で、どちらもメッキを採用したエクステリアでしたが、上海モーターショーでブラック基調のエクステリアと内装を装備したモデルが初披露。
ブラック内装自体は欧州向けに販売される「MAZDA6e」に設定されていますが、今回初披露された"运动版"は座面にキルティングステッチが採用されてるので、ナッパレザーとレガーヌ素材が有力(MAZDA6eのブラック内装は合成皮革)
エクステリアもアルミホイールやバンパー加飾などがブラック仕様に変わっているのに加えて、ブレーキキャリパーもレッド塗装仕様なのでかなりスポーティな仕様になっています。
パワートレインや走行性能の変更情報は無いので、日本で人気を集めている「Black Selection(旧:Black Tone Edition)」みたいな位置づけでしょうか・・・?
今のところ長安マツダから詳細や販売予定は発表されていませんが、この見た目で後輪駆動のセダンモデルなのは魅力感じますね。




上海モーターショーで発表された主な情報は以上となりますが、EZ-60に関してはエクステリアが魅力的に感じる一方で、内装はこれまでマツダが訴求してきた世界観とは違う部分が多くある印象で違和感は拭えないのも正直なところ・・・。
上海モーターショーで各メーカーから発表された新型車を見ると、超大型センターディプレイをインパネにそのまま置いたような内装がさらに増えてる印象ですが、どう見ても内装にマッチしてるとは言い難く、どれだけエクステリアが良くても車両全体では魅力が大きく削がれてる印象を受けました。
(おそらく他のメーカーも含めて過渡期なのかも・・・)
EZ-60の場合はおそらくディスプレイの大きさが中国で重要視される事だけでなくDeepal S07がベース車両という制約も関係してると思われますが、これまでデザインや細かなディティールに対する拘りを聞いてきたので、マツダから大型ディスプレイを違和感なくインストールした内装の提案も見たかったですね・・・。
完全な素人妄想ですが、個人的にはユーノスコスモみたいなデザインで大型ディスプレイとデジタルアウターミラー用モニターをキレイにインストールして欲しいかも。


いろいろ気になる部分はありますが、初日から5,000台以上のオーダーが入ってるようなので中国市場の販売台数増に繋がる事に期待。
おそらくEZ-6/MAZDA6eと同様に欧州でも販売されるのはほぼ確実ですが(車名はCX-6eが有力)、今後日本でも実車展示などがあれば見てみたいですね。
最後にマツダ・長安マツダの関係者の皆様、EZ-60誕生おめでとうございます!
令和6年能登半島地震災害・9月21日豪雨被害の義援金受付関連。
◎石川県公式HP
・地震災害用リンク(令和7年12月26日まで受付)
令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について | 石川県
・豪雨被害用リンク(令和7年12月26日まで受付)
・富山県公式HP(令和7年12月26日まで受付予定)
・新潟県公式HP(令和7年12月26日まで受付予定)