
今月は目立った動きが無かったマツダの特許関連情報ですが、今週気になる内容が海外で公開されました。
今回取り上げるのは欧州特許庁(EPO)の公式データベースから。

こちらは欧州で出願・登録されている特許を検索できるようになっていますが、マツダの特許情報をチェックすると2025年7月16日付で気になる内容が出願公開されてたので紹介したいと思います。
「METHOD FOR CONTROLLING ENGINE AND ENGINE SYSTEM(エンジンおよびエンジンシステムを制御する方法)」
(出願番号:EP4585797A1)



エンジン1は、複数種類の燃料に対応可能なエンジンである。すなわち、エンジン1は、いわゆるマルチ燃料対応エンジンである。エンジン1の燃料は、ガソリン、ナフサなどの代替燃料、メタノールなどの各種カーボンニュートラル燃料、またはこれらの燃料の混合物(混合燃料)とすることができる。
また、エンジン1の燃料であるガソリンとしては、高オクタン価燃料および低オクタン価燃料のいずれか一方または両方を使用することができる。高オクタン価燃料のオクタン価は、例えば100(または100付近)であり、低オクタン価燃料のオクタン価は、例えば91(または91付近)である。
自動車のユーザは、後述する燃料タンク63に、上記複数種類の燃料のうちのいずれかの燃料を充填することができる。例えば、燃料タンク63に貯蔵された燃料を使い切った後、同じ燃料タンク63に異なる燃料を補充することができる。また、ユーザは、高オクタン価燃料が貯蔵されている燃料タンク63に低オクタン価燃料を補充したり、低オクタン価燃料が貯蔵されている燃料タンク63に高オクタン価燃料を補充したりすることもできる。オクタン価の異なる燃料を補充した場合、エンジン1が使用する燃料のオクタン価は中間オクタン価となる。
エンジン1には、インジェクタ6から噴射された燃料を含む混合気に点火する1つ以上の点火プラグ251、252が取り付けられている。具体的には、第1点火プラグ251および第2点火プラグ252は、シリンダ11ごとにシリンダヘッド13に取り付けられている。第1点火プラグ251および第2点火プラグ252は、シリンダ11内の混合気に強制的に点火する。
図2に示すように、第1点火プラグ251は、2つの吸気バルブ21の間に配置され、および/または第2点火プラグ252は、2つの排気バルブ22の間に配置されてもよい。第1点火プラグ251の先端および第2点火プラグ252の先端は、それぞれ、インジェクタ6を挟んで吸気側および排気側のシリンダ11の天井部近傍に配置されている。なお、スパークプラグの数は1つの場合もある。


次に、各領域におけるエンジン1の作動について詳細に説明する。ECU10は、エンジン1の目標負荷および回転数を、図4に示す第1ベースマップ401と照合することにより、シリンダ11内の混合気の燃焼モードを選択することができる。
次に、ECU10は、選択された燃
焼モードを実現するように、吸気バルブ21および/または排気バルブ22の開閉動作、燃料噴射回数、各噴射における燃料分割比、燃料噴射時期、および/または第1および第2点火プラグ251、252の点火時期を設定することができる。
エンジン1で実現される燃焼モードには、均質SI燃焼、SPCCI燃焼、および/またはリタードSI燃焼が含まれる。各燃焼モードは、吸気バルブ21及び/又は排気バルブ22の開閉動作、燃料噴射回数、各噴射における燃料分割比、燃料噴射時期、並びに第1及び第2点火プラグ251、252の点火時期の少なくとも1つにおいて互いに異なる。
(SPCCI燃焼)
エンジン1の運転状態が例えば第2領域(第1中負荷領域413)または第3領域(第2中負荷領域414または高負荷中回転領域415)にある場合、ECU10は、シリンダ11内の混合気の一部を火炎伝播により燃焼させ、残りの混合気を圧縮着火により燃焼させてもよい。具体的には、排気S-VT241は、排気バルブ22の開閉タイミングを所定のタイミングに設定する。排気WL242は、排気バルブ22を1回または2回開閉させる(参照番号721、731参照)。
さらに具体的には、シリンダ11内に内部EGRガスが導入される。
一例として、エンジン1の運転状態が第2領域(第1中負荷領域413)にある場合、本実施形態のECU10は、吸気行程期間内に燃料の一括噴射を行う(符号722参照)。
一方、例えばエンジン1の運転状態が第3領域(第2中負荷領域414または高負荷中回転領域415)にある場合、ECU10は、吸気行程期間内に前段噴射(またはプレ噴射)7321を行うか、圧縮行程後半または後期に後段噴射(またはポスト噴射)7322を行うようにしてもよい。高負荷となる第3領域において燃料噴射時期を遅らせることは、異常燃焼を抑制する上で有利である。












こちらはSPCCI燃焼を採用したエンジンに関する特許出願ですが、SPCCI燃焼を行う領域が中負荷領域と高負荷領域で分けられてる事や、スパークプラグが2本(=ツインプラグ)採用されている事から、SKYACTIV-Xとは異なる構成になっているのが特徴。
加えて様々な燃料に対応する事も視野に入れているので、SKYACTIV-X後継と言われている次世代ガソリンエンジン"SKYACTIV-Z”に関係する特許の可能性も考えられます。




マツダはすでにツインプラグやSPCCI燃焼領域拡大に関する特許を複数出願しているので、様々なアプローチで次世代エンジンの仕様を検討しているのは間違いなさそうですが、マツダはSKYACTIV-Zのポイントとして"アフォーダブルな価格帯"を挙げているので、複雑な機能や補器類はあまり採用しない可能性も・・・。
公表されているSPCCI燃焼の領域拡大はほぼ確実に行ってくると思いますが、今回取り上げたツインプラグはどこまでコスト増になるのか気になるところ。
☆ツインプラグを採用した特許出願の一例(リンク先はプレチャンバープラグを視野)
☆SPCCIだけでなくMPCI燃焼も視野に入れた特許出願
今回は英語の資料だったので日本のデータベースで公開された時に改めてチェックしたいと思いますが、SKYACTIV-Zに新型ストロングハイブリッドと組み合わせる事で2.5ガソリンターボエンジン同等の出力を示唆するコメントも関係者から出ているので、燃費や環境性能だけでなくパフォーマンス面も楽しみになってきます。
市場投入される2027年に向けて関連する特許出願が増える事も考えられるので、引き続き国内外の情報に注目ですね。
令和6年能登半島地震災害・9月21日豪雨被害の義援金受付関連。
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令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について | 石川県
・豪雨被害用リンク(令和7年3月31日まで受付)
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