まもなく正式発表されるマツダのラージ商品群第一弾モデル「CX-60」ですが、ここで改めてラージ商品群の方向性やこれまでの流れを振り返ってみました。
CX-60は約2日後の3月8日(現地時間)に欧州で正式発表予定。
直6エンジンやFRアーキテクチャーを採用する「ラージ商品群」の第一弾モデルという事もあって以前から多くの注目を集めていますが、正式発表間近となったこのタイミングで改めてラージ商品群の方向性やこれまでの流れを振り返ってみたいと思います。
〇ラージ商品群が直6エンジンやFRプラットフォームを採用する理由。
"直6"や"FR"というフレーズからマツダが高級ブランドを目指しているという憶測を以前から多く見かけますが、ラージ商品群に直6エンジンやFRプラットフォームを採用する理由について藤原副社長が2020年に行われた雑誌の取材でこのように回答しています。
①:大排気量エンジンを直6でやるのは2008年から決めていた。
②:V6では排ガス削減用の補器類が2つ必要だが、直6だと一つで済む。
③:FRプラットフォームは電動化への対応も容易。
④:直6だとフレームも真っすぐに通せるのでオフセット衝突対応に有利。
⑤:米国向けに必要な大排気量エンジンをコストを抑えた上で実現するには上記の理由から「直6+FR」になる。
マツダはSKYACTIVテクノロジー導入時からエンジンの排気量はある程度上げる(アップサイジング)方向性を示していた事に加えて、最も重要視している北米市場で必要性が高い6気筒エンジン搭載車を低コストで実現するのが目的の一つ。
さらに池田直渡さんの取材では「欧州のCO2規制(CAFE規制)や米国の温室効果ガス規制(GHG規制)の面から必須モデルとなるプラグインハイブリッド車にとっても、FRプラットフォームはスペース面などから有利」と回答されています。
マツダが高級ブランドを目指していると誤解された理由として丸本社長は「SKYACTIVテクノロジー導入時に使い始めた"マツダプレミアム"というフレーズの意図を上手く伝える事が出来てなかった」と証言されています。
個人的には"直6"と"FR"というフレーズだけ切り取ってきたメディア側にも大きな原因があると思っていますが、CX-60発表に合わせてこのあたりの方向性も改めてしっかり発信した方がよさそうに思います。
〇ラージ商品群に関するこれまでの流れ。
先に紹介した藤原副社長の証言だと直6エンジンを導入する事は2008年に決定していたようですが、ラージ商品群に関する情報が初めてメディアで取り上げられたのは調べた限りだと「2015年10月」に掲載された日経xTECHの記事。
この時はほぼ同時期に発表された"RX-VISION"により注目が集まっていた記憶がありますが、2017年に"VISION COUPE"が発表された事で「次期MAZDA6やCX-5はFRになる?」という憶測が大きく盛り上がり始めたように思います。
その後、2018年4月に発表された2018年3月期 通期決算で次世代商品群を「スモール群」と「ラージ群」2つのアーキテクチャーに分ける事が初公表。
そこからちょうど一年後の2019年3月期 通期決算でラージ群アーキテクチャーはFRベースで直6エンジンやプラグインハイブリッド採用という事が明らかになりました。
この時点でラージ群は2020~2021年頃から導入開始されるのが有力でしたが、2019年11月に発表された2020年3月期 第2四半期決算で約1年程度導入時期を遅らせると公表。
MX-30 EVモデルの開発で得たバッテリー関連の知見をラージ群アーキテクチャー(特にプラグインハイブリッド)へ投入する必要性が高まったのが理由です。
藤原副社長、ラージプラットフォーム投入が遅れる理由を教えてください:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
導入時期が遅れる事に加えて2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大によって計画の行方が心配されましたが、2020年3月期 通期決算の場で中期経営計画は基本的に変更せずにラージ商品群は2022年以降に導入と公表されました。
その後もコロナ禍が続く中、2020年11月に発表された2021年3月期 第2四半期決算で「直6エンジンとプラグインハイブリッドの実物写真」が初公開された事で状況は大きく動き始めます。
マツダが2021年3月期・第2四半期決算を発表、直6エンジンやトヨタとの協業に関する新情報も。 - つらつらとMAZDA
その後、2021年6月に発表された「2030年に向けての新たな技術・商品の開発方針」の中でエンジンを搭載したラージ群アーキテクチャーの実物写真が公開。
マツダが「2030年に向けた新たな技術・商品方針」を発表したので詳しくチェックしてみました。 - つらつらとMAZDA
10月には「2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画」でラージ商品群のSUVは「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」という4車種を地域に合わせて導入すると発表。
日本や欧州には「CX-60」「CX-80」が導入予定で一部WEB上では早くもCX-60日本仕様に関する噂も出始めました。
マツダが「2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画」を発表、ラージ群SUVや北米向け新型SUVの車名も公開。 - つらつらとMAZDA
11月にはラージ商品群から導入される新しい先進安全技術「Mazda Co-Pilot Concept(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」の概要とプロトタイプがメディア向けに公開されました。
そして、今年2月8日に欧州マツダから「CX-60を3月8日(現地時間)に正式発表する」と予告開始。
そこからタイミングを合わせたように(?)ドイツでテスト車両もスクープ。
マツダのラージ商品群第一弾モデル「CX-60」と思われるテスト車両がついにスクープされたので詳しくチェック。 - つらつらとMAZDA
ティザー広告も第3弾まで公開され、残すは正式発表を待つのみとなりました。
改めて振り返ると噂が初めて出てから今日まで約7年経っているのか・・・(苦笑)
藤原副社長の話だと直6エンジン導入は2008年に決定してたとの事なのでマツダの方々にとってはさらに長い道のりだったと思います。
当たり前の話だと思いますが、企画した内容を実際に商品化するのは本当に大変だな・・・と実感しますね。
ちなみに、CX-60発表の日時に関して情報が錯綜気味でしたが、欧州各国の特設ページで行われていたカウントダウンが無くなっていたので日本時間で「3月9日午前1時」の可能性がかなり高まってきました。
これまでカウントダウンが行われてたドイツマツダの特設ページにも「3月8日 17:00に正式発表(日本時間で3月9日 午前1時)」というお知らせが・・・。
欧州で発表されるのはプラグインハイブリッド仕様だと思われますが、CX-60のワールドプレミアにもなるので楽しみたいと思います!