今週新たに公開されたマツダが出願中の特許は15件。
その中から気になった内容を取り上げます。
まずは「車両の下部車体構造」という題名の内容。
特開2021-59175 | 知財ポータル「IP Force」





こちらは「FRやAWD車を想定した車体構造」に関する内容です。
〇資料に記載されている特許の目的
FR(フロントエンジン・リヤドライブ)式および4WD(四輪駆動)式の自動車などの車両では、前後方向に延びるプロペラシャフトを収納するためのトンネル部が車室の車幅方向の中央に設けられる。トンネル部を有する車両では、トンネル部の車幅方向の外側にシートおよびこれを摺動可能に支持する左右一対のシートレールが配設される。
トンネル部は、上方に膨出して下方に開口する形状を有していることからその剛性は比較的低い。そのため、トンネル部を有する車両では、トンネル部近傍に設けられるシートレールつまり一対のシートレールのうち車幅方向の中央側に配置されるシートレールが車体に対して安定して支持されないおそれがある。
これまでの構造では、シートレールに加えられた荷重をナットを介して補強部材に逃がすことができ、シートレールは安定する。しかし、この構造では、ナットはボルトに螺合されているだけであり、ナット自体の取付け剛性は弱い。そのため、シートレールに水平面に沿う方向の荷重が加えられたとき等には、シートレールから補強部材へ荷重が適切に伝達されないおそれがある。このように、シートレールを安定して支持する上でさらなる改善の余地がある。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、シートレールをより安定して支持することのできる車両の下部車体構造を提供することを目的とする。
続いても「車両の下部車体構造」という題名の内容。
特開2021-59176 | 知財ポータル「IP Force」






こちらも「FRやAWDを想定した車体構造」に関する内容です。
〇資料に記載されている特許の目的
以前の構造では、前記のように前後方向についての車体の剛性が高められることで車両の前突時の安全性は向上すると考えられる。しかし、この構造では、前記のように、車幅方向の外側の車室フロアが低くなっていることで、車室の車幅方向の外側縁に沿って前後方向に延びるサイドシルに対して車室フロアがより低い位置で接合されることになる。そのため、車体の車幅方向の剛性が低くなって車両の側突時にサイドシルが内倒れしやすくなり、これを抑制するためにサイドシルの材質の剛性の高い材質への変更やサイドシルの板厚の増加等が必要となり、コストがかかるあるいは重量が増加するという問題が生じる。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、コストや重量の増加を抑えつつ車体の車幅方向の剛性を高めることのできる車両の下部車体構造を提供することを目的とする。
最後は「自動変速機の制御装置」という題名の内容。
特開2021-60061 | 知財ポータル「IP Force」








これまでにもマツダの特許で度々出願されている「トルクコンバーター無しの縦置き用8速AT」に関する内容です。
〇資料に記載されている特許の目的
近年の自動変速機においては、燃費向上のために、摩擦締結要素における潤滑油の攪拌抵抗及び引きずり抵抗や、オイルポンプによる吐出ロスのさらなる低減が求められている。
しかしながら、これまでの自動変速機においては、発進用摩擦締結要素に比してスリップ制御等の熱負荷の高い状態となり得ない発進用摩擦締結要素以外の他の摩擦締結要素等に対する潤滑油の供給量については考慮されていない。
具体的には、他の摩擦締結要素については、発熱量の最も多い状態を基準にして潤滑油が供給されるようになっているため、発熱量の少ない場合には、摩擦締結要素の潤滑油による攪拌抵抗及び引きずり抵抗やオイルポンプによる吐出ロスについて改善の余地がある。
そこで、本発明は、自動変速機の制御装置において、車両の走行状態に合わせて、必要に応じた潤滑油の供給の制御を行うことで、燃費の向上と、変速機の発進用摩擦締結要素及び他の摩擦締結要素の耐久性の確保との両立を図ることを課題とする。
今週気になった内容は以上となります。
来週以降も気になった内容があれば取り上げていきたいと思います。